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【政治哲学のおすすめ本8選】代表的理論・名著・解説本を紹介

政治哲学のおすすめ本
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政治哲学を学びたい場合、まずは解説本を読んで概要を頭に入れ、それから代表的論者が書いた名著・古典を読んでいくことをおすすめします。

なぜなら、政治哲学の名著はどれも難解で、前提知識なしに読み始めると理解に時間がかかるからです。

そこでこの記事では、政治哲学のおすすめ本を初心者、中級者、上級者のそれぞれに分けて紹介します。

政治哲学には、

  • 1960年代以降に展開したアメリカの政治哲学(ロールズ、サンデルなど)
  • 政治学を支えてきた思想・哲学(ロック、ルソーからアーレントなどを含むより広い意味での政治哲学)

という大きく2つの意味がありますが、まずはアメリカの政治哲学、次により広い意味での政治哲学の本を紹介します。

関心のあるものを選らんで読んでみてください。

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1章:政治哲学のおすすめ本:初心者編

まずはアメリカの政治哲学の本から紹介します。

アメリカの政治哲学は大きく、

  • ロールズの『正義論』に代表されるリベラリズムの議論
  • ノージックの『アナーキー・国家・ユートピア』に代表されるリバタリアニズムの議論
  • サンデルの『リベラリズムの正義と限界』『民主政の不満』に代表されるコミュニタリアニズム(共同体主義)の議論

の流れがあります。初心者の場合、いきなりそれぞれの著作に入っていくと難解で挫折しがちですし、それぞれの本の位置づけが分からなくなります。

そこで、まずは大きな議論の流れを把握しやすい本を紹介します。

①『サンデルの政治哲学』

最初におすすめしたいのが、マイケル・サンデルの政治哲学を日本の政治哲学者である小林正弥が紹介した新書、『サンデルの政治哲学-〈正義〉とは何か‐』です。

コミュニタリアン(共同体主義者)であるサンデルの哲学を紹介する本ではありますが、サンデルを説明するためにアメリカ政治哲学の議論の流れも分かりやすく説明されています。

そのため、この本を読むだけで政治哲学の議論の流れの概要をつかむことが可能です。

とはいえ、サンデルがテーマの本ですので、サンデルの各著作の紹介に紙幅の大半が割かれています。そのため、いきなりこの本を読めば、「サンデルの思想こそ正しいもの」と考えてしまいがちかもしれません。

初心者の方がこの本を読む場合は、まずは「政治哲学の概要を理解する」ことを意識して、できるだけ中立的に読むことをおすすめします。

政治哲学に興味を持ったら、まずは教科書のような本よりも一般向けに書かれた読み物的な本を読み、イメージをつかむのも良い勉強の仕方です。

その場合は、日本でもよく読まれた以下のサンデルの本をおすすめします。

②『集中講義!アメリカの現代思想』

『集中講義!アメリカの現代思想』は、日本の哲学者である仲正昌樹がアメリカの政治哲学・思想を紹介した本です。

「アメリカ政治哲学の概要を捉える」という意味では、これ以上にいい本はありません。

この本では、

  • アメリカの自由主義の伝統(古典的自由主義や、1930年代ごろからの「大きな政府」的な社会自由主義)の解説
  • 後に紹介するロールズの思想
  • 自由至上主義と言われるリバタリアニズム
  • サンデルらの共同体主義
  • ネオコン(新保守主義)

など多くの政治哲学、思想が分かりやすく紹介されています。

その政治哲学・思想と対応した時代背景についても説明されるため、とてもイメージしやすいです。

網羅的な内容のため、それぞれの議論はそこまで深堀されておらず、個別の議論を深く知りたい方には向いていません。

しかし、初心者や議論の大きな流れを理解したいという方には、うってつけです。

仲正昌樹は、政治哲学や現代思想を理解する上でのキー概念を、分かりやすく説明した以下の本もあります。手元に置いておけば、「これってどういう意味だっけ?」と思ったときに活用できます。

また、政治哲学の「正義」「善」などの中心的なテーマについて、以下の本では分かりやすく説明されていますので、入門書以前の本として読んでみることをおすすめします。

③『リベラリズムの系譜学』

アメリカ政治哲学は、もちろんそれまでの政治哲学の伝統からまったく切り離されて存在するわけではありません。

政治哲学・政治思想は、そもそも古代ギリシャから展開したもので、近代ではロックやルソーらの社会契約思想、J・S・ミル、戦後はアーレントやアマルティアセンの思想も含みます。

これら広い意味での政治哲学・思想の伝統からアメリカの政治哲学までを、「リベラリズム(自由主義)」の系譜という切り口から紹介しているのが、『リベラリズムの系譜学』です。

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「リベラリズム」とついていますが、ロールズのリベラリズムはもちろんのこと、より厳しい自由の思想であるリバタリアニズム、リベラリズム批判であるサンデルの哲学もしっかり説明されています。

②の『アメリカの現代思想』より、時代的に広く、一貫したものとして政治哲学を学ぶことができます。

「アメリカ」に限定した内容は、②の『アメリカの現代思想』よりも少ないですが、これも本当に分かりやすくいい本です。ぜひ読んでみてください。

広い意味での政治哲学は、そもそも「政治」に限定した思想でもありません。特に古代~近代では、社会科学一般の思想として展開し、それが政治の議論も含んでいた、と言うことができます。

そのため、より広い意味での社会思想の歴史を学ぶことも、政治哲学をより深く理解する上で役立ちます。

社会思想の歴史は、以下の本がとても分かりやすくおすすめです。

2章:政治哲学のおすすめ本:中級者編

1章でも紹介したように、現代の政治哲学は以下のように展開しました。

  • ロールズの『正義論』がさまざまな議論を巻き起こす
  • 『正義論』に対し、若きサンデルが『リベラリズムの正義と限界』で批判
  • ロールズは、『アナーキー・国家・ユートピア』などの著作で、より自由を目指すリバタリアニズムの議論を転回

そのため、政治哲学を深く理解したいなら、解説本を読むだけでは足りません。

代表的論者の書いた著作を、直接通読することも大事です。これから、代表的論者の著作を紹介します。

④『正義論』

まず、政治哲学を学ぶ上で避けては通れないのが、ロールズの『正義論』です。

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『正義論』でロールズは、

  • アメリカの伝統的な自由主義的思想(リベラリズム)は、公正な社会を実現しない
  • 公正な社会の実現のためには、「正義の二原理」に基づいて政策を行う必要がある

という議論をしました。

そして、公正・平等な社会を目指す福祉国家的なアメリカの政策の理論的な根拠として議論されるようになります。

→『正義論』について詳しくはこちら

とはいえ、後に紹介するように、『正義論』にはさまざまな批判がなされました。そのため、「今さら読む必要はない」と思われるかもしれませんが、その後の政治哲学の議論の大前提となった点でやはり大きな意義がある本です。

政治哲学のより深い理解のために、ぜひ読んでみてください。

『正義論』は哲学的で難しい内容ですので、以下のような解説本と共に読んでみてもいいと思います。

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⑤『アナーキー・国家・ユートピア』

ロールズの『正義論』に対して、リバタリアニズムの立場から批判し、リバタリアニズムの代表的な著作となったのが、ノージックの『アナーキー・国家・ユートピア』です。

ロールズは『正義論』で、大きな政府による福祉国家的政策(弱者に優しい政策)を支持するような議論をしましたが、ノージックは、

  • 人々が自分で生み出した価値は、その人に所有権があるはず
  • それを強制的に没収し(たとえば税金として)、それを社会の他のメンバーに勝手に配分することは、自由を侵害する行為
  • 国家にはそこまでの役割は認められないはずだ

とロールズの『正義論』を真っ向から否定する議論を行いました。

→『アナーキー・国家・ユートピア』について詳しくはこちら

ノージックの思想は、国家の存在を最小限しか認めない自由至上主義/リバタリアニズムとして知られます。

アメリカでは、国家を否定するリバタリアンが一定数存在し、独自に活動をしています。そのリバタリアンの言わば聖典が『アナーキー・国家・ユートピア』なのです。

日本に暮らす私たちにはやや過激な主張に思えるかもしれませんが、現代の政治哲学・思想を理解する上で避けては通れない思想です。

リバタリアニズムについて初心者向けに分かりやすく解説した本には、以下のものがあります。どちらも数時間で読める内容なので、まずはこちらから読んでみると理解が早まると思います。

→リバタリアニズムについて詳しくはこちら

⑥『リベラリズムと正義の限界』

ロールズの『正義論』を、ノージックとはまったく別の立場から批判したのが、マイケル・サンデルの『リベラリズムと正義の限界』です。

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少し深入りした話になりますが、サンデルは『正義論』に対して、

  • 人間は、ロールズが考えるようにまったく独立し、自分の価値観を作り、正しい行動・選択を行えるわけではない
  • ロールズは個人の能力を自然の恵みのように考えているが、それでは個人の真の価値を否定することになる

など、共同体主義と言われる立場から批判しました。ロールズが持つ思想の根本を批判し、ロールズの議論が成り立たないことを主張したのです。こうして起こった論争を「リベラル・コミュニタリアン論争」と言います。

→サンデルの議論について詳しくはこちら

→コミュニタリアニズム(共同体主義)の議論について詳しくはこちら

『リベラリズムと正義の限界』は、ロールズ批判のために書かれた本であるため、サンデルの理論が体系的に述べられているわけではありません。しかし、ロールズとサンデルを合わせて読むことで、当時どのような議論がなされ、何が問題とされたのかよく理解できるはずです。

ロールズはその後、批判に応えて『公正としての正義』で理論を修正しています。こちらも政治哲学の必読書の一つです。

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また、サンデルは自らの思想を体系的に述べた著作として、後に『民主政の不満』などの著作を発表しています。日本でも有名なサンデルの思想について、『民主政の不満』以降の著作を読むと理解しやすいです。

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3章:政治哲学のおすすめ本:上級者編

ここまで紹介した本を読めば、アメリカ政治哲学の議論をあらかた抑えることができるでしょう。

しかし、政治哲学はアメリカの政治哲学以外の系譜も存在します。これから紹介する本は、政治哲学上の名著ですのでぜひ読んでみることをおすすめします。

⑦『全体主義の起源』

ハンナ・アーレントも広い意味での政治哲学で大きな実績を上げた哲学者です。

そんなアーレントが、ユダヤ人としてのバックグランドから、ナチスの全体主義が生まれた理由を分析した研究の集大成が『全体主義の起源』です。

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全体主義の起源では、

  • アトム化:人々が自分の属する階級、集団を失い、社会の中で分断された原子のようになり、権威のようなよりどころを求めた
  • 反ユダヤ主義:ドイツが国民統合の過程で反ユダヤ主義をイデオロギーとして利用した
  • 帝国主義:他国、他民族を支配する帝国主義が、「劣等」とみなしたユダヤ人に向き、ユダヤ人を支配して良い民族だとみなすことに結びついた

といった原因から、150万人とも600万人とも言われるユダヤ人を虐殺(ホロコースト)することに結びついたと説明されます。

『全体主義の起源』は難しく、3部作ある長い著作ですから前提知識なしに読み進めるのは難しい面があります。

しかし、ある程度の知識を持っていれば通読可能ですし、アーレントの思想は現代でも学ぶ意義が大きいです。ぜひ挑戦してみてください。

『全体主義の起源』には以下のような解説本もあります。とても分かりやすいので、まずはこちらから読んでみるのもいい勉強になります。

アーレントは『全体主義の起源』以降、全体主義に対抗する思想の持ち方を唱えた『人間の条件』や、ホロコーストを指揮したアイヒマンの裁判記録を通じて、その「悪」を表現した『エルサレムのアイヒマン』なども発表しています。

この2冊も代表作ですので、ぜひ読んでみてください。

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また、アーレントの人生に関する以下の映画も面白いのでおすすめです。

⑧『統治二論』

近代の政治哲学の伝統は、ジョン・ロックの思想からはじまったと言っても過言ではありません。

ロックの政治哲学は、『統治二論』から学ぶことができます。

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『統治二論』は一編と二編に分かれておりそれぞれ以下のような内容です。

  • 第一編の内容
    王権による国家の支配を『聖書』の記述から正当化する説を批判し、王権は『聖書』の記述からは正当化できないと指摘
  • 第二編の内容
    自然法の遵守を監視するために社会が作られた(社会契約)のであり、国家が自然法を侵害することがあれば、人々は抵抗・革命することができる

「今さらロックなんて学ぶ意味あるの?」

と思われるかもしれませんが、前述のリバタリアニズムの思想はロックの伝統を受け継いだものですし、現代の政治哲学で利用される社会契約の仮説は、ロックのころから伝統的に行われてきたものです。

政治哲学における古典の一つですので、通読しておくとその他の議論も学びやすくなるはずです。

→ロック『統治二論』について詳しくはこちら

古典を読むことに抵抗がある場合は、以下のような解説書でロックの思想を一気に学ぶのも良いと思います。この本はコンパクトにまとまっていておすすめです。

ロック以外の社会契約思想については、以下のような概説書もあります。

4章:政治哲学の関連分野のおすすめ本

政治哲学に関連する分野に、「倫理学」や「公共哲学」もあります。必読ではありませんが、ロールズやサンデル、アーレントなどが少し違った角度から論じられていることもあり、新しい学びがあると思います。

公共哲学とはなんだろう』

公共哲学とは、市場(経済活動)やプライベートの空間である「私」と、政治的空間である「公」の間にあると考えられる、「公共」という空間について議論する学問です。

政治学は、「私か公か」という二元論的に論じることが多いですが、その間に本来は「公共」という領域があり、それこそ現代社会から失われているものなのだ、と言われます。

政治哲学とも被る領域で、ロールズ、サンデル、ノージック、アーレントらも公共哲学的議論をしています。

『公共哲学とはなんだろう』は、公共哲学についてとても分かりやすく解説されています。論文ではなく講義のような文体ですので、初心者でも読みやすいです。

『入門・倫理学』

倫理学とは、私たち人間が行う行為の道徳的な正しさや価値観の問題について論じる学問です。

倫理学も政治哲学と関連する部分が大きく、倫理学のテキストにロールズらの議論が登場することもあります。

倫理学には規範倫理学メタ倫理学、応用倫理学などの分野がありますが、まずは基本的な規範倫理学について学んでみてください。以下の本は入門者向けのテキストとしてとても優れているのでおすすめです。

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まとめ

あなたが関心を持てる本はありましたか?

ここで紹介した本は政治哲学の名著や必読書の一部に過ぎません。これらの本を足掛かりに、あなた自身でどんどん本を見つけて読んでみてください。

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