勉強法

【政治学の必読本7選】初心者~上級者向け・関連分野の文献まで紹介

政治学のおすすめ本7選

政治学の知識は書籍から学ぶことをおすすめします。

政治学を学ぶ上では、まずは大まかな全体像を知ること、そしていくつかの重要な概念をイメージできるようになることが大事です。

その手段として、書籍を読むことは必須です。

「読み切る自信がない、、」という方もいるかもしれませんが、自分に合ったレベルの本から読めば、確実に読み切りステップアップしていくことができます。

ポイントは、最初からすべてを理解し切ろうとしないことです。

まずは100%理解できなくても、何冊も読み通していくことを目標にすると自然に知識が身についていきます。

この記事では、初心者、中級者、上級者のそれぞれに向けて本を紹介しています。

ぜひ興味のあるものから手に取ってみてください。

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政治学のおすすめ本:初心者編

まだ政治についてよくわかっていない、まずは基本的なことから学びたいという場合は、これから紹介する初心者向けの解説本を読んでみてください。

前提知識ゼロでも読めるようになっているので、さくさくと読み進めていくことができます。

①『教養としての政治学入門』

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この本は、政治学の知識がゼロの型でも、現実の政治の動向から概要がつかめるようになっているものです。

日本で自民党一強が続いていること、ヨーロッパの政治が変化していること、アメリカの政治的分断についてなど、最新の動向が踏まえられています。

新書一冊でさまざまなことが論じられているため、個別のテーマについて著者の主張は見えにくいですが、それだけに政治学の「問い」を見つけ、あなたが自ら考えていくきっかけを与えてくれるでしょう。

リアルな実態の知識を得たあとで、これから紹介する教科書的な本に入っていくのが理想です。

最新の政治の動向を学ぶ上では、さまざまな新書を読むことをおすすめします。たとえば、以下の本はおすすめです。

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➁『政治学 補訂版 (New Liberal Arts Selection)』

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『政治学 増訂版』は、「政治学ってどんな学問?」「まずは何から学べばいいの?」「民主主義右派・左派、権力とかそもそもどういう意味?」といった初歩的な疑問に答えてくれます。

政治学のおすすめ本を1冊だけ選ぶとすれば、この本で間違いありません。

初心者向けの本なので、「国際政治学」「政治思想」「政治哲学」など個別の分野について、そこまで詳しく掘り下げられてはいません。

しかし一方で、

  • 政治学の各分野で必須の概念を学べる
  • 各分野の繋がりや全体像が分かりやすい

といった良い点があります。

政治学をこれからしっかり学んでいきたいという場合は、必ず持っておくべき本です。

政治学の基本的なテキストとしては、以下の本もおすすめです。

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政治学のおすすめ本:中級編

政治学を学ぶ上で、避けられない重要な概念やテーマがあります。

たとえば「ナショナリズム」「国際関係」「権力・統治の構造」などです。

これらについて、より詳しく学ぶための書籍を紹介します。

③『想像の共同体』

『想像の共同体』Imagined Communities: Reflections on the Origin and Spread of Nationalism)は、政治学の分野で最も有名な著作の一つです。

政治学者ベネディクト・アンダーソンによって1983年に書かれました。

私たちが生きる近代的な国民国家の成立は、ナショナリズム(国民としての一体感)の成立と表裏一体です。

このナショナリズムの起源には、宗教的共同体や王国の存在があり、その前提の上に新聞や地図、人口調査といった実践が行われたことが、ナショナリズムが生まれるきっかけになったと主張されます。

ある程度の政治や歴史の知識がなければ読み進めるのが大変かもしれません。

『想像の共同体』で語られるナショナリズムは、実はナショナリズムに関する研究の一部でしかありません。

ナショナリズムについてどのような議論があるのか、広く、基本的なことから知りたい場合は、以下の本もあわせて読むと良いでしょう。

大学の試験対策としても使えます。

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④『危機の二十年』

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政治学の重要分野の一つに国際関係・国際政治学があります。

なぜ重要なのかと言うと、国家間の問題を扱う国際政治学は、「戦争」「外交」「権力」「統治」など政治学を語る上で避けられない概念の形成に大きな影響を与えてきたからです。

そして、戦後の国際政治学の潮流を作ったとも言える人物が、『危機の二十年』(The Twenty Years’ Crisis 1919-1939)を書いたE・H・カーです。

戦後の国際政治学では、大きく「リアリズム(現実主義)」「リベラリズム」の2つの流れがあります。

カーは『危機の二十年』で、世界大戦を止められなかった理想主義を批判するリアリズムの立場に立ちながら、リベラリズムについても中立的に論じています。

初版が出版されたのは1939年と古いですが、論じられている国際政治の本質は今でも変わりません。

国際政治を学ぶなら、絶対に読んでおきたい本です。

国際政治学を学ぶなら、以下の本もおすすめです。どれも私が大学院時代に指導教官からおすすめしてもらった本です。

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※国際政治学の本について、以下の記事で詳しく紹介しました。ぜひご覧ください。

【国際政治学のおすすめ本7選】代表的理論と名著・必読書を紹介

⑤『日本の統治構造』

あなたは、日本がどのように統治されていると思いますか?

「自民党でしょ?」「裏では官僚が牛耳ってるって聞いたことがある」などさまざまな考えがあると思います。

『日本の統治構造』は、「日本はどのように統治されているのか?」「日本の権力はどんな構造なのか?」という問いに対して、明快な答えを与えてくれる名著です。

それだけでなく、議院内閣制とはどのような制度なのか?大統領制とはどう違うのか?政党政治とはどんなものなのか?といった国内政治の重要な概念についても学べます。

内容は、ある程度政治について知識があることが前提の本です。そのため、まったくの初心者には難しいかもしれません。

しかし、ある程度知識があれば、日本の統治構造・権力についてとても詳しく掘り下げて学ぶことができます。

日本の政治や国内政治学に関心があるなら、必ず読むべきです。

以下の本を読むことで、日本政治についてさらに理解が深まるはずです。

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政治学のおすすめ本:上級編

これから紹介する本は、ある程度の政治学の前提知識がないと読み進めるのが難しいと思います。

しかし、政治学を学ぶ上で必ず読んでおきたい本ですし、初心者でも挑戦する価値があります。

⑥『正義論』

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アメリカで政治哲学ブームが起こったきっかけになったのが、ロールズの『正義論』です。

政治哲学と言うと、日本でも流行したサンデル教授の『これから正義の話をしよう』などが有名ですが、実はサンデル教授の流行も、その前に『正義論』があったからこそのものです。

そもそも、アメリカの政治哲学には「リベラリズム」「リバタリアニズム」「コミュニタリアニズム」の大きく3流派があり、『正義論』はリベラリズムの立場から書かれたものです。

それに対して、ロバート・ノージックがリバタリアニズムの立場から批判し、さらにサンデルがコミュニタリアニズムの立場からも批判し、それらをきっかけに盛り上がったのが現代の政治哲学です。

そのため、政治哲学について学ぶなら、まずは『正義論』から学ぶことをおすすめします。

ただし、政治哲学という分野はある程度の政治の知識を持っていないと、学び進めにくいです。

確かに、サンデル教授が書いた一般向けの本を読むと分かった気になりそうですが、

「そもそも政治学では何が問題になっているのか?」という問題意識を持っていなければ、ただの思考の遊びで終わってしまいます。

そのため、ある程度、政治学や政治・政治学の歴史について学んだ上で、『正義論』を手に取ってみることをおすすめします。

問題意識を持って読むと、『正義論』が何を言いたかったのか、なぜ現代政治哲学の流行のきっかけになったのか分かるはずです。

政治哲学の参考書として以下の本もおすすめです。

⑦ 『全体主義の起源』

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政治学を学ぶ上で、ハンナ・アーレントの思想は避けて通れません。

アーレントは自らもユダヤ人として迫害された経験をもつ政治学者、哲学者で、ナチスドイツによる歴史的悲劇の原因を『全体主義の起源』から明らかにしました。

ナチスドイツの全体主義の原因には、「反ユダヤ主義」「帝国主義」などさまざまなものがありますが、現代とも共通するのが、個人の「アトム化」です。

アトム化とは、個人と社会のつながりが希薄になり、不安定な大衆が増えることです。

アトム化した大衆は、社会の不安が増したときに、「分かりやすい、一貫した世界観(ストーリー)」を提示してくれる、分かりやすい指導者(=ヒトラー)にすがりついてしまいます。

「こうすれば良い!」と分かりやすく、強く主張してくれる人に簡単について行ってしまうのです。

これは、現代でも起こりえるとは思いませんか?

『全体主義の起源』は難解な書籍です。読み通すには、当時の歴史や政治学のある程度の知識を必要とします。

しかし、それでも読む価値が非常に高い本です。

ぜひ原著から読んでみてください。

ハンナ・アーレントの著作として有名なものには、他にも以下のものがあります。ぜひ参考にしてください。

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また、アーレントの思想について手っ取り早く知る上で、以下の本がとても分かりやすいです。

政治学の関連分野の重要文献

政治学は社会科学の一つですが、社会科学の学問は相互に関連しあっています。

そのため、社会科学全体に影響を与えてきた、社会思想の本も読んでみることをおすすめします。

政治学や政治学の各分野を掘り下げて勉強・研究をはじめると、つい視野が狭くなってしまいがちです。

社会思想を学ぶことは、社会科学の根底にどのような思想があるのか理解することになり、政治学を含む社会科学全体の理解を深められます。

『社会思想の歴史』

政治学は、社会契約思想啓蒙思想など、ヨーロッパが近代化の過程で生み出した社会思想から、大きな影響を受けて発展しました。

たとえば「社会契約説」は今でも政治哲学で論じられるものですし、自由主義の伝統は今でも社会の根底にあります。また、国家と市場の関係、個人の自由と国家の関係など、社会思想の歴史で論じられ続けてきたことです。

その社会思想について大きな流れを学ぶことができるのが『社会思想の歴史』です。

政治思想でも経済思想でもなく、その両方を含めた流れを学べます。

類書も多いですが、この書籍が最も学びやすいです。

『新自由主義の歴史』

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現代の政治・経済に強い影響を与えていると言われるのが、新自由主義(ネオリベラリズム)です。

新自由主義とは、国家による市場(経済活動)への介入を最小限にしようとする思想のことで、世界では1980年代以降に政治思想の主流になりました。

その結果、日本でも経済格差が広がり、自己責任論がはびこる厳しい社会が形成される原因になったと言われます。

さらに問題なのは、弱者に厳しい新自由主義の思想が若者や中流以下の層にも蔓延し、相互に排斥しあい、助け合いを避けるような社会になっていることです。

では、なぜこのような思想が広がってしまったのでしょうか?

そこには、先進国に共通した原因がありました。

新自由主義に関する最も網羅的な研究は、デヴィット・ハーヴェイの『新自由主義』です。

難しくはないので、ぜひ読み通してみることをおすすめします。

『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』

私たちが暮らす社会は、資本主義社会です。

では、なぜ資本主義という社会体制が生まれたのでしょうか?そして、なぜ資本主義は西洋から生まれたのでしょうか?

この問いに答えたのが、マックス・ウェーバーの『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』です。

ウェーバーによれば、プロテスタント(キリスト教信者でカトリックの思想に反発した人々)が持った教義や精神性は、資本主義社会を発展させるのに非常に向いていたようです。

プロテスタントの「合理的禁欲」という精神や、労働に励み財産を蓄積する習慣は、原初的な資本形成に繋がったと言います。

『プロ倫』は、政治学はもちろん、経済学、社会学など社会科学を学ぶすべての人が読むべき名著です。

資本主義の起源について、そして西洋思想へのキリスト教の影響について、深く学ぶことができます。

まとめ

あなたが関心を持てる本はありましたか?

ここで紹介した本は、政治学の名著や必読書の一部でしかありません。これらの本をきっかけに、あなた自身でどんどん本を見つけて読んでみてください。

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