勉強法

【観光人類学のおすすめ本7選】初学者・中級者・上級者編を紹介

観光人類学のおすすめ本

観光人類学の知識は、書籍から学ぶことをおすすめします。

観光人類学を学ぶ上で大事なのは、多様な個別事例をすべて理解することではなく、人類学的に観光現象を捉える視点を身につけることです。

そのため、ネットでとある事例を理解するよりも、書籍から体系的に学ぶ方が効率的です。

この記事では、初心者、中級者、上級者のそれぞれのレベルに分けて、観光人類学を学べるおすすめの本を紹介しています。

あなたのレベルに合うと思う本を選択し、ぜひ読んでみてください。

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1章:観光人類学のおすすめ本:初学者編

「観光人類学、強いては観光研究がどんなものかわからない」という初学者の場合、まずは観光人類学の全体像を学ぶことをおすすめします。

前提知識ゼロでも読める、以下のテキストから学び始めることをおすすめします。

①『観光学入門』

有斐閣アルマのシリーズは人文社会科学の広い領域をカバーするものとして有名ですから、ご存じの方も多いと思います。

ここで紹介した『観光学入門』は、難易度と学習進度によって4つに分類されるグループの中の②(Basic)です。

  1. Interest =教養科目として学ぶ人に
  2. Basic =基礎科目として学ぶ人に
  3. Specialized =専門科目として学ぶ人に
  4. Advanced =高度な学習を目指す人に

たしかに、初学者用の本であるため、学術的な議論が深掘りされているわけではありません。

しかし、観光に関する文化、経済、社会、情報、政策などの要点がまとめられており、初めて学ぶ方には最適な本です。

気軽に観光研究に触れたいという方に、次のような書籍がおすすめです。

②『観光文化学』

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次におすすめなのは、観光人類学の第一人者である山下晋司(編)の『観光文化学』です。

『観光文化学』では観光を人類学的に分析する「理論」からエコツーリズム等の「事例」まで、初学者に向けて解説されています。

上述の『観光学入門』と合わせて読むことで、「観光現象を研究とはなにを意味するのか?」「どんなアプローチが必要なのか?」といった知識や視点を身につけることができるでしょう。

山下晋司の研究成果がまとめられた次の論考もおすすめです。

③『よくわかる観光社会学』

人類学に特化した本ではありませんが、『よくわかる観光社会学』は初学者に極めて有益な本です。

『よくわかる観光社会学』では、過去と現在の観光現象に詳しい解説がされています。たとえば、「マスツーリズム」「エコツーリズム」「グリーンツーリズム」「オルタナティブツーリズム」といった多様な形態がわかりやすく述べています。

加えて、『よくわかる観光社会学』では「ホテル」「映画館」「スポーツ」といった分野から「沖縄」「インド」「ニューヨーク」といった地域事例までカバーされています。

観光社会学に関しては次のような書籍もあります。この著者の遠藤英樹は『よくわかる観光社会学』の編者でもあります。

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2章:観光人類学のおすすめ本:中級編

観光人類学の基礎的な知識を身につけたあなたは、「必読本を読んでみたい」を読んでみたいと思っているはずです。

観光人類学者の鈴木は、観光人類学の成果を振り返るなかで代表的な研究として、

山下がバリを事例に論じた「観光を触媒とした伝統文化の再構築・創造」という枠組みや、太田が提示した「観光によるアイデンティティの構築」という議論は、その後様々な国家や民族・エスニシティ・民俗などに関連して、多くの論者によって事例が積み重ねられていった。

[観光研究]2005 .9 / Vol. 17 / No.1 (19頁〜28頁)日本観光研究学会機関紙

と二人の論者を提示しています。

ここでは、その二人の論者を紹介します。

④『バリ 観光人類学のレッスン』

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『バリ 観光人類学のレッスン』は先ほど紹介した、観光人類学の第一人者である山下晋司の著作です。

タイトルには「バリ」とありますが、実際には「トラジャ社会」や「遠野」が登場します。それらの舞台で「古来から続く伝統」と考えられがちな舞踊や文化が、常に創造されていく過程を描き出しています。

たとえば、今日有名なバリの伝統芸能である「ケチャ」は、

  • もともとケチャはシャーマニズムの一種であるトランス儀礼で歌われるコーラスだった
  • しかし当時バリに住んでいたドイツ人画家のシュピースがバリと人びとと共同で、新たな振り付けや関係のない物語と結びつけ、観光客も満足する劇に作りなおしたもの
  • つまり、私たちが見るバリの伝統芸能は、バリで生まれたものの、観光客のまなざしをうけて新たに創造されたもの

といえます。

この実践を山下はバリの人びとは観光開発によって近代化を果たすと同時に、バリの伝統を守るために1930年代のイメージをあえて取り入れたと考えました。そのため、土着文化を活性化させるものとして観光と捉えているといえます。

山下の『バリ 観光人類学のレッスン』(1999)は刊行から随分と立ちますが、与えた影響力を考えると必ず読んでおきたい書籍です。

他にも山下の著作や論文は、次のようなものがあります。

⑤『トランスポジションの思想』

文化人類学者の太田好信は『トランスポジションの思想』において「文化の客体化」という概念を提示しました。これは「文化を操作できる対象として新たにつくりあげること」(同書: 72頁)を意味します。

観光にはホスト側とゲスト側に不均衡な力関係が存在することを前提として、地域社会における人びとが抵抗の一手段として「文化の客体化」を試みていることが要点です。なぜなら、そこから観光にアイデンティティの構築が垣間見せるからです。

文化人類学の太田は観光現象が専門ではありませんので注意が必要ですが、観光を人類学的に分析するとき、必ず参照される重要な論考を提示しています。

太田の著作には他にも次のようなものがあります。

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3章:観光人類学のおすすめ本:上級編

これまで紹介した本で必ず参照される古典本があります。これから紹介する本は学術的な知識がないと読みにくいですが、観光人類学を学ぶために必ず触れておきたいものです。

あなたの関心にあわせて、ぜひトライしてみてください。

⑥『ホスト・アンド・ゲスト:観光人類学とはなにか』

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観光人類学の始まりとされる本で、多くの研究者による論集です。文化人類学的な分析を観光現象にあてた、初めての研究成果ともいわれています。

再度、鈴木の言葉を借りて、この本の重要性を提示したいと思います。

この書が提示した重要な視点は、観光現象を単なる経済現象や「送り出し側の社会」の問題としてだけではなく、 観光客を「受け入れる側の社会」との相互作用として捉える視点であった。観光研究を「観光産業の研究」以上のものに拡大するという意味で、観光研究一般に新たな視点をもたらした。

[観光研究]2005 .9 / Vol. 17 / No.1 (19頁〜28頁)日本観光研究学会機関紙

特に、この本が重要なのは、

  • 観光という現象を異文化接触と捉える点
  • 観光客と地域住民との関係性を考察する点
  • ホスト側とゲスト側の相互に与える影響(特に文化の変容)を提示した点

です。

これらの点は以降に発展する観光人類学の研究姿勢となりました。

『ホスト・アンド・ゲスト:観光人類学とはなにか』は英語の原著の方が読みやすいと思いますので、ぜひ挑戦してみてください。

⑦『観光のまなざし』

『観光のまなざし』はジョン・アーリが1990年に発表した『The Tourist Gaze: Leisure and Travel in Contemporary Societies』の日本語訳です。

この本でアーリはフーコーが『臨床医学の誕生』で提示した「まなざし」を援用し、歴史上異なり多様な集団である観光客のまなざしの発展と変遷を分析しました。

なぜならば、観光を逸脱行為と捉えるアーリは非観光的な形態から構成される「正常な社会」を理解するために、観光客のまなざしがいかに形成されるかを考察する必要があると考えたからです。

『観光のまなざし』はフーコーの議論を理解することで理解度が増しますので、合わせて読んでみてください。

まとめ

どうでしょう?あなたが関心を持てる本はありましたか?

ここで紹介した本があなたの学術的な感性を刺激するきっかけになれば幸いです。

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