社会学

【社会的行為とは】ウェーバーの4類型と具体例からわかりやすく解説

社会的行為とは

「社会的行為(social action)」とは、

行為者の意図や意味づけを含んだ行為を指します。その行為の本質を解明することが「社会学の目的」とされるほど、社会学にとって重要な基礎概念です。

社会学の解説本を開くと、間違いなく「社会的行為」や「行為」を解説した章があります。それは「社会的行為」の本質を探究することが、社会学の目的の一つだからです。

そのため、社会学を学ぼうとする方には避けては通れない議論です。社会学に関心のない方でも、「人間行為の本質」を説明した枠組みを知ることは、多角的に意味をもつはずです。

そこで、この記事では、

  • 社会的「行為」と「行動」の違い
  • 社会的行為の4類型
  • 社会的行為論の系譜

をそれぞれ解説します。

好きな箇所から読んでも構いませんので、ぜひ読み進めてください。

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1章:社会的行為とはなにか?

まず、社会的行為の定義を確認しましょう。

「社会的行為(social action)」とは、行為者の意図や意味づけを含んだ行為を指します。

「なぜこんな言葉に定義が必要なんだ?」と思った方も、ひょっとしたらいるかもしれません。確かに、「行為」は一般的に使われるため、いちいち専門用語として定義することに違和感があるかもしれません。

しかし、日常的に使われる言葉は定義が曖昧で、専門的な議論をするときに役に立ちません。

たとえば、①「韓国という国が好き」②「韓国という国の方針は嫌い」というとき、「国」という言葉は二つの意味をもちます。①は韓国の文化や歴史、②は政府を指していますね。

このような言葉の混同を避けるために、日常的に使われてもいいような「社会的行為」という言葉を厳密に定義する必要があるのです。

ここでは、「行為」と「行動」の相違を確認することから始めましょう。

1-1: 社会的「行為」と「行動」の違い

社会学で「社会的行動」「社会的行為」という用語が使用されるとき、両者には全く異なった意味が付与されています。

それぞれの言葉の要点を解説します。

1-1-1: 社会的行動の意味

まず、「社会的行動(social behavior)」の意味を解説します。

社会的行動とは、

人間や他の動物による生体の営み

を指します。

つまり、人間や動物の動きや振る舞いを説明する言葉で、第三者の目にうつる身体の物理的な動きを意味します。

1-1-2: 社会的行為の意味

一方で、社会的行為とは、

  • 主観的に意図されたまたは意味の付与された行為
  • 直接的・間接的に他者に向けられた行為

を意味します。

社会的行為の根底には、

  • 社会は人がいないと成立しない
  • 人はただいるだけではなく、他者との交流をとおして、社会的な構成要素となる
  • つまり、社会の構成要素の最小単位は人が他者に働きかける社会的行為である

といった考えがあります。

両者の違いをまとめると、「社会的行動」と「社会的行為」には次のような相違点があるといえます。

「社会的行動」と「社会的行為」の相違点

  • 「社会的行動」・・・人間だけでなく動物を含めた、動きや振る舞い
  • 「社会的行為」・・・意味を付与するといった主観的に意味を操作をする人間の行為

どうでしょう?「社会的行動」「社会的行為」の相違点は理解することができましたか?

特に、「社会的行為」は社会学の方法論や認識論的枠組みの基礎となっており、社会学を学ぶために不可欠な知識です。



1-2: 社会的行為の特徴と具体例

では一体、具体的に人間の行為とはどのようなものがあるのでしょうか?人間の行為は大きく「生理的欲求」「社会文化的欲求」から説明されます。

1-2-1: 生理的欲求とは

生理的欲求とは、

人間は自己生体を維持するための活動

を意味します。

たとえば、人間は食欲や性欲のように生理学的な欲求を満たすための活動をします。

しかし、これだけで人間の行為を説明することはできません。

1-2-2: 社会文化的欲求とは

社会文化的欲求とは、

  • 知的欲や名誉欲などの社会的・文化的に作られた環境から生まれる欲求
  • 「社会的」であるのは、他者との直接的・間接的な関係がある行為だから
  • 「文化的」であるのは、行為の意味内容を方向付けるから

です。

人間は宗教理念、政治思想、価値観などに沿って行動します。そのような行動の多様性は生得的にある「生理的欲求」からではなく、後天的に獲得した「社会文化的欲求」から説明されるべきものです。

この社会的行為を真剣に研究したのが、かの有名な社会学者ウェーバーでした。

1-3: 社会的行為とウェーバーの4類型

社会的行為を深く研究し、その行為の本質を探究することが社会学の目的であると主張したのはマックス・ウェーバー(Max Weber 1864年ー1920年)です。

ウェーバーは「目的合理的行為」「価値合理的行為」「感情的行為」「伝統的行為」の4類型に社会的行為を分類します。それぞれをみていきましょう。

1-3-1: 目的合理的行為

目的合理的行為とは、

目的に対して適合的な手段を選択した行為

です。

たとえば、同じ商品を買うなら安いほうを選択するとか、最短経路で目的地に到着するといったことを意味します。

1-3-2: 価値合理的行為

価値合理的行為とは、

特定の価値観に沿った行為

です。

たとえば、倫理的、芸術的、宗教的な行為はすべて価値合理的行為の具体例です。身近な例でいうと、縁起を担ぐという行為は日本社会における価値合理的行為といえます。

1-3-3: 感情的行為

感情的行為とは、

感情が動機となった行為

です。

「泣く」「笑う」「喜ぶ」といった行為はすべて感情的行為です。目的合理的行為や価値合理的行為に比べて、感情が動機となるため、意味の付与が弱い点が特徴です。

1-3-4: 伝統的行為

伝統的行為とは、

日常の習慣化した行為

です。

深く考えることもなく私たちはさまざまな行為をしています。たとえば、「もしもし」と電話でいうのはなぜでしょうか?私たちは深く考えることなく、そのような行為をします。

多くの場合、もともとは目的合理的行為だったものが日常的な習慣になると、伝統的行為になっていくと考えられています。

このように、ウェーバーは社会的行為を4類型に分類することで、

  • 一般化可能な分析方法を確立しようと試みる
  • 現象の原因と結果の関係(因果帰属)を科学的に説明しようとした

といえます。

これまでの内容はさまざまな解説本で説明されています。解説本は多様な内容がカバーされているため、読みにくいかもしれませんが、次の解説本はうまく「行為論」をまとめています。

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いったん、これまでの内容をまとめます。

1章のまとめ
  • 社会的行為とは、行為者の意図や意味づけを含んだ行為を指す。その行為の本質を解明することが「社会学の目的」とされるほど、社会学にとって重要な基礎概念
  • 人間の行為は大きく「生理的欲求」「社会文化的欲求」から説明される
  • ウェーバーは「目的合理的行為」「価値合理的行為」「感情的行為」「伝統的行為」の4類型に社会的行為を分類した

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2章:社会的行為論の系譜

2章では社会的行為に関する理論の展開を解説します。社会的行為論の前提を確認しながら、ウェーバーの議論がどのように継承されていったのか紹介していきます。

2-1: 社会的行為と観念

ウェーバーが主張したように、社会的行為には「目的合理的行為」「価値合理的行為」「感情的行為」「伝統的行為」といったものがあります。

これらの人間行為の特徴は主観的な観念によって方向付けられた行為だということです。

具体的に、「主観的(subjective)」な「観念(idea)」とは、

  • 「主観的」・・・観念の形成はある特定の社会・文化的コンテキストに依存しており、個々人によってその形成は異なることを意味する
  • 「観念」・・・思考となる意識の内容を意味する

といえます。

ウェーバーは、主観的に方向付けられた行為の過程と結果として、社会文化的な現象が出現すると考えました。人間の行為を体系的に研究することで、社会現象の法則を見つけ出そうとしたのです。

2-2: 社会的行為の展開①:主意主義的行為理論

ウェーバーの議論は大きく2つの方向で継承されます。それは「主意主義的行為理論」「象徴的相互作用論」といわれます。それぞれの理論の要点を解説します。

ウェーバーの研究を継承し展開させたのは、タルコット・パーソンズ(Talcott Parsons 1902-1979)です。両者は「行為」を社会の構成要素としている点を同じです。

しかし、ウェーバーとパーソンズは次のような点に相違点があります。

ウェーバーとパーソンズの相違点

  • ウェーバー・・・もっとも重要視したのは、行為に付与された意味の解釈
  • パーソンズ・・・行為は規範や環境に規定されたもので、目的を達成するための動機づけのエネルギー。社会システム論と統合しやすいものとなっている

パーソンズの議論は、個々人の行為を自然条件や社会文化的要素という客観的条件と結びつけられています。これが「主意主義的」という意味です。

つまり、「主意主義的(volumtaristic)」とは、

人間の行為は客観的条件に規定されつつも、行為者の主観的な意図に方向付けられていること

を指します。

パーソンズの議論は次の本を参照ください。

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2-3: 社会的行為の展開②:象徴的相互作用論

パーソンズと全く異なる継承をしたのは、アルフレッド・シュッツ(Alfred Schütz 1899年ー1959年)です。

シュッツはウェーバーが着目した行為の意味解釈を継承しつつも、相互作用した意味が社会で共有されるのはなぜか?と疑問を立てます。それは後に「象徴的相互作用論」といわれる新たな分野になります。

意味が相互作用であるのは、

  • 行為は他者に向けられているが、その行為は他者に何かの反応を引き起こす
  • 他者の反応は社会的行為に間違いないから、行為は相互作用的である

と考えるためです。

2-3-1: 象徴的相互作用論の研究

社会的な相互作用を重点に置いて議論をしたのは、ジョージ・ミード(George Mead)とハーバート・ブルーマー(Herbert Blumer)です。それは象徴的相互作用論といわれます。

「象徴的相互作用論(Symbolic Interactionism)」とは、

  • 言語、身振り、外見などのシンボルを媒介とした意味のやりとりと捉える
  • その意味は社会的に与えられたものではなく、相互作用をとおして生まれるもの

と考える立場です。

安定した状態の相互行為は「社会関係」といわれ、動的・過程的である相互行為を静的・構造的な側面から捉えようとしたものでした。構造化されたシステムとして社会を捉え直すことで、成員に共有された社会的な規範を中核が分析されていきました。

象徴的相互作用論に詳しくは、ミードまたはブルーマーの書籍を参照ください。

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2章のまとめ
  • 人間行為の特徴は主観的な観念によって方向付けられた行為
  • ウェーバーの議論は「主意主義的行為理論」「象徴的相互作用論」として継承された

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3章:社会的行為の学び方

どうでしょう?社会的行為の概要を理解することはできましたか?

何度もいうように、社会的行為論は社会学の基礎概念です。原著にあたることができなくても、いくつかの解説本にあたり理解を深めていってください。

おすすめ書籍

オススメ度★★★ マックス・ウェーバー『社会学の根本概念』 (岩波文庫)

ウェーバーの社会的行為論を学ぶためにはまずこの本です。今日では多くの批判のある議論からもしれませんが、社会学を学ぶ第一歩ですので、ぜひ読んでみてください。

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オススメ度★★ 碓井タカシ、 大野 道邦、 丸山 哲央、 橋本 和幸(編) 『社会学の理論』(有斐閣) 

社会学の基礎知識がないと読みにくいのが欠点ですが、社会的行為を始めたとした理論が解説されています。理論の系譜などを深くを知りたい方にオススメ。

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まとめ

最後にこの記事の内容をまとめます。

この記事のまとめ
  • 社会的行為とは、行為者の意図や意味づけを含んだ行為を指す。その行為の本質を解明することが「社会学の目的」とされるほど、社会学にとって重要な基礎概念
  • ウェーバーは「目的合理的行為」「価値合理的行為」「感情的行為」「伝統的行為」の4類型に社会的行為を分類。それは人間行為の特徴は主観的な観念によって方向付けられた行為が前提にある
  • ウェーバーの議論は「主意主義的行為理論」「象徴的相互作用論」として継承された

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