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【国際政治学のおすすめ本7選】代表的理論と名著・必読書を紹介

国際政治学の必読本7選

国際政治学の知識は、理論とその成立過程を中心に本から学ぶことをおすすめします。

国際政治学を学ぶ上でポイントになるのは、それぞれの理論の違いを区別し、さらに個別事例を通して理解を深め、それからさまざまな論文を読んでいくことです。

そのため、ただ授業を聞いたりネットで調べるだけでなく、しっかり体系的に学ぶ必要があり、そのためには書籍から学ぶ必要があるのです。

「読み通す自信がない」という方も、自分のレベルにあった本を選べば着実に知識が身に付き、気づけば次の1冊にとりかかっているはずです。

この記事では、初心者、中級者、上級者のそれぞれのレベルに分けて、国際政治学を学べるおすすめの本を紹介しています。

ぜひ興味のあるものを手に取ってみてください。

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国際政治学のおすすめ本:初心者編

「国際政治学に関する十分な知識を持っていない」という初心者の場合、まずは国際政治学について広く理解することが大事です。

前提知識ゼロでも読める、以下のテキストから学び始めることをおすすめします。

①『国際政治-恐怖と希望―』

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国際政治学に関する名著であり、かつ入門書としてもすぐれているものに高坂正堯の『国際政治-恐怖と希望―』があります。国際政治学に関する知識がゼロでも読めるもので、最初の1冊として読むならこの本を強くおすすめします。

この本を読んで大きな考え方を掴んだ上で、次に紹介するテキストを読むのが理想です。

➁『国際政治学(New Liberal Arts Selection)』

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このシリーズは社会科学の広い分野においてオーソドックスなテキストとなっていますが、国際政治学についても網羅的に解説されているとてもいい本です。

国際政治学について理解するためには、まずは「国際政治学の3つの基本的な理論」「国際政治学が問題とするテーマ」などについて把握する必要がありますが、これらについて簡潔に解説されているのが『国際政治学(New Liberal Arts Selection)』です。

初心者向けの本なので、各理論の詳しい内容や、「安全保障」「国際政治経済学」などの下位分野についてはそこまで掘り下げられていません。

しかし、まずは国際政治学を網羅的に把握し、それから各分野の理解を深めるための最初の1冊としてとても優れています。

国際政治学をこれから学ぶ人は、必ず持っておくべき本です。

国際政治史を理解することは国際政治学を理解する上でのベースになります。国際政治史については以下の本がおすすめです。

③『現代国際関係学』

同じく国際政治学の入門書として、新藤榮一の『現代国際関係学』もおすすめです。

こちらは国際政治学ではなく国際関係論のテキストですが、ともに国際社会というフィールドを扱う学問である以上、国際政治学を学ぶ人は国際関係論に無知でいてはなりません。

国際政治学は伝統的な政治学をベースにした学問ですが、国際関係論は経済学、社会学などの周辺領域の分野からのアプローチを含む学際的学問です。

前述の『国際政治学』のテキストと異なり、

  • 国際関係論のベースとなった政治思想、社会思想
  • 主流の国際政治学を批判した、批判理論やポストモダン、コンストラクティビズム(社会構築主義)、フェミニズムなどの理論

などについて詳しく解説されています。

国際政治学の基本的な理論や立場を前提知識として持っていなければ、国際政治学と国際関係論の理解が混乱してしまう可能性はあります。

しかし、前述の『国際政治学』の本の後に、もしくは並行して区別しながら読めば、より深く国際社会について理解を深められます。

国際関係論についてのテキストとしては、以下の本もおすすめです。

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また、以下の本はコンストラクティビズムの立場を取る日本の代表的な国際政治学者、大矢根聡の国際関係論の本です。分かりやすく、現代の理論について理解を深められます。

そもそも政治学の基本から勉強したい場合は、以下の記事で読むべき本を紹介しています。

【政治学の必読本7選】初心者~上級者向け・関連分野の文献まで紹介

国際政治のおすすめ本:中級編

国際政治学には、以下の3つの立場があります。

  • リアリズム(現実主義)
    「国家主体」「パワーが重要な要素」「国家関係は対立的」と考える
  • リベラリズム
    「非国家アクター(国際機関、NGOなど)の主体も重視」「パワー以外も重要な要素」「国家関係は協調可能」と考える
  • コンストラクティビズム(社会構成主義)
    国際社会は、間主観的に構成された「国際規範」「アイデンティティ」「アイディア」などによって規定される側面があると考える

コンストラクティビズムは比較的新しい理論で、リアリズム、リベラリズムは古代から存在し現代まで発展してきました。

この3つの理論を基軸にさまざまな理論が展開してきたのが、国際政治学の歴史です。そのため、国際政治学の基本的な知識を身に着けたら、これら3つの立場についてより深く理解することが大事です。

④『危機の二十年』

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現代の国際政治学を語る上で、E・H・カー(Edward Hallett Carr)の存在を避けて通ることはできません。

カーは第一次世界大戦から第二次世界大戦までの戦間期に行われた、ウッドロー・ウィルソンらの理想主義的行動(国際連盟の設立など)では、大戦を止められなかったことを批判します。

そして、リアリズム(現実主義)的な立場の重要性を主張するのです。

もちろん古い本ですので、最新の国際政治学の理論や動向は学べませんし、戦間期という現代とは異なる情勢の中で書かれた本であることは注意が必要です。

しかし、戦後の国際政治学は、カーから始まったと言っても過言ではありません。古い本ですが、現代人である私たちにとっても十分に読む意義があるのです。

戦後の国際政治学における現実主義は、カーと共にハンス・モーゲンソーによっても作られてきました。モーゲンソーの本も非常に学びのある内容ですので、ぜひ読んでみてください。

⑤『パワーと相互依存』

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国際政治学におけるリベラリズムは、19世紀やそれよりさらに古くまでさかのぼることができます。

しかし、これから国際政治学を学ぶ人にとって最も重要なのが、コヘイン(Robert Owen Keohane)とナイ(Joseph Samuel Nye)の研究です。

コヘインとナイは、

  • 国際社会における相互依存関係を「敏感性」と「脆弱性」という概念で説明
  • 国際社会における力は、軍事力以外にも経済力やエネルギーなど多様
  • 国際社会における主体(アクター)は、国家だけでなく非国家アクター(国際機関、NGO、多国籍企業など)も重要

という研究をしました。これは、その後の国際政治学におけるリベラリズムの理論の基盤となった重要な研究です。

『パワーと相互依存』はすでにこの分野における古典ですが、この本からさまざまな研究が展開していったことを考えれば、必ず読んでおくべき本です。ある程度の前提知識を必要としますので、入門書を読んだ上で手に取ってみてください。

コヘインとナイは国際政治学におけるリベラリズムのの新しい潮流「ネオリベラリズム」の提唱者と言われています。

ネオリベラリズムの古典としては、コヘインの以下の著作も必読書の一つです。

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また、ナイは国際社会における政治的力や文化の力など、非軍事的な力の重要性を主張しました。これを「ソフトパワー」と言い、これも国際政治学における重要な概念です。

和訳されていますので、ぜひ読んでみてください。

日本における「ソフトパワー」的な議論に、田中明彦の「ワードポリティクス」や添谷芳秀の「ミドルパワー外交」もあります。簡単に読める内容なので、読み物としておすすめです。

⑥『国際政治の理論』

ネオリベラリズムの古典を紹介しましたが、それに対して「ネオリアリズム」という現実主義の新しい理論があります。国際政治学者ケネル・ウォルツ(Kenneth Neal Waltz)が発展させた理論です。

ネオリアリズムは、古典的な現実主義の「国家中心」「安全保障中心」「非科学的」という批判にこたえる形で展開した、以下のような特徴を持つ理論です。

  1. 国際社会は無政府状態(アナーキー)である、つまり国家の行動をコントロールできる上位権力が存在しない
  2. 無政府状態では、国家は安全保障を目的として、力(パワー/軍事力など)を手段として行動する
  3. 無政府状態では、国家は互いに不利な立場にならないように行動し、力(パワー)が均衡する
  4. 国際システムの安定(平和な世界)は、パワーの分布状況による(1極、2極、多極などの立場がある)

このネオリアリズムの理論から、覇権安定論や攻撃的リアリズム、防御的リアリズムなど様々な理論が展開しました。

これも、ある程度の国際政治学の前提知識がなければ難しい内容ではありますが、ネオリアリズムを理解するために必ず読むべき本です。

リベラリズムの本とともに、ぜひ手に取ってみてください。

ネオリアリズムは、ジョン・ミアシャイマーの論文をきっかけに発展した理論でもあります。ミアシャイマーはその後も現実の国際政治を分析した研究をしています。

米中関係など現在の国際政治の問題も取り上げられている、以下の本もおすすめします。

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ウォルツが国家間の紛争について分析した以下の本も国際政治学における重要文献です。

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国際政治のおすすめ本:上級編

現代の国際政治学を理解する上では、ネオリアリズムやネオリベラリズムの知識だけでは十分ではありません。

ここまで紹介した分野を前提にしつつ、国際レジーム論やグローバルガヴァナンス論についても理解しておけば、さらに詳しく各分野の論文などを読みこなしていけるでしょう。

⑦『国際レジームとガバナンス』

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国際レジーム論はリベラリズムの流れから展開した理論の一つで、現代の国際社会における国際機関、国際ルール・制度、国際規範などの広い「レジーム」の働きを研究するものです。

現在の国際社会は、単なる経済的合理性や軍事的パワーだけでは説明できないことが多くあります。そこで役立つのが、国際的な課題を解決するために作られる国際レジームの理論です。

この本は、国際レジーム論について基本的なことから網羅的に説明されており、事例も豊富です。国際レジーム論を日本語で学ぶ場合は、これが最良の本です。

理論の本ですから、国際社会のさまざまな出来事、歴史についてある程度しっておかなければ、深く理解することは難しいです。しかし、最低限の国際政治の知識があれば十分に理解できます。

国際レジーム論を学ぶ上では、最初の1冊として必ず読んでみてください。

先ほども紹介した大矢根聡らによる、日米の経済関係をめぐるレジームの著作があります。これも国際レジーム論を理解する上でとてもいい本です。

また、レジーム論と関連が深い分野に地域主義・地域統合があります。この分野の本は以下のものがおすすめです。

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レジーム論は、規範研究と言われる分野とも関連が深いです。規範研究については足立研幾の本がおすすめです。

⑧『グローバルガヴァナンスー政府なき秩序の模索-』

グローバルガバナンスとは、無政府状態にある国際社会において国際問題に対処するための、グローバルな統治のことです。

たとえば、現代社会では気候変動、難民、テロ、国際金融・通商、感染症などさまざまな未解決の課題があります。これらを解決するための統治の方法を研究するのが、グローバルガバナンス論なのです。

グローバルガバナンス論の入門書にもいくつものものがありますが、『グローバルガヴァナンスー政府なき秩序の模索-』は基本的な理解をする上でとてもいい本です。

国際政治学の基本的な枠組みや理論、国際政治経済学、国際協力など関連分野の知識を必要とするため、国際政治学の初心者には難しいかもしれません。

しかし、ある程度の知識を持っていれば難しい内容ではありません。また、章ごとにテーマが異なる論文集なので、興味のあるところから読み進めれば良いです。

グローバルガバナンス論のテキストとして、以下の本もすぐれていますので、ぜひ読んでみてください。

国際政治学の関連分野の重要文献

ここまで国際政治学における理論書を中心に紹介しましたが、国際政治の関連文献としてはこれから紹介するものもとても重要です。

国際政治学の理解を深める上でとても役立ちますので、少しずつ読んでみてください。

『歴史の終わり』

1992年に出版されたフランシス・フクヤマの『歴史の終わり』は、人間社会で歴史上続いてきたイデオロギー闘争が、自由民主主義の勝利によって終わるだろうと主張し、国際政治学の世界で議論を巻き起こした書籍です。

多くの批判を招きましたが、現代でも確かに自由民主主義に対抗するイデオロギーは現れていないため、ある意味でその議論は正しかったと言えなくもありません。

国際政治学を読む方には一読の価値があります。

詳しい内容な以下の記事でも紹介しています。

【歴史の終わりとは】フランシス・フクヤマの議論をわかりやすく解説

『文明の衝突』

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1996年に出版されたサミュエル・ハンチントンの『文明の衝突』は、冷戦が終結し、イデオロギー対立が終わった世界で、今度は世界の8つ(もしくは7つ)の文明間での対立が発生していくと予測したことで有名な本です。

『文明の衝突』は多くの批判を喚起しましたが、なぜ批判されたのか、その議論は本当に批判されるべき内容だったのか、自らの目で判断してみてください。

『文明の衝突』については以下の記事でも詳しく紹介しています。

【文明の衝突とは】ハンチントンの議論から意義・批判までわかりやすく解説

『新しい中世』

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「新しい中世」とは、日本の著名な国際政治学者である田中明彦によって提唱された概念です。

『新しい中世』で論じられたのは、現代の国際社会は「主権国家体制」が崩れる過渡期にあり、中世のように多様な主体が併存する世界システムに向かっているということです。多様化、複雑化する現代の国際社会を説明する理論として、これも一読の価値があります。

『新しい中世』には続編ともいえる下記の本もありますので、こちらも読んでみることをおすすめします。

『新しい中世』について詳しくは以下の記事でも紹介しています。

【新しい中世とは】国際関係の重要概念と3つの圏域をわかりやすく解説

国際政治学の理解を深める上で、以下の本もおすすめです。ぜひ読んでみてください。

ネオコン(新保守主義)について

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EU離脱問題(ブレグジット)について

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米中関係について

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まとめ

あなたが関心を持てる本はありましたか?

ここで紹介した本は、国際政治学の名著や必読書の一部でしかありません。これらの本をきっかけに、あなた自身でどんどん本を見つけて読んでみてください。

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