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【文化人類学的な視点を獲得できる本6選】隣接分野の重要文献も紹介

文化人類学的な視点を獲得できる本6選
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文化人類学の知識は書籍から学びましょう。

文化人類学の大まかなイメージを理解し、次のステップとして文化人類学の概念や歴史を深く理解しようとする方に、書籍はベストな手段です。

「難解で理解できなそう…」と不安な方もいると思います。でも、あなたの関心にあわせた本を選択することによって、その障害を乗り越えることができます。

大事なのはすべてを網羅的に理解しようとするのではなく、あなた自身が選択した本から学ぶことです。

この記事では、文化人類学の書籍を初学者編から上級編まで紹介します。あなたの関心に沿った本を手に取ってみてください。

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文化人類学のオススメ本:初学者編

いきなり中級編・上級編は早いと思う方にオススメなのは、文化人類学の知識をわかりやすく紹介した解説本です。身近な事例を用いて説明してくれるので、わかりやすいはずです。

①『人類学のコモンセンス―文化人類学入門』

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この本では「文化人類学とはどのような問いを発する学問なのか?」「文化人類学者がもつコモンセンス(共通の感覚)とはなにか?」を多くの事例から学ぶことできます。

しかし初学者用の解説本であるため、残念ながら、機能主義構造主義といった文化人類学の理論は紹介されていません。

しかしその一方で、

です。

タイトル通り、文化人類学の「コモンセンス」を身につけるために必須な本です。

文化人類学の入門書としては他にも次のようなものがあります。ぜひ参考にしてください。

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②『メイキング文化人類学』

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文化人類学といえばフィールドワークといわれるほど、その方法論はこの学問のアイデンティティとなっています。『メイキング人類学』は有名な文化人類学者のフィールドワークを取り扱った本です。

文化人類学とフィールドワークの関係は無色透明なものではありません。「誰がどこに行くのか?」といった疑問を発した途端に、植民地主義の歴史が姿を現すからです。

この本の議論は、

  • 有名な文化人類学者の理論が解説された本ではないことに注意が必要
  • 「フィールドワークからどのように学者は自らの考えを練り上げていったのか?」といった議論が中心

です。

文化人類学とフィールドワークの関係は複雑ですが、文化人類学的な視点を獲得するためには必ず知っておきたい内容です。

文化人類学とフィールドワークの関係を学ぶ上で参考になるのは、日本でも大変有名なルース・ベネディクトの『菊と刀』です。フィールドワークをしないで書かれたこの本をあなたはどう評価しますか?

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文化人類学のオススメ本:中級編

さて、文化人類学にはいくつかの重要な理論があります。ここでは、機能主義と構造主義を学ぶための書籍を紹介します。

③『西太平洋の遠洋航海者』

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講談社
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『西太平洋の遠洋航海者』は人類学者のブロニスワフ・マリノフスキー(Bronisław Malinowski)によって1922年に書かれた本です。この本では「機能主義(functionalism)」という社会の分析方法が提示されました。

機能主義とは社会の慣習、例年の行事、制度、文化の各要素は相互に支持しあいながら一つの統合体(社会)を形成する、という考え方を指します。

マリノフスキーはニューギニア東部の島々でおこなわれるクラという交易を調査しました。クラ交易で交換される品々は後に「互酬性」呼ばれるようになり、人類学の重要な研究分野へと発展しました。

遠洋航海用のカヌーの製造からトロブリアンド社会における呪術まで細かい記述がされるため、読者は忍耐力が必要かもしれません。

しかし、文化人類学に与えた影響を考えると必ず読みたい本です。古典的な人類学のフィールドワークを確立したのもマリノフスキーです。この方法論のマニフェストとしても重要な本です。

ラドクリフ=ブラウンという人類学者は同様に機能主義を唱えた人物です。歴史的な偶然ですが、1922年に機能主義の理論のベースとなる二つの書物が出版されています。ぜひ、ラドクリフ=ブラウンの本もチェックしてみてください。

④『野生の思考』

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『野生の思考』は人類学者のクロード・レヴィ=ストロースによって1962年に書かれた本です。日本で大変人気のありますので、レヴィ=ストロースを知っている方は多いのではないでしょうか?

数あるレヴィ=ストロースの研究の中でも、『野生の思考』は、

  • NHKの「100分de名著」に紹介されるほど広く知られる本
  • サルトルの実存主義に終止符をうった本としても有名
  • 「未開人」の思考と近代科学の思考を比較し、未開人の思考は劣ったものではなく、むしろ人類の普遍的な思考のあり方であることを指摘したもの

です。

(*「構造主義ってそもそもなんだ?」と思う方は、まずソシュールの言語学を学ぶことから始めましょう)

難点は議論が難解なことです。予備知識がないと読みにくい箇所が所々あります。しかし、レヴィ=ストロース抜きで人類学を語ることはできないほど影響力がありますので、ぜひトライしてください。

レヴィ=ストロースの入門書はいくつかあります。その他の重要文献と一緒に紹介しておきます。

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文化人類学のオススメ本:上級編

文化人類学は脱植民地化の影響を真剣に検討してきた学問の一つです。それは大まかに次のようなものを意味します。

脱植民地化の影響

  • 文化人類学は「未開」と形容された非西洋の文化・社会のあり方を研究することで、西洋の一元的な価値観を批判してきた学問
  • しかし、文化人類学者と対象社会の不均衡な権力関係、つまり語る側と語られる側の関係が脱植民地化の影響で明らかになる
  • 現地の人々の語る権利を奪い、一方的に代弁するのは文化人類学者であったという事実が明るみになる

ポストコロニアリズムの問題」は未だに継続する問題です。この問題を無視して、文化人類学の未来を考えることはできません。ここではこの問題を考える上で不可欠な本を紹介します。

⑤『民族誌的近代への介入―文化を語る権利は誰にあるのか』

『民族誌的近代への介入―文化を語る権利は誰にあるのか』は文化人類学者の太田好信によって書かれた本です。副題にあるとおり「文化を語る権利」に関して、さまざまな事例から批判的な考察をしています。

文化人類学が直面する脱植民地化の影響を真剣に受け止めて議論がされており、「あの文化が好きだから知りたい」では済まされない今日の現状が示されています。

理論的な知識がないと、読み進めることはできない学術書です。しかし、著者の発する疑問は後回しにできないものです。他文化を知ることに含まれる権力性をしっかり理解したい方にオススメです。

⑥『文化の窮状―二十世紀の民族誌、文学、芸術』

歴史家のジェイムズ・クリフォードが今日の文化概念の窮状を分析した本です。分析の範囲は多岐にわたり、民族誌、文化財、文学、芸術、先住民の土地返還運動が対象となります。一例として、美術館の展示に関する政治性をみてみましょう。

美術館の展示に関する政治性

  • ベルリン民族博物館に収蔵されるズニの戦の神の像がMOMA(NYのある芸術展)に出展されていないことが紹介される
  • ズニの人びとは彼らの戦の神を公衆に展覧することは冒涜であるとみなしており、MOMAの主催者はベルリン民族博物館から持ってこないことを決めたという
  • これが示すのは陳列されるモノが美術館や民族博物館ではない別のところに実は「属している」こと
  • つまり、生きている伝統がそれに対して権利を主張し、近代西洋の制度的システムの内での現在の居場所に異議申し立てをしている証拠である

(『文化の窮状―二十世紀の民族誌、文学、芸術』の第9章と第10章を参照)

このような「文化の窮状」に私たちはどう向き合うべきか議論がされています。専門性が高く読みにくい場合がありますが、ジェイムズ・クリフォードの論考は世界的にも影響力をもちます。ぜひ読んでみてください。

ジェイムズ・クリフォードの論考は他に次のようなものがあります。

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文化人類学の隣接分野の重要文献

ここではカルチュラル・スタディーズの書籍を紹介します。文化人類学とカルチュラル・スタディーズは混同されがちですが、異なる歴史をもつ異なる学問です。

非常に残念なことに、文化人類学者はカルチュラル・スタディーズの文献をあまり読みません。それはさまざまな理由でカルチュラル・スタディーズを「嫌っている」からです。

しかし、カルチュラル・スタディーズの理論は文化人類学を展開していく上で非常に重要です。ぜひ以下の文献を参考に、カルチュラル・スタディーズに関する理解を深めてください。

『Cultural Studies 1983: A Theoretical History』

カルチュラル・スタディーズが誕生する背景や理論的発展が創設者のスチュアート・ホールによって議論された本です。

『Cultural Studies 1983: A Theoretical History』は、ホールが1983年におこなったイリノイ大学での短期講習会と講義をもとに書かれています。

この本を理解するためには、

  • 「レイモンド・ウィリアムズという英文学の文芸批評」(*サブカルチャー大衆文化の記事を参考にしてください)
  • 「古典的マルクス主義の批判的読解」(*上部構造と下部構造の記事を参考にしてください)
  • 「アルチュセールの構造主義的マルクス主義」
  • 「グラムシによるマルクス主義の解釈とヘゲモニー論

などの知識が必要になります。社会科学の基礎知識ですので、ぜひ一緒に学んでください。

『Essential Essays, Volume 1: Foundations of Cultural Studies』

カルチュラル・スタディーズの創設者であるホールのエッセイを集めた論集です。2019年に刊行されたもので、ホールの考えを深く理解するために不可欠な本です。

メディア研究からエスニシティまで広範囲の議論がされており、カルチュラル・スタディーズを学ぶためは最適です。

カルチュラル・スタディーズの書籍は日本語の翻訳が進んでいないので、原著にあたる必要があります。ホールは日本でいう放送大学に勤めた知識人でしたので、わかりやすく説明することに慣れています。英語に不安がある方でもわかりやすいはずです。

日本語の文献としては、以下の解説本をオススメします。

まとめ

どうでしょう?あなたの関心に沿った書籍を見つけることはできましたか?

ここで紹介した本はあくまで文化人類学を学ぶきっかけにすぎません。これらの土台からあなた自身の学問を作り上げてください。

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