倫理学

【功利主義とは】義務論との違いやベンサム~現代の理論までわかりやすく解説

功利主義とは

功利主義(Utilitarianism)とは、18世紀にベンサムによって提唱され、その後J・S・ミルらによって発展させられた倫理理論で、「社会の幸福の総量を増大させる行為が、道徳的に正しい行為である」と考えるものです。

功利主義の影響力はいまだに大きく、倫理学の中心的な理論となっています。また、社会科学の分野に広く影響している思想です。

功利主義について学ぶことは、私たちが自ら行動する上での行動指針になる上、「よりよい社会とはどのようなものか?」という問題を考えるきっかけになります。

この記事では、

  • 功利主義の思想の特徴、ベンサムやミルの主張
  • 功利主義と義務論などの、他の倫理理論との違い
  • 功利主義の理論
  • 功利主義の問題点・批判

について詳しく解説します。

関心のあるところから読んでみてください。

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1章:功利主義とは

もう一度確認しましょう。功利主義とは、社会の幸福の総量を増大させる行為が、道徳的に正しい行為であると考える理論のことです。

「功利」とは「効用」とも言われ、英語にすると「utility」です。

これは、ものや制度が人間にもたらす価値のことで、簡単に言えば、何らかの行為によって人間が得る「快楽」のことです。

この快楽(功利・効用)を基準に、望ましい行動や社会の制度、政策などを論じるのが功利主義です。

もう少し詳しく解説します。

このサイトでは複数の文献を参照して、記事を執筆しています。参照・引用箇所は注1ここに参照情報を入れますを入れていますので、クリックして参考にしてください。

1-1:功利主義の特徴

功利主義は、18世紀の哲学者であるジェレミー・ベンサム(Jeremy Bentham/1748-1832年)が提唱した理論で、その要点を説明すると以下のようになります。

  • 人間の行動原理は「快」「不快」であり、快・不快の量は計算できる
  • 「幸福」とは、快から不快を引いたものである
  • 道徳的に正しい行為とは、社会の幸福の総量を増大させるような行為であり、幸福の総量を減少させるような行為は正しくない

ベンサムは、このような思想を「最大多数の最大幸福」と呼びました。

ベンサムの功利主義とはベンサム

つまり、社会の最も多くの人々に最も多くの幸福を与えるような社会を作るべき、そのような政策を行うべき、という主張です。

「幸福を最大にする」というのは、社会におけるメンバー全員の幸福を最大化させるという意味です。自分の快楽だけを最大化することを正しいと言っているわけではありませんので、注意してください。

1-2:功利主義の具体例

具体的に考えてみましょう。たとえば、国家における税制を考えてみてください。

国家のメンバーは5人で、うち4人は貧乏人、1人はお金持ちです。

この状況で、お金持ちが100万円ずつ貧乏人にお金を渡すと、貧乏人の幸福度が5→10になり、お金持ちの幸福度は10→5になるとしましょう。

すると、社会全体の幸福量は、

お金を配る前:10+(5×4)=30

お金を配った後:5+(10×4)=45

と、お金を配った後の方が大きくなっています。

この場合、このような税制を作ることでお金を配分することが、「最大多数の最大幸福」になるため、正当化されることになります。

ベンサムの功利主義思想について、詳しくは以下の記事でも解説しています。

【ベンサムの功利主義とは】最大幸福からパノプティコンまでわかりやすく解説

1-3:ベンサムとミルの思想の違い

このベンサム的な功利主義に対して、ベンサムの友人ジェームズミルの息子であり、著名な経済学者となったJ・S・ミル(John Stuart Mill/1806-1873)は、理論を一部修正しました。

J・S・ミルJ・s・ミル

ミルの功利主義は「質的功利説」と言われます。

ベンサムは人の幸福を単純に量的に加算することを主張しましたが、ミルによると、

  • 特定の行為から得られる幸福量には差がある
  • たとえば、性的快楽のような本能的な快楽より、知的・文化的な快楽の方が大きな質的に高い快楽が得られる

と考えられました。

ミルの立場を質的快楽説、ベンサムの立場を量的快楽説ということもあります。

ミルの思想は功利主義を含み、経済学や政治学など多岐に渡りますので、詳しくは以下の記事で解説しています。

【JSミルの思想と哲学】功利主義、経済学、政治学の要点をわかりやすく解説

1-4:功利主義と義務論の違い

功利主義は近代における倫理学の中心的な理論を担ってきましたが、人の行為を評価する倫理理論は功利主義だけではありません。

その他にも、義務論徳倫理学と言われる理論が存在します。

それぞれ以下のように異なる立場に立つ理論です。

功利主義 義務論 徳倫理学
正しさの
判断基準
行為の結果が幸福を増進するものであれば、その行為は正しい 特定の「義務」に適合している場合、その行為は正しい

 

行為者の徳や「有徳者」が行うかどうか
善の
判断基準
善とは幸福それ自体 善行の義務にのっとった行為が「善」 徳を持つこと、その徳を持った人が行為すること自体が善
代表的な
論者
ベンサム、J・S・ミルなど カント、ロス、ロールズなど アリストテレス、アンスコム、ハーストハウス、スロート
代表的な
理論・概念
最大多数の最大幸福 定言命法、正義の二原理など 卓越性、フロネーシス、エウダイモニア

特に功利主義と対立する理論として論じられるのが、義務論です。

義務論は、功利主義と同じく「行為」から道徳的正しさを考える理論です。しかし、以下の点に違いがあります。

  • 義務論:正しい行為とは、道徳的な義務にのっとって行われた行為
    例:友人との待ち合わせに遅刻した場合、義務論の立場では、「時間を守る」という義務に反しているため望ましくない行為。友人も遅刻したとしても関係なく自分の遅刻は悪い行為。
  • 功利主義:正しい行為とは、行為の結果が幸福の総量を最大化させる行為
    例:上記の例で、功利主義の立場では、遅刻の結果相手に迷惑をかけた(苦痛を与えた)場合は望ましくないが、相手も遅刻していれば迷惑をかけていないため、悪いことではないと考えられる。

義務論、徳倫理学について詳しくはそれぞれ以下の記事をご覧ください。

【義務論とは】功利主義との違いやカントの倫理学などから詳しく解説

【徳倫理学とは】概念・特徴から問題点までわかりやすく解説

2章では功利主義の理論について詳しく説明していきますので、まずは1章の内容を整理します。

1章のまとめ
  • 功利主義とは、社会の幸福の総量が増大する行為が道徳的に正しい行為である、と考える立場
  • ベンサムがさまざまな行為で得られる快楽を単に加算する立場(量的快楽主義)だったのに対し、ミルは行為によって得られる快楽は質的に異なる(質的快楽主義)と考えた
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2章:功利主義の理論

功利主義は以下の3つの立場から構成されています。

  • 幸福主義:功利主義にとっての善いこと(善)とは、幸福であることのみ
  • 帰結主義:行為の正しさを、結果(帰結)から考える立場
  • 総和主義:関係者の得る快楽を加算し、最大にすることが望ましいとする立場2赤林朗ら編『入門・倫理学』92-94頁

それぞれの立場について詳しく解説します。

※功利主義については、以下の本からも詳しく学ぶことができます。この記事の後に入門書として読んでみることをおすすめします。

2-1:幸福主義

倫理理論はそれぞれ「善(善いこと)」と「正(正しいこと)」について論じますが、功利主義の場合「善(善いこと)」とは、幸福であると言います。

そもそも、倫理学や哲学における「善(the good)」とは、特定の個人や社会において「善い」とされるもの、多くの人が同意する規範、価値観のようなものです。

ただし幸福主義の立場にはいくつかの種類があります。

  • ベンサム(量的快楽説)
    快楽の量は測定可能であり、快楽の量が大きいほど幸福である。
  • ミル(質的快楽説)
    快楽には質的な違いがあり、性的快楽のような本能的な快楽より知的快楽や文化的な快楽の方が高い価値を持つ。快楽の質の高さは、両方を経験した人々がどちらを選ぶかによって分かる。
  • 選択充足説
    「善(善いこと)」とは快楽だけではなく、たとえば苦痛も「善」である場合がある(たとえば登頂する喜びを得るための登山の苦痛など)。そのため価値を測るのは快楽の量ではなく、人々の「選好(preference)」であり、複数の選択肢の間に順位をつけることができる。

このように功利主義の「善」の理論である幸福主義には、いくつかの立場があるのですが、幸福を「善」としている点で共通しているのです。

2-2:帰結主義

倫理学のその他の理論比べて、功利主義の特徴は「帰結主義(consequentialism)」の立場を取ることです。

帰結主義とは言葉通りの意味で、行為の道徳的な正しさについて「行為の結果(帰結)」から判断するという立場のことです。

ただし、帰結主義には種類が分けられます。

それは何の結果(帰結)を「正しさ」の判断基準にするのか、という点に違いがあるからです。

  • 行為功利主義
    行為功利主義とは、「正しさ」の判断基準を「行為の結果」に基づいて判断する立場です。つまり、行為の結果幸福の総量が増大するのであれば、それは正しい行為であると考えられます。
  • 規則功利主義
    規則功利主義とは、「有益な規則」に合致している行為が、道徳的に正しい行為であるとする立場です。有益な規則とは、それが守られる場合に善い結果(帰結)をもたらすような行為のことです。

まとめると、帰結主義はどちらも幸福量を増大させる「結果(帰結)」から、行為のよしあしを判断する立場ですが、それを行為を基準に考えるのか、規則を基準に考えるのか、という違いがあるわけです。

2-3:総和主義

功利主義は、「総和主義」という特徴も持っています。

総和主義とは、結果(帰結)のよしあしについて、

  • 関係者が得られる幸福は加算できる(単純加算主義)
  • 幸福の総量は最大化すべき(最大化)

という立場に立つ考え方のことです。

細かく説明すると以下の用になります。

2-3-1:単純加算主義

単純加算主義(aggregationism)とは、関係者が得る効用を平等に(単純に)加算するという意味です。

「関係者」とはその功利計算をする上で考えるすべての人々、ということで、たとえば日本の政策を考える上で功利主義を活用するなら、日本国民全員が関係者になります。

その関係者が得る効用をすべて加算して、その結果幸福量が増大するかどうか評価しよう、という考え方が単純加算主義です。

2-3-2:最大化

最大化とは、関係者が得る幸福の総量を最大化しよう、という考え方のことです。

これには、単純に幸福量を加算しその総量を最大化すればいいという立場と、社会の格差を広げないことを考慮して、「幸福の平均値を最大化する」と考える立場があります。

たとえば、

  • 国家A:100万人が幸福な社会
  • 国家B:200万人が、国家Aの半分だけ幸福な社会

という2つの国家があるとします。

この場合、どちらも幸福の総量は同じです。しかし、「幸福の平均値を最大化する」という立場の人にとっては、国家Aの方が望ましい社会であるということになります。

功利主義の理論が理解できましたか?

3章では功利主義のいい点を整理し、4章では問題点を説明します。

まずはここまでをまとめます。

2章のまとめ
  • 幸福主義:功利主義にとっての善いこと(善)とは、幸福であることのみ
  • 帰結主義:行為の正しさを、結果(帰結)から考える立場
  • 総和主義:関係者の得る快楽を加算し、最大にすることが望ましいとする立場
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3章:功利主義のいい点

ベンサムが提唱した功利主義は、経済学を中心にさまざまな分野で活用されることになりました。

それほど大きな影響力を持ったのは、功利主義に複数の長所があったからです。

功利主義の長所は以下の点です。

  1. 整合的
    功利主義の理論は、単一の功利原理から構成されているため、あらゆる領域の人間の行為について、整合的に説明できる。
  2. 単純明快
    功利原理やそれを構成する「幸福主義」「帰結主義」「総和主義」などの考え方は、それを支持するかどうかに関係なく、広く共有できる考えである。
  3. 実証可能
    功利計算によって幸福の総量を測ることができるため、実際の政策の是非などが実証的に検証できる
  4. 人間の直感を評価できる
    人間が直感的に感じる是非、優劣、評価と関係なく行為の正しさが分かるため、直感との合致を評価できる(義務論のような直感と結びついた理論では、人間の直感との合致を評価できない)。

このように多くの長所を持つ功利主義ですが、一方でさまざまな批判もなされました。

4章では功利主義についてなされた批判、指摘された問題点を整理します。

4章:功利主義の問題点・批判

功利主義に対する批判には、以下のものがあります3赤林ら、前掲書100-105頁など参考

  • 人間が望むのは快楽だけではない
  • 快楽、選好に還元できない価値もある
  • 苦痛に慣れた人間の快楽・苦痛を適切に評価できない
  • 人間の直感、常識に反する答えを「正しい」とすることがある
  • 不適切な理由で行為することを要求することがある
  • 行為者が中立的であるという立場に対する批判
  • 社会のために個人の行動が強制される
  • 異なる行為の快楽を単純に加算できない

多いので気になるところを読んでみてください。

4-1:人間が望むのは快楽だけではない

ロバート・ノージックは「経験機械」というユニークな思考実験を用いて、快楽のみに価値があると考える幸福主義を批判します。

たとえば、脳を機械とつなげ、電気信号によって快楽を与えるだけの「経験機械」を作ると、脳は快楽を感じ続ける。快楽のみに価値があるなら、これで本人は満足することになるという批判です。

実際の人間は、電気信号としての快楽があればいいのではなく、現実の社会との触れ合いを欲しています。そのため、快楽のみを価値と考える幸福主義は問題点を持っているということです。

4-2:快楽、選好に還元できない価値もある

功利主義は、善(善いこと)とは「快楽」「幸福」であると考えます(幸福主義)。

ですが、善には友情、誠実、勇気など単に「快楽」には還元できないものもあります。義務論などはこれらについても論じますが、功利主義は善という価値を単純に考えすぎている、と批判されます。

4-3:苦痛に慣れた人間の快楽・苦痛を適切に評価できない

世の中には、たとえば奴隷に近いような状態で働かせられ続けている人々、ひどい貧困地域に生まれ貧困のまま育ってきた人も存在します。そのような人々は、わずかな行為で大きな快楽を感じる可能性があります。

このように、置かれた状況で選好が形成されることを「適応的選好形成(adaptive preference formation)」と言います。

苦痛に順応してしまった人に、わずかな便益を与えるだけで、本人が感じる快楽は大きかったとしても、それを「幸福」と呼んでいいものなのか。このような批判があります。

4-4:人間の直感、常識に反する答えを導く

功利主義は、私たちの直感や常識に反する答えを「道徳的に正しい行為」であると言うことがあります。

たとえば、有名な「トロッコ問題」というものがあります。

これは、

  • 自分はトロッコの線路の分岐点に立っており、スイッチによってトロッコを分岐のどちらに行かせるか選べる
  • 分岐の右側の先には5人の人が、左側の先には1人の人がおり、どちらも声は届かないしトロッコが来ていることに気づいていない
  • この場合、1人しかいないほうにトロッコを行かせれば5人を救えるが、この行動は正しいのかどうか

というものです。

功利主義の場合、1人を犠牲にする方が苦痛の総量を減らせるため、1人を犠牲にして5人を救うべきだと言う答えになりますが、これは1人を殺すことを是認することになります。

「そんなの許されるべきじゃない!」と思う人もいるでしょう。

これがつまり、功利主義の「帰結主義」という立場は、直感、常識に反する結論を導くことがあるという批判です。

4-5:不適切な理由で行為を説明する

私たちは、家族や友人、恋人を大事にしますが、それは愛情や友情からくるものでしょう。

しかし、功利主義の立場から考えると、「身の回りの人を大事にするという行為は、身の回りの人の幸福量を増大させるためである」という説明になってしまいます。

これは私たちの心情を正しく反映していないと批判されることがあります。

4-6:帰結を考える情報が得られない

功利主義の「帰結主義」という立場は、行為の結果(帰結)から正しい選択を導こうとします。

しかし、現実問題として何らかの行為をする前にその結果を予測するには、膨大な情報が必要で正確な判断ができない、という批判があります。

たとえば、政府が経済政策を行うときに、その政策の結果得られる幸福の総量を事前に100%予測することはできません。その場合、功利主義の立場からだけでは正しい選択を選べないことになります。

4-7:行為者中立性への批判

功利主義の考え方から行為の正しさを考えると、行為の正・不正は自分自身ではなく、特定の立場を持たない中立的な第三者が判断することになります。

これを「行為者中立性」と言います。

先ほどのトロッコ問題を例に出すと、あなたが「1人を殺して5人を救う」という選択をすることは、中立的な行為者の立場からすると正しい判断である、ということになります。

あなたが殺しても、他の誰かが殺しても、中立的な第三者からすれば正・不正は変わらないからです。

しかし、あなた自身からすれば人を殺すことを「正しい」とは思えないでしょう。

そのため、功利主義の帰結主義が持つ行為者中立性は批判されており、逆に義務論は「行為者相対性」の立場を主張します。

4-8:社会のために個人の行動が強制される

功利主義の「総和主義」の考え方では、一人ひとりの効用を加算し、その総量が最大になるような行為が「正しい」とされます。

そのため、たとえば社会全体の幸福の総量を最大化するために、現役世代に効率の税金や社会保険料が課されることが肯定されます。また、世界の人類の幸福量を最大化することを考えれば、私たちは自分たちの普段の生活を犠牲にしても、貧困国の人々のために高額の寄付をしなければならないとも考えられます。

さらに、功利主義の立場では自分以外の他者の利益はすべて公平に考慮されます。

そのため、たとえば、

  • トロッコの分岐の先の片方に自分の子ども
  • もう片方の分岐の先には高名な医者がいる

という場合に、子どもを犠牲にして、より世界の幸福度に貢献するであろう医者を選ばなければならなくなる、と批判されます。

このように、全体のために個人が犠牲になる可能性がある点に、問題点があると言われるわけです。

4-9:異なる行為の快楽を単純に加算できない

快楽・選好を加算するためには、無数にある行為の快楽・選好を測る普遍的な尺度が必要です。

しかし、実際には一人の人間が牛丼を食べたときの快楽と、読書をしているときの快楽を同じ尺度で測ることはできませんし、ましてはAさんとBさんのそれぞれの異なる行為を、同じ尺度で測ることはできません。

これも、功利主義の単純加算主義に対する批判です。

一般的な批判を列挙しましたが、実際にはそれぞれに深い議論と、功利主義側からの応答があります。

詳しくはぜひ5章で紹介する書籍をあたって調べてみてください。

5章:功利主義のおすすめ本

功利主義について理解を深めることはできましたか?

功利主義は非常に大きな影響力を持つ議論である一方、誤解されていたり、単純な原理レベルでしか知られていなかったりします。

そのため、関心があればぜひ深く学び、自らの分野の勉強に役立てていただきたいです。

おすすめ書籍

児玉聡『功利主義入門―はじめての倫理学』 (ちくま新書)

新書は簡単かつ分かりやすく専門家によって書かれているものが多く、入門書としておすすめです。この本は功利主義のさまざまな議論が網羅的に論じられていますので、はじめて学ぶ方はぜひ読んでみてください。

赤林朗、児玉聡編『入門・倫理学』(勁草書房)

功利主義の理解を深めるためには、功利主義を批判する立場である義務論や徳倫理学など、立場を異にする理論もあわせて学ぶこともおすすめします。この本では倫理学の理論が網羅的に論じられているため、読みたいところをつまみ読みするだけでも学びになります。

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まとめ

この記事の内容をまとめます。

この記事のまとめ
  • 功利主義とは、関係者の幸福量を最大化するような行為が、道徳的に正しいとする立場
  • 功利主義には、単純明快である、整合性がある、実証可能などの長所がある
  • 功利主義には、異なる行為の効用を測る尺度がない、個人より全体のための選択になる、直感・常識と異なる選択肢を正しいとしてしまう、などの批判がある

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