プロテスタンティズム(Protestantism)とは、16世紀から18世紀にかけて行われた、キリスト教の宗教改革の原動力となった思想であり、宗教革命によって形成された思想。「聖書主義」「信仰主義」「全信徒の祭祀性」が中核の思想です。
宗教改革によって生まれたのがプロテスタントであり、プロテスタントはカトリック、東方正教会というキリスト教の3大流派の1つになっています。そのプロテスタントの思想がプロテスタンティズムです。
プロテスタンティズムは一言では説明できない大きな思想ですが、プロテスタンティズムさまざまな近代思想に影響を与えています。
そこでこの記事では、
- プロテスタンティズムの定義、意味
- プロテスタンティズム誕生と形成の歴史
- プロテスタンティズムの現代思想への影響
- プロテスタンティズムを学べる書籍リスト
について解説します。
知りたいところから読んで、これからの学習の参考にしてください。
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1章:プロテスタンティズムとは?
それではこれから、
- プロテスタンティズムとは何なのか?
- なぜプロテスタンティズムを理解する必要があるのか?
について順番に解説します。
1-1:プロテスタンティズムの定義・意味
繰り返しになりますが、プロテスタンティズムとは、
16世紀から18世紀にかけて行われた、キリスト教の宗教改革の原動力となった思想であり、宗教革命によって形成された思想
のことです。
とは言えこれだけではよく分かりませんよね。
簡単に順を追って説明します。
1-1-1:プロテスタンティズムはカトリック教会から分離する動きと共に生まれた
そもそも、プロテスタンティズムは、16世紀以降に「カトリック教会がやっていることは、本当のキリスト教の教えとは違うはずだ」と主張し、ローマカトリック教会から分離した人たち(プロテスタント)が持っていた思想のことです。
なぜこのような動きが起こったのかというと、当時のカトリック教会は「これを買ったら救われるよ」と「贖宥状」と言われるものを売って金儲けに走ったり、地位を維持するために賄賂をやり取りしたりと、腐敗が進んでいたからです。
そのような教会を見て、「本来のキリスト教はこんな宗教ではないはずだ」と考えたのです。
当時のプロテスタントの動きについて、詳しくは以下の本をおすすめします。
1-1-2:プロテスタンティズムの特徴
プロテスタンティズムは、カトリック教会から分離する動きと共に生まれた思想ですから、カトリック教会の思想に対して「本当のキリスト教はこういうものであるはずだ」と主張しました。
プロテスタンティズムの特徴を大まかにまとめると、以下のようなものです。
- 『聖書』主義→カトリック教会の教えより『聖書』に書かれていることが正しい
- 信仰主義→信者はただ信仰すれば良いのであり、過度の宗教的行為は必要ない
- 全信徒の祭祀性→聖書の解釈や、聖職者じゃなくても誰でもできる
簡単に言うと、プロテスタンティズムの特徴はこれだけなのです。
しかし、この思想が生まれたことがその後の資本主義社会の形成に大きな影響を与えました。
※プロテスタンティズムが近代資本主義の形成に与えた影響や、それを解説した『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』については4章で解説します。
1-2:プロテスタンティズムについて理解する意義
「キリスト教の思想になんて興味ない」
と思われる方もいるかもしれません。しかし、プロテスタンティズムについて学ぶことは、
- 近代資本主義社会の形成に、どんな思想が影響したのか分かる
- 欧米社会がどのような思想で発展してきたのか分かる
- 欧米社会が現在どのような思想を持っているのか分かり、宗教だけでなく政治、外交関係などの理解が深まる
- 保守主義や反知性主義、自由主義などの思想の源流が分かる
などの意味があるのです。
特に、政治学、社会学、経済学、歴史などを学びたい人には避けては通れない思想なのです。
そこでここから先では、より詳しくプロテスタンティズムが形成されてきた歴史を解説します。
「もっと詳しく学びたい」という方は、読んでみてください。
- プロテスタンティズムは宗教革命と共に生まれた、カトリック教会の体制や協議に異議を唱えた思想
- プロテスタンティズムの特徴は「聖書主義」「信仰主義」「全信徒の祭祀性」
2章:プロテスタンティズムの歴史
それではこれから、プロテスタンティズムの歴史について解説していきます。
一言で言えば、
「宗教革命と共に生まれる→保守派と革新派に別れる→現代思想に影響」
という流れです。
2章では、プロテスタンティズムの誕生と分派までを解説し、3章ではプロテスタンティズムの現代思想への影響を解説します。
2-1:宗教革命の背景
プロテスタンティズムは、16世紀初めごろからはじまった宗教革命から生まれました。
宗教革命とは、一般的に、マルティン・ルター(Martin Luther)が「95箇条の論題」を教会の門に打ち付け、それをきっかけに始まった運動であるとされています。
実際には、ルター以前からカトリック教会に懐疑的な人はいたようですし、ルターは「95箇条の論題」門に打ち付けたのではなく教会に提出したそうなのですが、やはり宗教革命のきっかけはルターの行動にあったことは確かだと言えます。
とは言え、それが宗教革命という大きな運動に結びついたのは、
- カトリック教会独特の信仰と集金システムの問題点
- 神聖ローマ帝国に住む民衆が感じた抑圧
- カトリック教会の過剰な対応
などにも原因がありました。
2-1-1:カトリック教会独特の信仰と集金システムの問題点
ルターが批判したのは、カトリック教会が金儲けや特権の維持のために作り出したシステムです。
そもそも、キリスト教の教えは、
- 人間は死後には天国に行けなければならない
- しかし人間には「原罪」があり過ちを犯してしまうため、そのままでは天国に行けない
- ただし罪は洗礼によって取り消すことができ、洗礼を受けると天国に行ける
というものでした。
しかし、ここで「洗礼を受けてから死ぬまでの間に犯してしまった罪はどうすればいいの?」
という問題が発生します。
そこで考え出されたのが、「罪を赦してもらう儀式(悔い改めのサクラメント/秘蹟)を聖職者に代行してもらう」という仕組みです。
さらにこの仕組みは、「贖宥状を買うと、聖職者が代わり悔い改めのサクラメントをしてくれる」というシステムに変わり、やがて信者たちは、天国に行くために贖宥状のやり取りをするようになったのです。
つまり、カトリック教会から贖宥状を買うことで信者は天国に行くことができ、カトリック教会はそこから利益を生めるというシステムが生まれたのです。
カトリック教会はこの集金システムを濫用していたため、このシステムやそれを正当化する教義に対して、ルターなどの一部の信者から疑念を持たれることになりました。
2-1-2:神聖ローマ帝国に住む民衆が感じた抑圧
また、当時神聖ローマ帝国の民衆達は、カトリック教会に抑圧されていました。
当時、神聖ローマ帝国の皇帝はカトリック教会の教皇から選出されることになっていました。また、神聖ローマ帝国はカトリック教会から多額の資金を搾取されており、商工業者や農民達は批判的な感情を持つようになっていたのです。
2-1-3:カトリック教会の過剰な対応
宗教改革以前から「カトリック教会の集金システムや教義への疑念」や「神聖ローマ帝国の民衆が感じていた抑圧」から、カトリック教会に対する批判的な姿勢を持つ人は増えていた、という背景がありました。
このような背景がある中で、ルターが教会に対して「その教義って本当に正しいの?」と疑念を論題として提出しました。
それに対して純粋に教義の解釈としての議論をすれば良かったのですが、カトリック教会はルターの主張をもみ消そうとルターを異端者扱いし、排除しようとしました。その結果、ルターはカトリック教会に対する批判をおおっぴらに始めるようになり、それからカトリック教会に対して疑念を持つ声が増え、宗教革命が起こったのです。
2-2:プロテスタンティズムの誕生
ルターの行動をきかっけに、様々なプロテスタンティズムが生まれました。
2-2-1:ルターによる改革
ルター派カトリック教会とは違う教義を打ち出し、旧来のカトリック教会の教義や体制に対して革新的な立場を取りました。
ルターが考える本来のキリスト教の教えとは、以下の3つでした。
- 『聖書』主義→カトリック教会の教えより『聖書』に書かれていることが正しい
- 信仰主義→信者はただ信仰すれば良いのであり、過度の宗教的行為は必要ない
- 全信徒の祭祀性→聖書の解釈や、聖職者じゃなくても誰でもできる
これは、「カトリック教会の教義は金儲けや特権維持のためにねじ曲げられているため、聖書に書かれていることを第一にして、本来の信仰の姿を取り戻そうよ」という思想であり、このルターの主張からカトリック教会の教義を否定し、ルター的な思想を持つ人たちによる運動がはじまったのです。
その結果、1555年には神聖ローマ帝国内の領主は、自らの領邦の宗教を、自分の意思で決定できるようになりました。
つまり、カトリック教会なのか、ルター派(アウクスブルク信仰告白派を名乗っていました)なのか、選べるようになったのです(アウクスブルク宗教平和)。
2-2-2:ルター以外・ルター後の宗教革命
ルターの行動をきっかけに、
- スイス:ジャン・カルヴァンによる改革が行われた→カルヴィニズムの形成(カトリック教会への激しい批判的態度)。
- イングランド:国王が英国教会を設立してバチカンから離脱→現代まで存続(アングリカン)。
- ピューリタン、バプテストなどのより改革志向の運動。
などの改革が起こりました。
特にカルヴィニズムは、ヴェーバーによればその後の資本主義社会の形成に大きな影響を及ぼした思想であり、ピューリタンやバプテストの思想は現代のアメリカの思想にも強い影響を与えています。
次に、プロテスタンティズムから生まれた2つの思想的運動を説明します。
2-3:2つのプロテスタンティズムの誕生
プロテスタンティズムは、もともとカトリック教会の体制や協議に対して反抗して生まれた、いわば革新派の思想でした。
しかし、カトリック教会と部分的に和解し政治的な権力と結びついていくことで、保守的になっていきます。
そんなプロテスタンティズムの保守的姿勢に対して「改革が不徹底だ」と批判し、さらに革新派の思想が生まれました。具体的には、バプテスト、再洗礼派などと言われる人たちです。
こうして、プロテスタンティズムの中にも「保守的なプロテスタンティズム」と「革新派のプロテスタンティズム」が生まれました。
エルンスト・トレルチ(Ernst Troeltsch)は、これを「古プロテスタンティズム」と「新プロテスタンティズム」と分類しました。
■古プロテスタンティズム
- ルターからはじまり権力と結びついていったプロテスタンティズム
- 宗教は政治領域の支配者(領主など)のもので、改革も政治主導で行う
- 教会を「地域共同体としての政治単位」として考えた
■新プロテスタンティズム
- 権力と結びついたプロテスタンティズムを批判してより革新派になったプロテスタンティズム
- 政治的圧力に抵抗するために、近代の自由思想、人権、抵抗権、良心の自由、デモクラシーなど、近代世界の形成に影響を与えた思想を味方に付け、これらの運動の担い手になった
- 宗教市場の自由化を主張→自分たちで理想の教会を設立する自由を求めた
この2つのプロテスタンティズムは、現代の思想まで繋がっています。
2-4:新プロテスタンティズムの資本主義への影響
さて、ここでとても大事なポイントがあります。
それは、新プロテスタンティズムの担い手たちが、教会の設立や自由な拡大、信者の獲得活動など、つまり宗教活動の自由化・市場化を推し進めたということです。
近代資本主義世界では、政府によってしか供給されない財(公共財:社会保障制度や生活インフラ、警察、安全保障など)以外は、ほとんどの市場が自由化・市場化されています。
つまり、法律の範囲内で自由に競争して商品を売ったり、会社を作ったりできるのです。
これは、新プロテスタンティズムの担い手たちが求めた「教会の設立や拡大、自由な信者の獲得」と似ていますよね。これはもちろん、偶然似ているのではありません。彼らの精神が、資本主義の精神になったのです。
彼らが宗教市場の自由化を求めた精神は、その後近代資本主義の社会の形成に少なからず影響を与えたのです。
宗教改革について詳しくは以下の記事で解説しています。
【宗教改革とは】意味・思想・その後の時代への影響をわかりやすく解説
さて、次に、2つに別れたプロテスタンティズムが現代思想に与えた影響について解説します。
- プロテスタンティズムは、カトリック教会の腐敗への疑念、神聖ローマ帝国の民衆のカトリック教会への不満、ルターに対する教会の過剰反応をきっかけに生まれた
- 当初はカトリック教会の改革を求めたルター派だったが、やがて権力と結びついて保守的になり、より革新的な勢力(新プロテスタンティズム)が生まれた
- 新プロテスタンティズムは宗教市場の自由化を求め、その精神が資本主義の形成に影響した
3章:プロテスタンティズムの現代思想への影響
2つのプロテスタンティズムは、
- 古プロテスタンティズム→ドイツを中心に
- 新プロテスタンティズム→アメリカ中心に
現代でも色濃く残っています。
3-1:古プロテスタンティズムが根付いたドイツ
ドイツはもともと神聖ローマ帝国であり、領邦の集まりの国家でしたが、それがプロイセンによって統一(1871年)されてできた伝統があります。
もともと神聖ローマ帝国だったため、ここにはルター派の古プロテスタンティズムが根付きました。
古プロテスタンティズムは、
- 教会と国家が結びつく
- 領主が宗教の決定権を持っている
という特徴がありました。
この姿勢はその後も続き、ルター派は権力と結びついて特権的な地位を得て現在に至っています。
3-1-1:現代のルター派
現在、ドイツにおけるカトリック及びプロテスタントは、法的に特権的な地位が約束されています。
それは例えば、
- 税務署から教会税を代理徴収してもらう
- 神学部の地位、教員の配置
- 宗教関連施設の法的取り扱いの特権
といったことです。
現在でも、これほど宗教が国から保護されているのは珍しいのですが、これも古プロテスタンティズムの伝統なのです。
3-1-2:古プロテスタンティズムの保守主義
古プロテスタンティズムは、もともとカトリック教会を批判し、長い対立と共に栄えてきた思想及び勢力です。
そのため、ある意味信仰に理想を持ち排外主義的な思想を持っていたと言えます。
しかし一方で、古プロテスタンティズムはカトリックや新プロテスタンティズムのような異なる宗派と対立しつつも、共存を目指した思想でもありました。
そして、現在の古プロテスタンティズムは、このような共存を目指す思想に自らの存在意義を見出す思想となりました。
なぜ、共存を目指す思想となったのでしょうか?
それは、戦後のドイツ社会を多元的主義的社会にする必要があったからです。
ドイツはナチス時代の反省から、戦後は移民に寛容な多元的社会を形成してきました。
その上で、再び国家のナショナリズムの再形成のために、ドイツ人の心の奥底に眠っているプロテスタンティズムを利用する必要があったのです。
そこで、古プロテスタンティズムの多元主義的価値観を発掘し、それを国家の精神として活用し、宗派側もそのような面に自らの存在意義を見出すようになったわけです。
そのため、古プロテスタンティズムの保守主義は、排外主義的性格ではなく多元主義的性格になって現在に残っているのです。
3-2:新プロテスタンティズムが根付いたアメリカ
新プロテスタンティズムは、アメリカ、イギリスなどのアングロサクソン社会の形成に影響を与えました。
3-2-1:アメリカ的自由主義の形成
繰り返しになりますが、新プロテスタンティズムは「宗教市場の自由化(教会設立の自由や教会間の競争)」を求めた思想です。
そして、この「宗教市場の自由化」がイギリスではできないと考えた人々(ピューリタン)が移住して作ったのがアメリカでした。
アメリカでも、最初から自由に教会が設立できたわけではないのですが、次第に制度が整備されて自由な設立が可能になりました。
その結果、「自由な教会の設立」「市場化、民営化」「教会間の競争」という精神が強化され、その伝統が自由主義的なアメリカの風土を作ったのです。
※古典的な自由主義やアメリカ的な戦後の自由主義について、詳しくは以下の記事で解説しています。
3-2-2:世俗の成功が救いの証明になる
さらに、アメリカではヨーロッパから伝わったプロテスタンティズムの教義が変化し、世俗での成功(つまりビジネス的な成功)が宗教的な救いの証明になる(つまり天国に行ける)という独自の解釈が生まれました。
もともと、キリスト教には「契約神学」という「神が人間に対して一方的に救いを約束した」という教義がありました。
これがアメリカでは「神は人間を救うことを、人間は神に従うことを約束した」という相互的な契約の考えになり、そこから「神が救いの約束を与えた人には祝福に満ちた人生がある、約束を与えなかった人には祝福に満ちた人生はない」という解釈に発展し、さらにそれが「この世で成功した人が天国に行けるのであり、それは神が約束したことなのだ」という考えが生まれました。
この考えから、アメリカでは世俗的な成功=救いの証明になり、アメリカンドリーム的な生き方が礼賛される文化が生まれたのです。
アメリカでのプロテスタンティズムは、アメリカにおける「反知性主義」も生みました。詳しくは以下の記事で説明しています。
【反知性主義】本当の意味・誤用されるケース・影響力をわかりやすく解説
また、アメリカではプロテスタンティズムの厳格な人々が、保守勢力として政治的力を持つようにもなりました。詳しくは以下の記事で解説しています。
このように、アメリカの自由主義的・資本主義的社会の形成には、新プロテスタンティズムが強く影響しているのです。
ここまでプロテスタンティズムとその社会への影響について解説しました。
そこで次に、マックスヴェーバーが『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』で論じたことについて簡単に解説します。
- 古プロテスタンティズムはドイツに根付き、ドイツのナショナルアイデンティティの形成に影響している
- ドイツの古プロテスタンティズムは、伝統的に権力と結びついており、現代では多元主義的思想を発信・下支えする役割を担っている
- 新プロテスタンティズムはアメリカに根付き、アメリカの自由主義的文化の形成に影響している
- アメリカでは世俗での成功と宗教の救いの証明が一致すると解釈されており、アメリカンドリーム的な生き方が礼賛される文化が生まれた
4章:『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』の解説
「なぜ資本主義はヨーロッパ社会から生まれたのか?」
このような問いに対して「それは、ヨーロッパ社会にプロテスタンティズムが生まれたからだ」と主張したのは社会学者のマックスヴェーバーでした。
ヴェーバーの主張を簡単にまとめると以下のようになります。
■プロテスタンティズムは資本主義的な働き方にマッチしている
プロテスタント、特にカルヴァン派の持つ精神(合理的禁欲)は、資本主義を下支えした工場労働に向いている。
■合理的禁欲をしたのは救いを確認するため
プロテスタントが合理的禁欲の精神を持っていたのは、救いを確認するためである。
プロテスタントは「救われる者は神からあらかじめ決められている(予定説)」という信仰を持っていたため、自分がその「選ばれた者」であるかどうかを確認したかった。
そのために、禁欲的な生活や労働に励んだ。
■プロテスタントは財産を投資した
プロテスタントは信仰のために労働に励んだため、労働によって得た財産を積極的に投資した。その結果、原初的な資本形成に繋がった。
非常に簡単なまとめですが、このような主張をしたのです。3章の説明と合わせて読むと、内容が何となく理解できると思います。
しかし、この記事では本当に簡単な解説に留めているため、もっと詳しいこと、正確な理解を求める場合は、必ず書籍にあたってください。
これから、プロテスタンティズムについて学べるおすすめの本を紹介します。
5章:プロテスタンティズムについて学べる書籍リスト
プロテスタンティズムについて学ぶことは、現代社会がどのような思想によって作られているのか?欧米の政治にどのような宗教的信仰が影響しているのか?など詳しく理解できます。
下記の本を読むことで、大学でのレポート作成や社会人としての本当の教養を学ぶことができるでしょう。
オススメ度★★★深井智朗『プロテスタンティズム-宗教改革から現代政治まで-』(中公新書)
この本はプロテスタンティズムの歴史について理解する上でとても網羅的で分かりやすいものです。この記事も、この本を参考に執筆させて頂きました。
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オススメ度★★マックス・ウェーバー『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』(岩波文庫)
この記事でも紹介した社会科学分野における名著であり必読書です。ちょっと難しいですが、読み通すとヴェーバーの主張がよく分かるでしょう。
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一部の書籍は「耳で読む」こともできます。通勤・通学中の時間も勉強に使えるようになるため、おすすめです。
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まとめ
今回の内容をまとめます。
- プロテスタンティズムは、宗教革命と共に生まれたキリスト教を改革する運動
- プロテスタンティズムの特徴は「聖書主義」「信仰主義」「大衆の祭祀」
- プロテスタンティズムは、古プロテスタンティズムと新プロテスタンティズムに別れた
- 古プロテスタンティズムはドイツのナショナリズムの形成に、新プロテスタンティズムはアメリカの自由主義の形成に影響した
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