政治史

【宗教改革とは】意味・思想・その後の時代への影響をわかりやすく解説

宗教革命とはなにか
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宗教改革「(Protestant Reformation)」とは、

ルターのカトリック教会批判をきっかけとして、カトリック教会からプロテスタントを分離させた一連のキリスト教の改革

のことです。

宗教改革は、遠い昔に起こった私たちに関係がない出来事ではありません。

宗教改革で生まれた思想は、現代のプロテスタントやピューリタンの思想にもつながり、それが資本主義社会やアメリカ文化の形成にまでつながっているのです。

宗教改革について学ぶことは、政治学を中心とした社会科学の勉強の強い土台になりますし、海外事情を理解する上でも重要なポイントです。

そこでこの記事では、

  • 宗教改革とはどのような出来事だったのか
  • 宗教革命の具体的な流れ・歴史
  • 宗教革命について学べる書籍リスト

について詳しく説明しますので、ぜひ知りたいところから読んであなたの勉強に活かしてください。

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1章:宗教改革とは

宗教改革についてもう一度確認しましょう。

宗教改革とは、ルターのカトリック教会批判をきっかけとして、カトリック教会からプロテスタントを分離させた一連のキリスト教の改革

のことです。

1-1:宗教改革は誰が起こした?

宗教改革は、マルティン・ルター(Martin Luther)がカトリック教会に対する疑念を「95箇条の論題」として提出したことからはじまりました。

以前は、ルターが教会の門に95箇条の論題を貼り付けたと言われていましたが、最近ではそうではなく教会に提出したのだと言われています。

とは言え、実はルターは宗教改革を起こそう、プロテスタントという宗派を生み出そうと考えて行動したのではなく、単に腐敗したカトリック教会を改善しようという意思で行動したようです。

また、宗教改革の重要人物にはジャン・カルヴァン(Jean Calvin)もいます。

カルヴァンはルターの行動に影響を受けて、ジュネーブを宗教改革派の都市として作りかえ、国家と教会を明確に区別し、また思想的にも「二重予定説」などの重要な変革を起こしました。

※2人が行った宗教改革について、詳しくは2章で解説します。

1-2:宗教改革では何が改革された?

「それで、ルターやカルヴァンによってどんな改革が行われたの?」

というのが疑問だと思います。

簡単に言えば、カトリック教会の腐敗を批判し、分離勢力であるプロテスタントを生んだということにつきます。

プロテスタントは現代でも、カトリック、東方正教会と並ぶキリスト教の3大宗派の一つです。そしてプロテスタントの思想(プロテスタンティズム)は、

  • 職業労働を積極的に行う精神になり、資本主義を発展させる要因の一つになった
  • 教会の自由な設立を認める考えを生み、市場主義的な思想に繋がった
  • アメリカの自由主義的文化に繋がった

などの影響を与えています。

宗教改革について、以下の本では詳しい内容がコンパクトにまとまっています。ぜひ読んでみてください。

ここまでをまとめます。

1章のまとめ
  • 宗教改革はルターのカトリック教会を良くしようという考えがきっかけにはじまった
  • 宗教改革は現在に続く巨大宗派であるプロテスタントを生み、資本主義的精神などの思想的な影響も生んだ

ここまで簡単に宗教改革について説明しましたが、宗教改革は様々な人が様々な行動をした結果として起こったものです。

そこで、より詳しく知りたい方のためにこれから詳しく、歴史の流れと共に説明します。

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2章:【時系列】宗教改革の流れ

宗教改革は、

  • ルターの教会批判
  • ルター以上の改革を求めたカルヴァンによる改革
  • カルヴァンの思想(カルヴィニズム)の影響でユグノーや長老派を生む

というように改革が進みました。

「そもそも、ルターはカトリック教会の何を批判したの?」

という疑問の声もありそうですので、まずはルターによる宗教改革から説明します。

ここでは、何が起こったかという事実よりも、どのような思想が生まれたのか、なぜ生まれたのか、どのようにその後の時代に繋がっていったのかを知って頂ければと思います。

2-1:ルターの宗教改革

宗教改革をしたルター

マルティン・ルターが95箇条の論題を提出したのは、カトリック教会の腐敗を見たからでした。

具体的には「贖宥状(しょくゆうじょう)」の発行による金儲けをしている教会に対して批判したのでした。

※ルターの人物や思想を知る上で、以下の本がとても参考になります。

2-1-1:カトリック教会の腐敗

そもそも、当時のキリスト教の教えは、

  • 死後に天国に行くのがゴール
  • しかし人間は「現在」を持つため、洗礼を受けなければ罪が消えず天国に行けない
  • 洗礼は聖職者が代行できる

というものでした。

そのため、多くの信者は聖職者に償いの代行をお願いしたのですが、カトリック教会はやがてこれを「贖宥状(しょくゆうじょう)」を持っていれば、償いを代行してもらえる、という仕組みにしていきました。

信者は贖宥状を持つことで、自ら罪を償わなくても救われる安心を得ることができるのですが、贖宥状は有料ですので、贖宥状を発行するほどカトリック教会は潤っていきました。

信者はラテン語が読めないため、贖宥状が『聖書』に書かれていることなのかも判断できなかったのです。

さらに、大司教であったブランデンブルクは禁止されていたはずの大司教の兼務をし、贖宥状の販売権を独占し、大司教の兼務に目をつぶってもらうために教会に多額の賄賂を送りました。

これほど、当時のカトリック教会は腐敗していたのです。

2-1-2:ルターの変革と教会の対応

ルターはこのような制度を見て、「それって本当に必要なこと?」「『聖書』を読んでもそんなことは書いていないはずだが、教会はどう解釈しているの?」という疑問を持ちました。

そして、カトリック教会が腐敗せず改善されて欲しいという思いから、「95箇条の論題」を提出し、カトリック教会の批判をはじめたのです。

当初、ルターはそれほどおおっぴらに教会を批判させようとは考えていなかったのですが、カトリック教会は疑念を提示しただけのルターを「異端者」として破門してしまいます。

なぜなら、

  • 贖宥状の信頼が落ちると、金儲けの手段を失ってしまう
  • ルターの批判がカトリック教会内の対立に飛び火する

と考えたからです。

そして、問題をもみ消すためにルターを異端者扱いし破門にしたのです。

2-1-3:ルターによる公然とした教会批判

破門されたルターは、カトリック教会への批判を公然と行うようになります。

当時、カトリック教会の腐敗を感じていた人は少なくなかった上、ドイツの諸侯はカトリック教会から抑圧されていたため、ルターを支持し、ルターを保護しました。ルターは保護されつつ、当時革命的だった出版技術を使い、またラテン語ではなくドイツ語に訳して、誰でも『聖書』が自分で読めるようにしました。

こうしてルターは、

  • 『聖書』至上主義
    →カトリック教会の教義や解釈より『聖書』に書いてあることを信じよう
  • 全信徒の祭司性
    →聖職者だけでなく、誰もが祭司として『聖書』を解釈できる
  • 信仰義認説
    →教会が命じるようなたくさんの宗教儀式は必要なく、必要なのはただ信じること

というプロテスタンティズムを生みました。

カトリックプロテスタント
教義教会が作った教義『聖書』に書かれていることが最も重要
祭司性聖職者のみが『聖書』を解釈できる誰もが祭司として『聖書』を解釈できる
信仰教会が命じる宗教儀式を行うことが大事教会が命じる宗教儀式よりただ信じることが大事

プロテスタンティズムは現代の社会にも大きな影響を与えていますので、現代社会を理解する上でも重要です。以下の記事も読んでみてください。

【プロテスタンティズムとは】資本主義との関係やヴェーバーの議論をわかりやすく解説

2-1-4:アウクスブルク宗教平和

ルターの影響力は大きく、ドイツの一部の農民達は支配制度への抵抗をはじめました(ドイツ農民戦争)。

ルターによる宗教改革の混乱を収めようと、1555年にはルター派が認められ、カトリック教会は公式にプロテスタント(正しくはアウクスブルク信仰告白派)の存在を認めました。

その結果、神聖ローマ帝国内では、それぞれの領主が自分で自分の支配する領土の宗教を決定できるようになったのです。

2-1-5:職業労働が積極的に行われる精神が生まれる

ルターの思想では、民衆は信仰を表現するために自分の職業で「労働」しなければならないと考えました。

民衆は、職業労働を実践することで直接に信仰を実践できるとされたのです。

そのため、プロテスタントは強い勤労意欲を持ち真面目に労働し、それが資本主義社会の形成の一要因となったと考えられています。

とは言え、実はこれは宗教改革の半面に過ぎません。

次に紹介するカルヴァンの行動がなければ、宗教改革はもっと穏やかなものとして終わっていたかもしれません。

2-2:カルヴァンの宗教改革

カルヴァンが行った宗教改革

ルターの行動をきっかけに、自らも宗教改革に向けて行動し始めたのがカルヴァンです。

カルヴァンもカトリック教会に対する改革派として活動をはじめたのですが、カルヴァンはルターとは異なる思想を持ち、その行動はルターの思想とも異なる結果を生みました。

2-2-1:カルヴァンの思想(二重予定説)

カルヴァンの思想の特徴は、神の全能性と人間の無力さを強調したことです。

簡単に説明すると、

  • どの人間が天国に行けてどの人間が行けないのかは、あらかじめ神によって決められている
  • 神は全能であり人間は無力であるため、神の意志に逆らうことはできない
  • つまり、救われることが予定されている人間は救われるし、救われない人は何をしても救われない

という思想です。

このカルヴァンの思想を「予定説」もしくは「二重予定説」と言います。

このような思想が生まれると、信者の人々はどのように行動するようになると思いますか?

予定説を受け入れた信者は、自分が「救われる人間なのかどうか」がとても不安になります。

そこで、自分が救われる人間であるという確証を得るために、現世での世俗的な成功を目指すようになったのです。

つまり、世俗的に成功すれば、「自分は救われる人間である」と確信できる。

このように考えたプロテスタントが、禁欲的に労働に励んだ結果、資本主義が発達したのだと言われています。

※カルヴィニズムと資本主義の関連について、詳しくはマックスヴェーバーの著作を読むことをおすすめします。

2-2-2:国家と教会の区別

カルヴァンによる宗教改革は、予定説という思想的な面だけではありませんでした。

むしろ、彼の最大の課題は、ジュネーヴにおいて教会を国家から独立させることにありました。

カルヴァンはジュネーヴでの宗教改革で、

  • 牧師は厳しい審査を経て選ばれる
  • 角逐を代表する信徒と牧師から構成される「長老会」が教会の全権限を持つ
  • 長老会は信徒に厳しい信仰を求め、生活を規制する

といった教会組織を作り上げ、教会が長老会によって統治されるようにし、国家が介入しないようにしたのです。

むしろ、国家が教会の教えに従って、正しい宗派を保護し異端派を抑圧することを求めました。

2-2-3:カルヴァンの宗教改革が生んだもの

カルヴァンの宗教改革は、その後の時代に次のような影響をもたらしました。

  • 教会内で民主主義的統治自由主義的思想が育まれた
  • 宗派の保護のために、国家と教会が積極的に関わるようになった

こうした宗教革命の影響が、この時代の新たな政治思想を作るようになったのです。

2-3:その他の宗教改革

その後の社会や思想に与えた影響を考えると、ルターとカルヴァンの宗教改革がやはり大きなものでした。

しかし、宗教改革はルター以降も広がり18世紀まで長い時間をかけて行われたため、他にも下記のような改革が行われました。

2-3-1:ユグノー派の宗教改革

フランスではカルヴァン派が「ユグノー派」と呼ばれ、激しい宗教戦争が行われました(ユグノー戦争)。

パリでは2000人以上のユグノー派が虐殺され、それをきっかけにユグノー派は国王に反旗を翻し、武力による抵抗を主張するようになります。

彼らによって「抵抗権」の思想が打ち出されました。

そしてフランス絶対王政の維持・崩壊に共に携わり、迫害によりフランスから逃亡したユグノーはイギリスやドイツで資本主義社会形成の担い手として活躍していきました。

2-3-2:イングランドの宗教改革

イングランドでは、英国王がカトリック教会から独立して自ら英国教会を設立しました(アングリカン)。

つまり、世俗の王である国王が宗教上の王にもなり、それが現代まで続く伝統になりました。

さらに、このアングリカンを批判したプロテスタントはピューリタンと呼ばれるようになり、自由な教会の設立を求め、その一部はアメリカに渡りアメリカ的な自由主義や反知性主義の文化を作っていきました。

※アメリカの反知性主義的文化の形成へのピューリタンの思想の影響について、詳しくは以下の記事をご覧ください。

【反知性主義】本当の意味・誤用されるケース・影響力をわかりやすく解説

こうして、宗教改革は様々な近代思想のベースを形作り、現在のヨーロッパやアメリカの思想・文化を形作っていったのです。

宗教改革の流れや思想について、理解できたでしょうか?

宗教改革は、実際にはとても複雑で多様な現象です。

そのため、この記事で書いたことはその一部のポイントに過ぎません。全部書こうとすれば1冊の本になってしまうからです。

そこで、宗教改革についてより詳しく知りたい場合は、これから紹介する書籍を読むことをおすすめします。

2章のまとめ
  • ルターは『聖書』の解釈が一番大事である、信じることだけが大事、というプロテスタンティズムを生み出した
  • カルヴァンは「予定説」で、労働に積極的にし資本主義精神のもととなる思想を作った
  • ルター、カルヴァン以降もプロテスタントによる宗教革命が行われた

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3章:宗教改革について学べる書籍リスト

宗教改革は、近代社会や政治思想に大きな影響を残しました。

現在歴史や政治、経済などを学んでいる方や、教養を身につけたい、欧米の文化を理解できるようになりたいという方は、これから紹介する書籍から学ぶことをおすすめします。

オススメ度★★★深井智朗『プロテスタンティズム – 宗教改革から現代政治まで』 (中公新書)

以前も紹介した本ですが、宗教改革の、特にルターの思想や現代社会(アメリカやドイツ)への影響について詳しく分かる本です。

とても面白いのでぜひ読んでみてください。

オススメ度★★永田諒一『宗教改革の真実』(講談社現代新書)

宗教改革における王道的な内容と言うより、教科書などにはあまり書かれていない事実が書かれています。読み物として宗教改革のイメージを膨らますのに役立ちます。

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オススメ度★H.A.オーバーマン『二つの宗教改革: ルターとカルヴァン』(教文館)

ルターとカルヴァンの2人によって行われた宗教改革の繋がりを詳しく論じた本です。非常に良い本ですので、それぞれの思想について詳しく知りたい場合はぜひ読んでみてください。

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まとめ

この記事の内容をまとめます。

この記事のまとめ
  • 宗教改革はルターとカルヴァンによって行われ、カトリック教会の権威を崩した
  • プロテスタンティズムにより、資本主義、市場主義、自由主義に繋がる思想が生まれた
  • ルターやカルヴァン以降も様々な宗教改革が行われた

このサイトでは、他にも現代に繋がる思想の変革を起こした出来事について解説していきますので、ぜひ他の記事も読んでみてください。

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