社会思想

【マクドナルド化とは】その意味からデメリットまでわかりやすく解説

マクドナルド化とは
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「マクドナルド化(McDonaldization)」とは、

マクドナルドのような合理的な生産と消費が外食産業のみならず、現代社会の生活に浸透していることを説明する概念です。

一般的に、社会学者であるジョージ・リッツァの『社会のマクドナルド化』(1993)で提示された概念と考えられています。

「マクドナルド化」の概念はしばしば合理的な外食産業を説明する言葉と勘違いされますが、実際はリッツァによる人類社会の合理化過程に関する分析です。

外食産業と人類社会とを区別しないで混同すると、「マクドナルド化」の概念を読み間違えることになります。

そこで、この記事では、

  • マクドナルド化の意味
  • マクドナルド化の4つの原理(効率性、計算可能性、予測可能性、制御)
  • マクドナルド化と「合理性の非合理性」

をそれぞれ解説します。

ぜひ、あなたの関心を惹く箇所から読み進めてください。

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1章:マクドナルド化とはなにか?

まず、冒頭の定義を確認しましょう。

「マクドナルド化(McDonaldization)」とは、マクドナルドのような合理的な生産と消費が外食産業のみならず、現代社会の生活に浸透していることを説明する概念です。

『社会のマクドナルド化』の邦訳は『マクドナルド化する社会』(1999)です。発刊以来、現代社会の合理性がもたらす弊害を分析する概念として社会学で高い評価を受けてきました。

『社会のマクドナルド化』を理解するためには、リッツァが抱いた問題関心を理解することが大事です。まずはその点を確認しましょう。

1-1: マクドナルド化とリッツァの問題関心

結論からいうと、リッツァの問題関心とは「社会合理化の発生源はどこにあるのか?」というものでした。

そして、リッツァはマクドナルドに代表されるファストフード・レストランの合理的な生産と消費に着目します。

つまり、リッツァは、

  • 社会の合理化はファストフード・レストランに象徴される
  • ファストフード・レストランを基盤にして、社会が合理化へ向かっている

と考えました。

そして、社会が合理化に向ければ向かうほど、社会の非合理性が帰結として出現する、と結論づけます。

お気づきの方もいるかもしれませんが、リッツァの議論はマックス・ウェーバーの合理化論を展開したものです。

(*リッツァの議論とマックス・ウェーバーの合理化論との関係は、2章で詳しく解説します)

  • 社会合理化の要因が生産企業ではなく、ファストフード・レストランにあることがポイント
  • ファストフード・レストランの代表格として登場するのが「マクドナルド」



1-2: マクドナルド化の4つの特徴

さて、リッツァによれば、「マクドナルド化」概念を支える、ファストフード・レストランには次の4つの特徴があります。

  • 効率性
  • 計算可能性
  • 予測可能性
  • 制御

それぞれの特徴について、詳しくみていきましょう。

ポイントはそれぞれの特徴がファストフード・レストランを飛び越えて、さまざまな社会的場面に広がりをみせていることです。

1-2-1: 効率性

効率性とは、

目的達成のための合理的な手段と方法

を意味します。

リッツァよれば、ファストフード・レストランの効率性はメニューの選択肢が限定されて、商品が唯一の方法で製造されていることに由来する、といいます。

このようなファストフード・レストランの効率性が、次にさまざまな社会的場面へと広がっていきます。

効率性のいくつかの事例

  • 購買効率を高めるデパートやコンビニの登場
  • インターネット販売による購買の効率化
  • マークシートに代表される教育の効率化(マック大学)
  • 軽度の裂傷と緊急外来センターなどの区分に代表される効率化(マック病院)

1-2-2: 計算可能性

計算可能性とは、

  • 質より量
  • 生産とサービスの数値化(商品の分量と費用、商品入手までの時間)

を意味します。

計算可能性は二つの意味を含みます。ここでは順番にいくつかの事例を紹介します。

「質より量」

  • マクドナルドは質より胃袋(量)を満たすための場所
  • 高等教育ではGPAといった計算可能な(量的)指標が用いられる
  • テレビ番組では番組の内容よりも視聴率(量)が重視される

「生産とサービスの数値化」

  • マクドナルドでは質的にではなく、量的に業績が評価される
  • 労働者は作業の質ではなく、一日の作業時間(量)によって評価される



1-2-3: 予測可能性

計算可能性とは、

マニュアル化により、いつでもどこでも同じ商品とサービスが提供されること

を意味します。

つまり、世界中どこに行っても同じマクドナルドの商品を食べることができる、という意味です。

このような予測可能性は、ファストフード・レストラン以外の場面でも確認することができます。

予測可能性のいくつかの事例

  • ショッピングセンターで何を買うことができるか、という予測の可能性
  • 遊園地は安全な空間と予測される(社会から提供される予測可能性)

予測可能性で強調される点は、時間、場所、規律がすべて画一化されて、ある程度予測が可能になることです。

1-2-4: 制御

制御とは、

機械的技術を導入することで、脱人間化をすること

を意味します。

この考えの根底には、システムを合理化する上で一番の障害は人間である、という考えがあります。

そのため、ファストフード・レストランだけでなく社会生活のさまざまな場面で、人間の能力を最小化するための工夫がされます。

制御のいくつかの事例

  • マクドナルドでは、人間を機械化することでエラーをなくそうと試みる
  • 教育、医療、社会でも同様の試みがされる(人間行動を規定する規則など)

■ マクドナルド化する社会

マクドナルドを代表とするファストフード・レストランの原理が一般社会で垣間見えることがわかりましたか?

リッツァは人間生活がマクドナルド化によってさらに便利になることを全否定してるわけではありません。

リッツァが強調している点はマクドナルド化(合理化)の弊害として、人間性の喪失や環境破壊という負の遺産があるということです(これがリッツァのいう「合理性の非合理性」)。

いったんここまでをまとめます。

1章のまとめ
  • 「マクドナルド化(McDonaldization)」とは、マクドナルドのような合理的な生産と消費が外食産業のみならず、現代社会の生活に浸透していることを説明する概念
  • マクドナルド化は効率性、計算可能性、予測可能性、制御という特徴から成り立つ

リッツァの議論は『社会のマクドナルド化』に集約されています。いきなり原著を読むことにためらいのある方は、次の解説本をオススメします。リッツァを含めた消費社会に関する議論を簡単に学ぶことができます。

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2章:マクドナルド化のデメリット:合理性の非合理性

マクドナルド化のデメリットとしてリッツァが指摘するのは、「合理性の非合理性」です。

これだけ聞くと「何を言っているの?」と感じる方が多いかもしれませんが、ウェーバーの合理化論と比較することで、マクドナルド化のデメリットが理解できます。

そのため、まずウェーバーの合理化論から解説します。

2-1: ウェーバーの形式合理性と実質合理性

冒頭で述べたように、リッツァの議論はウェーバーの合理化論を展開されたものです。

具体的に、「ポストモダン」といわれる現代社会における合理化の過程を、ウェーバーの合理化論を土台に検討したものです。

ウェーバーの合理化論とは、大まかに次のようなものでした。

ウェーバーの合理化論

  • 西洋近代の本質は、官僚的な制度や資本主義システムといった合理性にある
  • 合理性には特定の文化的基準に基づく意味体系である実質合理性と、技術的に計算可能であり、普遍的に適応される規則である形式合理性がある
  • 目的達成の最適な手段と方法を考えるとき、実質合理性はしばしば形式合理性と緊張関係になる(実質合理性は形式合理性にとって、非合理的な行為となるため)
  • 形式合理性が浸透しすぎると実質合理性が低落して、結果的に非合理的になる

特に、ウェーバーは近代国家の法律や官僚制度が形式合理性の代表的な形態だと主張しました。

ウェーバーの議論を踏まえて、リッツァは、

  • 特に、形式合理性に着目する
  • 現代社会おいて、官僚制度をファストフード・レストランに置き換える
  • 生産のみならず、現代社会における人間生活の合理性の傾向を指摘する

と議論の展開をさせます。

つまり、マクドナルド化はウェーバーのいう形式合理性なのです。そして、現代社会において、マクドナルド化は文化的価値(実質合理性)を飛び越えて、人間生活のあらゆる場面で影響をもちます。

だからこそ、リッツァは人間性の喪失や環境破壊という合理性のなかから生まれる非合理性を「合理性の非合理性」と呼ぶのでした。



2-2: マクドナルド化と「合理性の非合理性」

では一体、リッツァが「合理性の非合理性」というとき、具体的になにを指しているのでしょうか?

社会学者の渡辺敏雄によると、

  1. 「マクドナルド化が合理性の達成方法であるとされながらも、目指した合理性を達成していない、という事態」
  2. 「マクドナルド化の結果、合理化は達成されたものの、他の価値に影響が及んだ、という事態」

という意味があります。

渡辺の「マクドナルド化と企業社会 : ジョージ・リッツァの見解を中心に」(2017/商学論究64巻2号)に沿って、「合理性の非合理性」の2つの意味を確認しましょう。

2-2-1: 「合理性の非合理性」の第一の意味

渡辺によると、たとえば、第一の意味は次のような事例を指します。

ファストフード・レストラン、ドライブスルーの窓口、銀行の現金自動預払機の前に、長蛇の列ができることによって、合理的システムが、非効率な結果に陥る、という事態は、 前者、すなわち、マクドナルド化が合理性の達成方法であるとされながらも、目指した合理性を達成していない、という事態に当たる。(ibid. 256頁)

つまり、「合理性の非合理性」の第一の意味は、効率化を求めた合理性は逆に非効率的なシステムを生み出すといったものです。

2-2-2:「合理性の非合理性」の第二の意味

より重点の置かれた議論は第二の意味でされています。渡辺は次の6つの特徴から第二の意味を説明しています。

「合理性の非合理性」の第二の意味

  1. マクドナルド化の効率性は、消費者の節約に繋がらないどころか、むしろ高くつく
  2. 合理化は、消費者を惹き付ける特質である呪術を喪失させた
  3. ファストフード・レストランは健康被害と環境破壊を引き起こした
  4. 世界中のどこにいても、同じ商品とサービスを提供するという均質化
  5. 「マクドナルドのような仕事は、熟練と能力を殆ど使用しない脱人間化に繋がる傾向にある。そうした仕事は、満足も安定性ももたらさず、その結果、疎外、欠勤と離職が高くなる事態が生じる。」
  6. マクドナルド化による「人間関係の希薄化」(家庭、職場、教育のさまざま場面)

どうでしょう?リッツァが「合理性の非合理性」というとき、何を指してるか理解することはできましたか?

リッツァはマクドナルドの合理的な原理が生活の諸領域へ拡張される過程をウェイバーの合理化論に基づき説明しました。グローバリゼーションの進む世界における特徴を、マクドナルド化の概念はまさに捉えているといえるでしょう。

これまでの内容をまとめます。

2章のまとめ
  • 「ポストモダン」といわれる現代社会における合理化の過程を、ウェーバーの合理化論を土台に検討したもの
  • マクドナルド化はウェーバーのいう形式合理性であり、リッツァは人間性の喪失や環境破壊という合理性のなかから生まれる非合理性を「合理性の非合理性」と呼ぶ
  • 「合理性の非合理性」には、2つの異なる意味がある

リッツァの議論を直訳した文体で読みにくい箇所もありますが、社会学者の渡辺はリッツァの議論をまとめた論文を書いています。興味のある方はチェックしてみてください。

  • 「マクドナルド化の概念 : ジョージ・リッツァの見解を中心に」(2016/商学論究64巻1号
  • 「マクドナルド化と企業社会 : ジョージ・リッツァの見解を中心に」(2017/商学論究64巻2号)
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3章:マクドナルド化の学び方

マクドナルド化について理解を深めることはできましたか?

この記事で紹介できたことは、マクドナルド化論の一部にすぎません。大事なことは原著にあたり、リッツァと「会話」をすることです。

そのような意図があるため、今回は原著しか紹介しません。決して難解な内容ではありませんので、ぜひトライしてみてください。

おすすめ書籍

ジョージ・リッツァ 『マクドナルド化する社会 』(1999)早稲田大学出版部 

マクドナルド化する論を展開した画期的な書籍。マクドナルド化概念を理解するためにはまずこの本を読む必要があります。

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ジョージ・リッツァ『マクドナルド化した社会 果てしなき合理化のゆくえ 21世紀新版 』(2008)早稲田大学出版部 

『マクドナルド化する社会』新訳で、タイトルが『マクドナルド化した社会』に変わっています。一体、私たちの世界にどのような変化があったのでしょうか?

まとめ

最後にこの記事の内容をまとめます。

この記事のまとめ
  • 「マクドナルド化(McDonaldization)」とは、マクドナルドのような合理的な生産と消費が外食産業のみならず、現代社会の生活に浸透していることを説明する概念
  • マクドナルド化は効率性、計算可能性、予測可能性、制御という特徴から成り立つ
  • マクドナルド化はウェーバーのいう形式合理性であり、リッツァは人間性の喪失や環境破壊という合理性のなかから生まれる非合理性を「合理性の非合理性」と呼ぶ

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