心理学

【ハロー効果とは】意味・事例・心理学的実験をわかりやすく解説

ハロー効果とは

ハロー効果(halo effect)とは、他者の評価を行う際に、対象者がもつ1つの特徴を根拠にその人の印象を過大にもしくは過小に評価してしまう認知バイアスの一種です。

私たち人間は、他者を認識するときに、その人のもつさまざまな情報を参考に、その人がどのような人なのかを評価します。

しかし、ハロー効果に影響されると、他者を評価する際、見た目や肩書きなどのわかりやすい特徴をもとに能力を過小にもしくは過大に評価してしまうことがあり、注意が必要です。

そこで、この記事では、

  • ハロー効果の意味
  • ハロー効果の例
  • ハロー効果の心理学実験

をわかりやすく解説します。

好きな箇所から読み進めてください。

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1章:ハロー効果とは

1章では、ハロー効果を「意味」「例」から概説します。

2章ではハロー効果に関する心理学的実験を解説しますので、関心のある箇所だけでも読んでみてください。

1-1: ハロー効果の意味

まず、冒頭の確認となりますが、ハロー効果とは、

他者の評価を行う際に、対象者がもつ1つの特徴を根拠にその人の印象を過大にもしくは過小に評価してしまう認知バイアスの一種

です。

ハロー効果の「ハロー(halo)」とは、「聖像を引き立たせるために像の後ろ側に飾られた光輪や後光」を示します。(渋谷昌三・小野寺敦子『手に取るように心理学用語がわかる本』(かんき出版, 82頁)を参照)

ハロー効果がはたらくと、対象者の目立つ特徴や他者よりも優れたり劣ったりする一面が、後光のようにその人の後ろから差して、その人を立派に見せたり劣って見せたりすることがあるため、そのような名称が与えられました。

しばしば、ハロー効果は「後光効果」「光背効果」「ハローエラー」と呼ばれます。

そして、ハロー効果は、人間がもつ思い込みの心理と解釈される認知バイアスの一種として知られています。

認知バイアスとは、

人間が物事を認識するときに、過去の経験や知識、環境などの様々な要素から作られた個々のバイアス(偏見、偏った見方)もとに物事を認識してしまうこと

です。

身近な言い回しとして、「痘痕も靨(あばたもえくぼ)」ということわざを挙げることができます。これは「好意を持った相手のすることなら何でも好ましく思うことができる」を意味します。

そのため、自分が相手について一度好ましい印象を抱いてしまうと、その動作や見た目がハロー(後光)となり、相手がその後どんな行動をとったとしても好ましく思えてしまう、という状態だと解釈できます。

ちなみに、ハロー効果を提唱したのは、心理学者のエドワード・ソーンダイク(Edward Thorndike)です。ソーンダイクはハロー効果をはじめ、試行錯誤学習やレディネスの法則などの有名な心理現象を発見した心理学者として知られています。

ハロー効果に関していえば、

  • 1920年に彼の論文に初めて「ハロー効果」という単語を紹介された
  • ソーンダイクの死後は、ハロー効果を証明するための実験がアメリカを中心に多くおこなわれた
  • 近年、ハロー効果は、他者から受ける印象を左右する認知バイアスとして、ビジネスの現場を中心に知名度を高めている

といえます。

では、実際にハロー効果はどのような場面で見られる認知バイアスなのでしょうか?



1-2: ハロー効果の事例

ここではハロー効果を「ポジティブ・ハロー効果」「ネガティブ・ハロー効果」から事例とともに紹介していきます。

1-2-1: ポジティブ・ハロー効果

ポジティブ・ハロー効果とは、

他者(評価対象者)の持つ良い点を根拠に、他者について実際以上の好印象を抱いてしまうハロー効果

です。

人間はポジティブ・ハロー効果の影響を受けると、自分にとって好ましく写る特徴をもとに「この人は素晴らしい能力をもっている」「この人は明るい性格だ」というようなポジティブな評価を下してしまいます。

たとえば、名門大学を卒業した新入社員に対する評価を挙げることができます。つまり、学歴に関するハロー効果です。非常に単純化された例ですが、以下の例を考えてみてください。

  • 名門大学を卒業した新入社員は、ハロー効果によって先輩社員から好意的に映ることがある
  • 先輩社員が新入社員について、「難関の○○大学を卒業したのだから、専門の文学について高い教養を持っているはずだ」と考えることは理に適っているかもしれない
  • しかし、「○○大学を卒業したのだから、仕事でも優秀な成績を残してくれるだろう」と考えることは、その社員の本当の実力を測らずして評価を決定しているといえる
  • つまり、名門大学を卒業したことと、営業や事務仕事で素晴らしい成績を残すことに繋がると考えることは論理上非合理的であるにもかかわらず、結びつけられている

このように社員がハロー効果の影響を受けると、名門大学を卒業した新入社員は、通常の大学を卒業した新入社員と比べて、社員から期待されることが多くなる場合があります。

ほかにも、レストランで明るく丁寧な接客を受けたときに、店員が「私生活でも優しい人柄なのだろう」と考えることはハロー効果の影響を受けたといえます。それは店員は接客業のプロフェッショナルとして接客をしただけで、その店員の実際の人柄とは無関係だからです。

このように、ポジティブ・ハロー効果を受けると、他者に実際以上の高評価をしてしまい、本来の人柄に触れないまま他者を理解した気分になってしまうことがあります。



1-2-2: ネガティブ・ハロー効果

一方で、ネガティブ・ハロー効果とは、

対象者の持つ悪い点を根拠に、対象者について悪い評価を下してしまうハロー効果のこと

です。

たとえば、派手な服装をしている人について「不真面目な人だ」「仕事を任せるのは不安な人だ」と評価してしまうことが挙げられます。服装が派手であっても、その人が不真面目な人だと決まったわけではありません。

また、自分が挨拶をしたときに挨拶を返さなかった人について、「他者を見下すような意地悪な性格だ」と早合点してしまうこともネガティブ・ハロー効果だといえます。

論理的に考えると、挨拶を返さなかったことが「他者を見下している」直接的な根拠になると考えることは早すぎる決断だといえます。挨拶を返さなかった人が、自分の挨拶に気がつかなかったために返さなかった、という可能性も十分に考えることができます。

ポジティブ・ハロー効果やネガティブ・ハロー効果の両者に共通する点として、それぞれのハロー効果に影響されると、人間は他者を正しく評価することができなくなってしまうということが挙げられます。他者を正しく評価するためには、肩書きや見た目などの特徴から必要以上に影響を受けないよう、意識する必要があるといえます。

1章のまとめ
  • ハロー効果とは、他者の評価を行う際に、対象者が持つ1つの特徴を根拠にその人の印象を過大にもしくは過小に評価してしまう認知バイアスの一種である
  • ハロー効果には「ポジティブ・ハロー効果」と「ネガティブ・ハロー効果」がある
  • それぞれのハロー効果に影響されると、人間は他者を正しく評価することができなくなってしまう場合がある

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2章:ハロー効果の心理学的実験

さて、2章では具体的な心理学的実験から、ハロー効果に関する理解を深めていきたいと思います。

2-1: シガールとランディの心理学的実験

まず、アメリ人心理学者であるハロルド・シガール(Harold Sigall)とデビッド・ランディ(David Landy)の2人は、対象者のもつ外見的な特徴がその人の評価に及ぼす影響に関する実験を実施しています。

実験の概要は以下のとおりです。

  • 実験には大学生の男性28名が参加し、実験室で出会う男女2人組のうち男性の印象について評価するよう求めた
  • 実験室で出会う男女2人組は実験協力者であり、それぞれの交際相手として振舞っている
  • 実験協力者のうち女性は、魅力が高い容姿(派手な化粧をしておらず、自然な状態)と魅力が低い容姿(奇妙なウィッグを被ったり、厚化粧をしたりした状態)の2グループに分類される
  • また、男性は容姿について言及されることはなかった

そして、カップルの待つ実験質に入った被験者は、カップルのうちの男性について以下の質問に9段階の評価をつけるよう求められました。この実験において、以下の質問の評価値が高いほど、男性は魅力が高い、と評価されます。

  • 男性は賢そうにみえるか
  • 男性は自信に溢れているようにみえるか
  • 男性は友好的にみえるか
  • 男性は才能がありそうにみえるか
  • 男性は刺激的な性格にみえるか
  • 男性は肉体的魅力が高いか
  • 男性はエネルギッシュにみえるか

この実験の結果、

男性が魅力の高い容姿の女性と交際していた場合、魅力の低い容姿の女性と交際していると伝えたときよりも、賢く見えたり、肉体的魅力があるように映ったりすること

が示されました。

この結果についてシガールとランディは、被験者はハロー効果に影響されており、実験協力者の男性を見て、あんなに美しい女性(魅力が高い女性)と付き合っているのだから男性の方も女性に釣り合う魅力を持っているに違いない、と判断してしまったためだと解釈しています。

つまり、男性の魅力に対する評価が、隣にいる女性の魅力によって「後光」が差したように高くなったのです。

(※より詳しくは、Harold Sigall and David Landy (1973)「Radiating beauty: Effects of having a physically attractive partner on person perception」 Journal of Personality and Social Psychology 28(2), 218-224を参照ください)



2-2: ガイゼルマンとハイトとキマタの心理学的実験

では一体、女性同士では印象が変化することはあるのでしょうか?

この点に関して、アメリカ人心理学者のラルフ・エドワード・ガイゼルマン(R. Edward Geiselman)とナンシー・ハイト(Nancy A Haight)、ロリ・G・キマタ(Lori G Kimata)の3人は、1984年に、前述の実験と異なり、ある女性が魅力的な同性の友人をもっていたときに、その女性に対する評価に変化はあるのかを検討しています。

こちらの実験の概要は以下のとおりです。

  • 実験では、はじめに、被験者に3枚の女性の顔写真を見せ、顔写真の3人は友人同士であることを伝える
  • 提示する3枚のうち、中央の写真は実験の操作を加えていない女性(評価対象者)の写真である
  • 被験者には、評価対象者の両脇2名の顔写真を、魅力の高い人物の顔写真と魅力の低い人物の顔写真に変化させたとき、評価対象者から受ける印象はどのように変化するのかについて評定を求めた

実験の結果、評価対象者は「魅力の低い顔写真」に囲まれていたときに比べ、「魅力の高い顔写真」に囲まれていたときの方が魅力的であると評価されました。

つまり、評価対象者はまったく変化していないにも関わらず、魅力の高い女性が友人だと示されたときの方が「美しい」「素敵な人だ」と評価されてしまったのです。

(※より詳しくは. R. Geiselman, N. Haight and L. Kimata(1984)「Context effects on the perceived physical attractiveness of faces」 Journal of Experimental Social Psychology, 20(5), 409–424)を参照ください。)

2-3: ハロー効果の原因

上述の実験をみると、人間は他者を評価する際に、その人の肩書きや交友関係から評価してしまう可能性があります。その原因については多くの心理学者が言及していますが、代表的なものとして2つの説を挙げることができます。

2-3-1: 利用可能性ヒューリスティックの効果

まず、1つ目は、認知心理学の学説である利用可能性ヒューリスティックの効果がはたらいたという説です。

利用可能性ヒューリスティックとは、

  • 人間が物事を認知するときにはたらく思考回路の1つ
  • 知識や経験をもとに「上手くいきそうだ」と感じる選択肢を選んでしまうこと

です。

認知心理学の学説では、人間は物事を認知するとき、知識や経験に基づいて推論を立てることが知られています。将来性がありそうな特徴、信頼できそうな特徴を選びたがるのは、人間の持つヒューリスティックの働きといえるでしょう。

2-3-2: 評価者が他者へ向ける感情

2つ目は、日本の心理学者である斎藤勇が言及している、評価者が他者へ向ける感情からハロー効果が生ずるとする説です。

具体的に、この点に関して、斎藤は「相手に抱く好意感情によって、相手からの働きかけによって生じる感情が大きく左右される」と述べています。(『社会心理学 対人行動の理解』(ブレーン出版, 35頁)を参照)

相手に一度好意的な印象をもつと、見た目や肩書きなどの特徴はもちろん、その他の行動から受ける印象が好意的な方へ傾いてしまうということです。人間は他者への好意感情によって、ハロー効果を生じさせたり加速させたりしてしまい、他者をより良い人物、より悪い人物と捉えてしまうといえるでしょう。

このように、ハロー効果は人間の本能を顕著に表す心理効果だということができます。他者を評価する際には、自分の認知がハロー効果に惑わされていないかを確認するよう心掛けることが大切です。

2章のまとめ
  • ハロルド・シガール(Harold Sigall)とデビッド・ランディ(David Landy)の2人は、対象者のもつ外見的な特徴がその人の評価に及ぼす影響を明らかにした
  • ほかの実験では、ある女性が魅力的な同性の友人をもっていたときに、その女性に対する評価に変化はあるのかが明らかにされた

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3章:ハロー効果を学ぶ本・論文

ハロー効果について理解を深めることはできたでしょうか。

これから紹介する書物・論文を参考にして、さらにあなたの学びを深めていってください。

オススメ書籍

オススメ度★★★ ふろむだ『人生は、運よりも実力よりも「勘違いさせる力」で決まっている』(ダイヤモンド社)

日常場面でハロー効果を効果的に利用する方法について、わかりやすく解説されています。ハロー効果の具体的な活用方法や、ビジネス場面での役立て方について知りたい方におすすめです。

オススメ度★★★ ダニエル・カーネマン『ファスト&スロー あなたの意思はどのように決まるか?』上・下(ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

ハロー効果を含む認知バイアスが、私たちの意思決定にどのような影響を与えているのかが紹介されています。私たち人間が世界をどのように捉え、理解しているのかを知ることができる一冊です。

オススメ度★★ 酒井 穣 『ビジネスでいちばん大事な「心理学の教養」』(中公新書ラクレ)

ビジネスの現場でよくある場面に基づいて、心理効果を解説した一冊です。ハロー効果を効果的に活用するコツなどが、心理学に初めて触れる人でも理解しやすいように説明されています。

その他論文

  • Harold Sigall and David Landy (1973)「Radiating beauty: Effects of having a physically attractive partner on person perception」 Journal of Personality and Social Psychology 28(2), 218-224
  • R. Geiselman, N. Haight and L. Kimata(1984)「Context effects on the perceived physical attractiveness of faces」 Journal of Experimental Social Psychology, 20(5), 409–424
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まとめ

最後にこの記事の内容をまとめます。

この記事のまとめ
  • ハロー効果とは、他者の評価を行う際に、対象者が持つ1つの特徴を根拠にその人の印象を過大にもしくは過小に評価してしまう認知バイアスの一種である
  • ハロー効果には「ポジティブ・ハロー効果」と「ネガティブ・ハロー効果」がある

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