心理学

【確証バイアスとは】意味・例を心理学的実験からわかりやすく解説

確証バイアスとは

確証バイアス(confirmation bias)とは、人間が思い込みから生じた仮説を検証するために、自分にとって都合の良い情報ばかりを集めてしまう傾向性を指します。

確証バイアスに影響されると、事実と異なっていたり、実情にそぐわなかったりするモノの見方を可能性があります。そのため、あなた自身の経験と照らし合わせながら、しっかり理解する必要があります。

この記事では、

  • 確証バイアスの意味
  • 確証バイアスの例
  • 確証バイアスの心理学的な実験

をそれぞれ解説・紹介していきます。

関心のある部分から読み進めてください。

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1章:確証バイアスとは

まず、1章では確証バイアスの「意味」「例」を紹介します。

心理学的な実験に興味のある方は2章から読み進めてください。

1-1: 確証バイアスの意味

冒頭の確認となりますが、

確証バイアスとは、人間が思い込みから生じた仮説を検証するために、自分にとって都合の良い情報ばかりを集めてしまう傾向性

を指します。

反対にいえば、自分にとって都合の悪い情報を無視したり集めようとしなかったりする傾向のも確証バイアスです。

確証バイアスを、さらに簡単に説明すれば、人間は先入観に影響されてしまうことです。心理学者の原田によると、人間は「何かを正しいと思うと、その考えをさらに強めるための心の仕組みを持っている」といいます。(原田 『スタンダード認知心理学』サイエンス社 131頁を参照)

具体的に、確証バイアスに影響された人は、以下のような過程を踏んで仮説の正当性への確信を深めていきます。

  1. 「とある現象の原因は○○である」という仮説をもつ
  2. 確証バイアスに影響され、自分の仮説を支持する事実ばかりに注目する
  3. 「私の仮説を支持する事実はたくさんある」と思い込む

→つまり、仮説は正しい(真実である)

一方で、科学的な手段では何らかの物事について「仮説」を立てたとき、その「仮説」が実際に正しいのかどうかについては、実際に起こった事実から検証していくことが求められます。

実際に、科学者は「Aという現象は、Bという原因によって発生する」という仮説を立てたとき、対象の現象がBという原因によって発生した実例ばかりを集めることはしてはいけません。

B以外の原因で発生したAが存在したとするのならば、それは研究の批判的な継承によって解明されていくべきものです。

仮説を立てて研究していく方法として、仮説演繹法という手法があります。以下の記事も参考にしてください。

【仮説演繹法とは】具体例から特徴・問題点までわかりやすく解説



1-2: 確証バイアスの例

確証バイアスは、私たちの身近な認知に影響しています。たとえば、確証バイアスに影響を受けている例として、血液型占いが挙げられます。

あなたもご存じの通り、血液型占いは、

  • 血液型のそれぞれに性格上の特性があるとする俗説
  • A型は几帳面、B型は大らか、というように、それぞれの血液型に性格の特徴が割り当てられている
  • しかし、血液型占いはあくまで占いであり、A型の人が必ず几帳面というわけではない

という特徴があります。

では、職場の同僚に「デスクが整理整頓されており、いつでも綺麗である」Xさんがいるとします。Xさんに血液型を聞くと、彼はA型であると答えました。A型は血液型占いにおいて几帳面な性格とされます。

血液型占いを信じている人は、「血液型占いは正しい」という仮説を持っているため、Xさんの綺麗に整頓されたデスクを見ると、次のような思考回路を辿りがちだといわれています。

  1. 「XさんはA型だから几帳面(整理整頓が得意)なのだ」
  2. 「A型は几帳面である」
  3. 「血液型占いは正しい(仮説の証明)」

重要なのは、「NさんはA型だが、いつも机が散らかっている」「B型のSさんも、机がいつも整理整頓されている」という事実は無視されがちなことです。この事実のゆがみは仮説(血液型占いは正しい)に合致していない出来事だからです。

さらに、几帳面とされるA型のXさんは異なった場面でも「几帳面らしい」行動を求められるようになります。反対に、大らかだとされているB型のSさんは、実際は几帳面であるにも関わらず、「B型は大らかだからミスが多いかもしれない」という思い込みを持たれる可能性があります。

1章のまとめ
  • 確証バイアスとは、人間が思い込みから生じた仮説を検証するために、自分にとって都合の良い情報ばかりを集めてしまう傾向性を指す
  • 人間はしばしば先入観から仮説の正当性への確信を深めていく
  • 確証バイアスに影響を受けている例として、血液型占いがある

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2章:確証バイアスの心理学的実験

では、確証バイアスはどのような心理学的実験によって証明されたのでしょうか?2章では具体的な実験を紹介していきます。

2-1: 2-4-6課題

確証バイアスの存在を示したのは、認知心理学者のペーター・カスカート・ウェイソン(Peter Cathcart Wason)です。ウェイソンが1960年に行った実験に、「2-4-6課題」と呼ばれる実験があります。

2-4-6課題

  • 2-4-6課題では、あらかじめ決められた3つの整数からなる数列「2-4-6」の法則性を、実験参加者が実験者への質問を繰り返すことを通じて答えるという課題
  • はじめに、実験者は実験参加者に数列は「2-4-6」であることを伝える
  • 実験参加者には実験者への質問の機会が与えられていますが、実験参加者ができる質問は「自分の作った整数列は数列2-4-6と同じ法則に従っているかどうか」に限られている
  • 実験参加者は何度でも質問をすることができ、「2-4-6」の法則性が分かり次第実験者に報告するよう指示される

「2-4-6」の持つ法則性は、「上昇する整数」が正解です。

しかし、実際の実験では、実験参加者の複数人に「偶数列である」という誤答が見られました。その背景には、実験参加者が実験者への質問の際に偶数列ばかりを提示したことがあります。

実験参加者の多くは「2-4-6は偶数列だろう」という仮説を持っていたと予想されます。そのため、自らの仮説を支持する事例(2-6-8や4-6-8)を提示してしまい、誤った仮説への確信を深めてしまいました。

実験参加者は、「1-3-5(奇数列)」「1-2-9(無作為な数列)」を提示することもできました。もしも奇数列や無作為な数列を提示していたのなら、実験参加者は法則性が偶数列ではないことに気が付いたはずです。

ウェイソンは、実験参加者が実験者に質問した数列のパターンに偏りがあったことから、人間は仮説を検証する際に何らかの共通した思い込みがあるのではないか、と考察しました。



2-2: ウェイソン選択課題

ウェイソンは1966年に、確証バイアスに関する有名な実験を行っています。実験参加者は「ウェイソン選択課題(4枚カード問題)」と呼ばれる問題を解くように指示されます。

 

ウェイソン選択課題

  • ウェイソン選択課題は、片面にアルファベットが、もう片面に数字が印刷されているカードを用いたロジックパズル
  • 実験参加者(大学生)は、机の上にこのカード4枚が左から「A」「K」「4」「7」の順番で並べられているとき、「カードの片面に母音が書かれているのならば、別の面には偶数が書かれている」ことを確かめるにはどのカードをめくるべきなのかを考えるよう指示される
  • 課題の正解は、「母音と奇数(Aと7)」をめくること
  • その根拠は、「カードの片面に母音が書かれているのならば、別の面には偶数が書かれている」ことを確かめるためには、「母音の裏には偶数が書かれていること」と「奇数の裏には子音が書かれていること」の2つを調べる必要があるため

しかし、実際に最も多かった回答は「母音と偶数(Aと4)」をめくることだと報告されています。この場合、奇数の裏に子音が書かれていることが確認されていないため、不正解です。

数学の問題になりますが、解くべき課題「カードの片面に母音が書かれているのならば、別の面には偶数が書かれている」ことが「真」であると証明するには、「奇数の裏に子音が書かれている(カードの片面に母音が書かれていないのならば、別の面に偶数が書かれていない)」という「対偶」を調べる必要があるからです。

真を確かめる方法については、実験参加者である大学生ならば必ず知っているといえます。それでも多くの実験参加者が、真を確かめる方法を知っているにも関わらず、間違ってしまったのは、なぜなのでしょうか?

ウェイソンは実験参加者の誤答が引き出された原因について、確証バイアスが関わっていると結論づけています。

具体的には、

実験参加者は、確証バイアスに影響され、仮定を証明する事実ばかり(「カードの片面に母音が書かれているのならば、別の面には偶数が書かれている」ことが証明される事例、すなわち、母音Aの裏に偶数があることや、偶数4の裏に母音があること)を集めようとするため、「母音と偶数(Aと4)」をめくるという選択をしてしまった

と考えられます。

このように、確証バイアスに影響されると、私たちは、正しい答えを見つけることができなくなってしまうことがあります。

確証バイアスに影響された「思い込み」に基づく行動は、仕事などの課題で最善策を取ることができなくなってしまうことや、対人関係の危機を招く一因にもなりかねません。私たちは物事を判断する際に、「自分にとって都合の良いことばかりを集めていないか?」をきちんと確認すべきだといえるでしょう。

本当の事実とは何か、最も有用な方法は何かを模索する際には、批判的な意見も取り入れ、思い込みを意識的に排除しながら考えてみる必要があるでしょう。

2章のまとめ
  • 確証バイアスの実験として、2-4-6課題がある
  • もう一つの実験は、ウェイソン選択課題である

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3章:確証バイアスを学ぶ本・論文

確証バイアスについて理解を深めることはできましたか?

心理学の実験を紹介いてきましたが、これはあくまでもさまざまな議論の一部にすぎません。次に紹介する本からどんどん学びを進めていってください。(参考文献も含む)

オススメ書籍

オススメ度★★★ ダニエル・カーネマン 『ファスト&スロー(上) あなたの意思はどのように決まるか?』(ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

私たちの下す判断は、日々様々な認知バイアスの影響を受けています。確証バイアスの影響で歪んでしまった世界への認知を元に戻すにはどうしたらいいのか、初学者にもわかりやすいように紹介しています。

オススメ度★★ 服部 雅史 小島 治幸 北神 慎司 『基礎から学ぶ認知心理学 人間の認識の不思議』(有斐閣ストゥディア)

確証バイアスをはじめとした、認知バイアスに関する学術的な見解を知ることができます。初めて認知心理学の用語を学ぶ人におすすめの一冊です。

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まとめ

最後にこの記事の内容をまとめます。

この記事のまとめ
  • 確証バイアスとは、人間が思い込みから生じた仮説を検証するために、自分にとって都合の良い情報ばかりを集めてしまう傾向性を指す
  • 確証バイアスに影響を受けている例として、血液型占いがある
  • 確証バイアスの実験として、2-4-6課題やウェイソン選択課題がある

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