国際問題

【ゴミ問題とは】日本・世界の現状から取り組みまでわかりやすく解説

ゴミ問題とは
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ゴミ問題とは、日常生活や経済活動などによって発生したゴミや廃棄物が増加している問題のことです。

グローバル化が進む現代において、SDGsをはじめ地球規模の問題を世界全体で解決していく風潮になっています。その中でも、ゴミ問題はこれまで高い関心を寄せられてきました。

そこで、この記事では、

  • ゴミ問題の原因と現状
  • 日本のゴミ問題の歴史と取組み
  • 日本のゴミ問題に対する現在の取り組み

について解説します。

好きな箇所から読み進めてください。

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1章:ゴミ問題とは

1章では、世界と日本における「ゴミ問題の現状」「原因」について説明します。

このサイトでは複数の文献を参照して、記事を執筆しています。参照・引用箇所は注1ここに参照情報を入れますを入れていますので、クリックして参考にしてください。

1-1:世界ゴミ問題の現状

世界のゴミ問題の現状は、開発途上国と先進国では大きく異なります。なぜなら、経済発展レベルの差が、ゴミ廃棄物の管理レベルにも影響しているからです。

一般的に、ゴミ廃棄物の管理レベルは、以下の4つの段階に分類できます。

  1. 公衆衛生の段階
  2. 環境保全の段階
  3. ゴミ削減と3R導入の段階
  4. 循環型経済の構築の段階

ゴミ廃棄物管理の段階(図1「ゴミ廃棄物管理の段階」出典:JICA HP「世界の世界のゴミの現状を知る」

開発途上国の場合、①と②の段階に位置しています。

①の段階では、ゴミ収集が行われていないことで、さまざまな場所にゴミが捨てられ、放置され、衛生面で大きな問題になっています。

②の段階では、ゴミ収集が行われていても、焼却せず埋め立てるだけで、結果として環境問題を引き起こしています。

一方、先進国の場合は、③と④の段階に位置していることが多く、

  • ③の段階では、ゴミを焼却して埋め立て、ゴミの削減に取り組む段階、
  • ④の段階では、ゴミの再資源化を徹底し、循環型の経済を目指している段階

となります。

したがって、一言とゴミ問題といっても、各国の現状や段階に合わせた対策に取り組んでいく必要があることが分かります。

また、2018年に世界銀行が発表した報告書「What a Waste 2.0」によると、急速な都市化と人口増加により、世界の廃棄物年間発生量は、2016年の推定20.1億トンから、今後30年で34億トンに達すると予測されています。

つまり、何も対策をしなければ、2050年までに現在のレベルより70%増加することになります。

さらには、近年特に大きな問題になっているのがプラスチックゴミです。プラスチックゴミは適切に回収・処理されなければ、何百年もの間、水路や川・海の生態系に影響を及ぼします。それにもかかわらず、プラスチックゴミの削減やリサイクルが進んでいないのが現状です。

→プラスチックゴミ問題について詳しくはこちら

そして、これらの問題が起こる原因の根幹には、人々のゴミ問題への意識の低さが大きく影響していると言えるでしょう。



1-2:日本のゴミ問題の現状

上述した図1で示した廃棄物管理のレベルでいえば、日本は③から④へと移行している段階に位置しています。

つまり、現在の日本のゴミ問題における課題は、ゴミの削減再資源化です。

日本のゴミの総処理量の推移(図2「日本のゴミの総処理量の推移」出典:環境省「一般廃棄物処理事業実態調査の結果(平成29年度)について」

図2を見てわかるように、ゴミの総処理量は減少傾向にあります。OECDのデータでも、総量に関しては先進国の中で33位という位置づけです。(OECDのHP「Municipal都市廃棄物」の統計データ, 最終閲覧日2020年5月11日)

しかし、問題はその内訳で、日本の場合はほとんどが直接焼却されており、その割合は先進国でワースト1位です。つまり、リサイクル等の再資源化される割合が少ないことが大きな課題となっています。

これと関連して、ゴミの最終処分場、つまり埋め立て地もあと約21年で満杯になると予想されており、問題が山積みとなっています。(たとえば、環境省「一般廃棄物の排出及び処理状況等(平成30年度)について」などがある)

1-3:日本のゴミ問題の原因

では一体、日本のゴミ問題の原因は何なのでしょうか?それは主に以下の2点です。

①土地確保が難しい

まず、ゴミの処分を焼却に依存している点は、日本が島国であることで、大陸の国に比べてゴミの埋め立てを行うための土地を確保しにくいことが関係しています。

ゴミを埋め立てる土地が限られている以上、できるだけ少ない面積でたくさんのゴミを埋めたいと考えた日本は、焼却することでゴミの体積を減らそうと考えました。事実、日本のゴミ焼却施設の数は他の先進国に比べ、群を抜いて多いです。

②ゴミの総量が多い

また、ゴミの量についても、1-2で減少傾向であると書きましたが、依然として多いことには変わりありません。最終処分場の土地面積の限界を考えると、現在の処分方法で続けていくことは不可能であるため、ゴミの量自体を減らしていかなければなりません。

加えて、日本は使い捨て商品の使用や過剰包装、食品ロスなど、ゴミの量を削減する上で取り組まなければいけない課題がたくさんあります。

これらを解決するには、消費者の意識が変わり、それが生産者の変化にもつながることが必要です。そのために、日本政府はこれまで2章で紹介するような取り組みを行ってきました。

1章のまとめ
  • ゴミ問題とは、日常生活や経済活動などによって発生したゴミや廃棄物が増加している問題のことである
  • ゴミ問題といっても、各国の現状や段階に合わせた対策に取り組んでいく必要がある
  • 日本のゴミ問題における課題は、ゴミの削減と再資源化である
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2章:ゴミ問題への対策の取り組み

2章では、日本のゴミ問題への対処の歴史、現在実施されている対策について説明していきます。

2-1:日本のゴミ問題への対処の歴史

結論からいえば、日本のゴミ問題への取り組みの歴史は、図1で示した「ゴミ廃棄物管理の段階」と重なります。4つの時期に沿って、詳しく説明していきます。

2-1-1:1940年代~:公衆衛生の向上

時代は、戦後の1945年~1950年代にさかのぼります。戦争の終結とともに都市への人口集中が始まり、都市ゴミが急増しました。

当時、ゴミ収集は人が手車を使って行っていたこともあり、ゴミの急激な増加に対応できず、町の至る所にゴミが飛散し、公衆衛生上の問題が多く発生していました。

この都市ゴミ問題の解決を図るために政府は、1954年に清掃法を制定し、市町村におけるゴミの収集・処分に、国や都道府県が財政的・技術的援助をすることを義務付けました。

これが日本におけるゴミ問題への取組みの第一歩となりました。

2-1-2:1960年代~:生活環境の保全

1960年代~1970年代になると、日本は高度経済成長期に入ります。所得の増加による家電などの急激な普及、スーパーやコンビニの登場など、大量生産・大量消費の経済構造になることで、ゴミの量はさらに増加していきました。(→消費社会に関する学術的な議論はこちら

とくに問題になっていたのが、工場から排出される大量の産業廃棄物です。これらは適切な処理が無いまま廃棄され、不法投棄なども起こるようになりました。その結果、日本各地で公害問題を引き起こし、人々に健康被害にまで発展することになります。

1970年、政府は廃棄物処理法を制定し、廃棄物処理の方法の仕組みを改め、公害問題への取組みも含めた生活環境の保全に取り組むよう明示しました。

2-1-3:1980年代~:ゴミの削減

1980年代~1990年代、バブル景気を迎えた日本は、さらにゴミの量が増大するだけでなく、ゴミの種類も多様化していきます。たとえば、現在もゴミ問題の中心となっているプラスチックやペットボトルが普及したのもこの頃でした。

これらが焼却されることで発生するダイオキシン類による健康被害も問題となりました。ゴミの急増により最終処分場の限界も叫ばれるようになり、ようやくゴミの削減リサイクルが叫ばれるようになります。

その結果、

  • 1993年に環境基本法
  • 1995年に容器包装リサイクル法
  • 1998年に家電リサイクル法
  • 1999年にダイオキシン類対策特別措置法

と、次々と法律が制定されていきました。

2-1-4:2000年代~:循環型社会の構築

そして2000年、20世紀の大量生産・大量消費・大量廃棄型の経済システムからの脱却し、21世紀は循環型の持続可能な社会を目指すようになり、3RReduce減らす、Reuse繰り返し使う、Recycle再利用する)が循環型社会の合言葉となりました。

これを機に、各自治体がリサイクルセンターを設置したり、資源ゴミの分別収集を始めたりし、国民のリサイクルへの意識を高めるような取組みが推進されていきます。



2-2:現在行われている対策

ここでは、日本の現在ゴミ問題への対策を「行政」「企業」「市民」のレベルからみていきましょう。

2-2-1:行政が行っている対策

まずは、行政が中心となって行っている対策、主に法律や制度を列挙します。

容器包装リサイクル法(1995年~)

ペットボトルやガラスびん、スチール缶、アルミ缶,牛乳などの紙パック、生鮮食料品や惣菜のトレー、段ボールなどを各家庭で分別してゴミに出し、それを自治体が収集し、企業が再商品化するというリサイクルを制度化した法律。

家電リサイクル法(1998年~)

  • 消費者はエアコン、テレビ、冷蔵庫・冷凍庫、洗濯機について適正な引き渡しを行うとともに、リサイクルの費用を負担する
  • 小売店はこれらの対象商品の収集と運搬を行い、メーカーはリサイクルを行う
  • これらのリサイクル処理によって,鉄,銅,アルミニウム,ガラス等が資源の有効利用を推進するための法律

食品リサイクル法(2000年~)

  • 食品廃棄物等の発生抑制・減量に努め、食品廃棄物を肥料・飼料に転用するなどの再生利用や処分時の熱エネルギーの回収に関する基本的な事項を定めた法律
  • その他、食品の製造、卸売、小売、外食の各段階における食品関連事業者に対して、食品循環資源の再生利用を促進するための様々な措置を講じている

自動車リサイクル法(2002年~)

  • 自動車に含まれる処理困難で不法投棄につながる三品目(シュレッダーダスト、フロン類、エアバッグ類)を自動車メーカーが引き取り、リサイクル・破壊することを定め、使用済自動車の積極的なリサイクル・適正処理を推進した法律
  • 使用済自動車の処理費用に関しては、リサイクル料金として、自動車の所有者の負担となっている

プラスチック製買い物袋の有料化(20207月~)

  • プラスチック製買物袋を扱う小売業を営む全ての事業者が対象に、プラスチック製買い物袋(一部対象外)を1円以上の価格で有料化することを義務付けたもの
  • 2020年4月現在、多くの自治体ですでに先行開始されている

2-2-2:企業が行っている対策例

次に、企業がゴミ問題に対して独自に取り組んでいる例を紹介します。

■イオン

たとえば、イオンは、自社の農場で作った野菜を店舗で販売し、店舗で出た食品廃棄物を堆肥に加工し、それを利用して再び自社農場で野菜を育てる「完結型食品リサイクルループ」という取り組みをしています。これによって、2025年までに食品廃棄物を半減させることを目標にしています。

■ユニクロ

また、ユニクロは、不要になった服を回収し、リユースとして活用し、世界各地のNGO・NPOや難民キャンプ、被災地への緊急災害支援など、服を必要としている人たちに届ける活動を行っています。そして、リユースできない服は燃料やリサイクル素材としての活用を行っています。

2-2-3:市民が各自でできる対策

最後に、ゴミ問題を解決するために、私たち市民が取り組める3Rを紹介します。

  • リデュース・・・マイバッグ・買い物袋を持参する。紙タオルなどの使い捨て商品の使用を減らす。食品は必要なだけ購入し、食べ残しをしない
  • リユース・・・シャンプーや洗剤は、詰め替え容器を使用する。包装紙や段ボールを再使用する。フリーマーケットを利用する
  • リサイクル・・・地域の集団回収に協力する。ペットボトル、トレー、紙パックなどの拠点回収に協力する。紙・布、ガラスびんの分別収集に協力する。地球にやさしいエコマーク商品を購入する

今となっては常識になっているかもしれませんが、一人一人が日常から意識することでゴミ問題が解決に向かっていくはずです。

2章のまとめ
  • 日本のゴミ問題への取り組みの歴史は、「ゴミ廃棄物管理の段階」と重なる
  • 日本では「行政」「企業」「市民」のレベルから、ゴミ問題への対策がおこなわれている
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3章:ゴミ問題について学べるおすすめ本

ゴミ問題について理解できましたか?

さらに深く知りたいという方は、以下のような本をご覧ください。

オススメ書籍

オススメ度★★★ 小島道一『リサイクルと世界経済 貿易と環境保護は両立できるか』(中公新書)

リサイクルをゴミ問題だけでなく、世界経済の観点から語る一冊。ゴミ問題の理解をさらに深めたい方におすすめの一冊。

オススメ度★★★ 三橋規宏『<基本のキホン> 地球の限界とつきあう法「01世代」のための循環型社会入門』(日本経済新聞出版)

ゴミ問題とは、循環型社会とは、など環境問題全般を基礎から解説してくれる入門書。日本だけでなく、世界からの視点からも考えることが出来る一冊です。

オススメ度★★ 鈴木武『一日一センチの改革―ゴミゼロへの挑戦』(致知出版社)

松下グループの経理担当の一社員が、社内のゴミを98パーセント資源化することに成功したノンフィクション。身近なところに焦点を当て環境問題を考えることができる一冊。

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まとめ

最後にこの記事の内容をまとめます。

この記事のまとめ
  • ゴミ問題とは、日常生活や経済活動などによって発生したゴミや廃棄物が増加している問題のことである
  • ゴミ問題といっても、各国の現状や段階に合わせた対策に取り組んでいく必要がある
  • 日本では「行政」「企業」「市民」のレベルから、ゴミ問題への対策がおこなわれている

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<参考・引用文献>

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