国際問題

【プラスチックゴミ問題とは】現状から解決のための取り組みまでわかりやすく解説

プラスチックゴミ問題とは

プラスチックゴミ問題とは自然には分解されないプラスチック製のゴミが増加することで、自然環境や動物、人間の健康に被害をもたらす問題のことです。

ゴミ問題が叫ばれて久しい現代において、プラスチックゴミ問題は世界的な関心事となっています。

特に大きな問題となっているのがマイクロプラスチックです。マイクロプラスチックは、環境破壊につながり、魚や動物、そして我々人間にとっても脅威になり得る問題です。

この記事では、

  • プラスチックゴミ、マイクロプラスチックの定義
  • プラスチックゴミ問題の現状
  • プラスチック問題への取り組み

について説明していきます。

好きな箇所から読み進めてください。

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1章:プラスチックゴミ問題とは

まず、1章では「プラスチックゴミの定義」「プラスチックゴミ問題の現状」について説明していきます。

1-1:プラスチックゴミ・マイクロプラスチックとは

確認となりますが、プラスチックは石油を原料として製造されます。プラスチック製品が開発された当初は、画期的なものとして注目を浴び、その後世界でも20年以上生産され続けてきました。

現在、世界では年間約4億トンものプラスチックが生産されています。冒頭でも述べたように、プラスチックは自然分解されず、半永久的に残るという特徴があり、それによってさまざまな被害が報告されています。

1-1-1:マイクロプラスチックとは

その中でも、最近とくに問題視されているのがマイクロプラスチックです。マイクロプラスチックとは、5㎜以下のサイズになったプラスチックのことを指します。

マイクロプラスチックは、それができる過程によって以下の2種類に分類されます。

  • 一次的マイクロプラスチック・・・マイクロサイズで製造されたプラスチックのこと。洗顔料や歯磨き粉などのスクラブ剤等に利用されているマイクロビーズ等。排水溝等を通じて自然環境中に流出するため、回収は困難
  • 二次的マイクロプラスチック・・・使用済みのプラスチックがポイ捨て、またはゴミ処理の輸送過程で環境中に出てしまい、雨と一緒に川に流され、やがて海を流れる。その中で波や岩・砂の作用で破砕・細分化され、5㎜以下の大きさになったもの

そして、プラスチックの種類は100種類以上ありますが、その中でもマイクロプラスチックを生み出す根源になっていると言われているのは、

  • ポリエチレン(PE…洗剤ボトル、バケツ、レジ袋、ラップ、紙パックの内外面など
  • ポリプロピレン(PP…ストロー、ペットボトルキャップ、文具、医療器具など
  • ポリ塩化ビニル(PVC…クレジットカード、ホース、水道管、合成皮革など
  • ポリスチレン(PS…ハンガー、食用品トレイ、プリンターなど
  • ポリエチレンテレフタレート(PET…ペットボトル、卵パック、包装フィルム、衣類の繊維など

です。

1-1-2:プラスチックゴミの問題

では一体、プラスチックゴミの何が問題なのでしょうか?

国立環境研究所の田崎(2019)によると、プラスチックゴミには大きく分けて3つの問題点があります。

  1. 枯渇性の化石資源を用いるという資源利用の非持続可能性
  2. 焼却することによって発生する温室効果ガスの排出による気候変動
  3. 適正に処分されずに自然環境中に排出され生態系や景観などに悪影響を及ぼす

それぞれ解説していきます。

①については、上述の通り、プラスチックが石油という限りある資源から作られていることから、いつまでも使い続ける事が不可能な点を指摘しています。

②については、ゴミを焼却処理した場合に発生するメタンガスなどの温室効果ガスが、気温上昇、すなわち地球温暖化の原因となっていると言われている問題です。

③については、ポイ捨てなどによる景観の問題だけでなく、近年、魚などの海の生態系に大きな影響を及ぼしているマイクロプラスチックも問題視されています。「海洋プラスチック問題」とも呼ばれています。



1-2:プラスチックゴミ問題の現状

さて、次に現在のプラスチックゴミ問題の現状をみていきましょう。

1-2-1: プラスチックゴミ問題の現状

UNEP(国連環境計画)の2018年の報告は、プラスチックゴミ問題に関して以下のように発表しています。(*UNEP「SINGLE-USE PLASTICS – A Roadmap for Sustainability」2018, https://wedocs.unep.org/bitstream/handle/20.500.11822/25496/singleUsePlastic_sustainability.pdf?sequence=1&isAllowed=y (最終閲覧日:2020年5月6日)を参照)

  • 世界で毎年4億トンのプラスチック製品が製造されいる(2015年)
  • 4億トンのうち、一番多いのが容器や包装を目的としたもので36%を占める(2015年)

年間のプラスチック廃棄量(2014年)は以下の通りです。

  • 1位 中国…約4000万トン
  • 2位 EU(28カ国合計)…約1600万トン
  • 3位 アメリカ…約1500万トン
  • 4位 インド…約800万トン
  • 5位 日本…約500万トン

そして、年間の国民一人当たりのプラスチック廃棄量(2014年)は以下の通りです。

  • 1位 アメリカ…約45㎏
  • 2位 日本…約32㎏
  • 3位 EU(28カ国合計)…約30㎏
  • 4位 中国…約29g
  • 5位 インド…約5㎏

このようにみると、プラスチック廃棄量については、やはり先進国が上位に連ねていることがわかります。特に、日本が廃棄しているプラスチックゴミの量が国民一人あたりに換算すると世界2であったことは、ご存じなかった方も多いのではないでしょうか。

また、次のデータは「陸から海へ流出したプラスチックゴミの年間発生量(2010年)」の順位です。

  • 1位 中国…353万トン
  • 2位 インドネシア…129万トン
  • 3位 フィリピン…75万トン
  • 4位 ベトナム…73万トン
  • 5位 スリランカ…64万トン
  • 30位 日本…6万トン

このデータでは、東・東南アジアの国で、中国を除くとどれも一般的に開発途上国と呼ばれている国が上位を占めています。一方で、先ほど国民当たりの廃棄量2位だった日本は、それぞれ30位で、そこまで高い数値ではありません。

これはいったいどういうことなのでしょう?実は、日本はプラスチックゴミを他国に輸出しています

以下は、2019年の日本の廃プラスチック輸出量のデータです。

【輸出先】

  • マレーシア…26.2万トン(29.1%)
  • 台 湾…15.2万トン(16.9%)
  • ベトナム…11.7万トン(13.0%)
  • タ イ…10.2万トン(11.4%)
  • 韓 国… 8.9万トン(9.9%)

(*JETRO「2019年の日本の廃プラ輸出量は90万トン、100万トン割れは2004年以来」https://www.jetro.go.jp/biznews/2020/02/5c7b57b5cc67b51c.html (最終閲覧日:2020年5月6日)を参照)

廃プラスチック総輸出量は89.8万トンにもなりますが、なぜこのような輸出をおこなうのでしょうか?結論からいえば、人件費(コスト)の削減が目的です。

膨大なプラスチックゴミを排出する日本は、その処理にも多くの人件費を必要とします。人件費の高い日本ではそのコストを捻出できないことから、人件費の安い海外に輸出しているのです。

1-2-1: マイクロプラスチックゴミ問題の現状

また、先ほど取り上げたマイクロプラスチックの観点からも見ていきましょう。

世界では、年間約800万トンものプラスチックが、ゴミとして海に流れ込んでいると推計されており、そこから発生するマイクロプラスチックも相当な量が海に漂っていることが予想されます。

事実、近年、魚や海鳥の体内から大量にマイクロプラスチックが見つかっています。これらが食物連鎖によって、最終的に私たちの体内にも蓄積されているのではないかと懸念されています。

WWF(世界自然保護基金)によると、「1週間に1人平均5gのプラスチックを体内に取り入れているとみられる」という報告もなされています。それが私たちの健康被害につながるかどうかについては、まだ研究の途中であり、明確には分かっていません。

しかし、少なくともプラスチック自体が食べることを想定して作られてはいないことだけは言えるでしょう。そのため、プラスチックが人体に入り込むことがいかに問題であるかは明らかです。

1章のまとめ
  • プラスチックゴミ問題とは自然には分解されないプラスチック製のゴミが増加することで、自然環境や動物、人間の健康に被害をもたらす問題のことである
  • 日本は、人件費を理由にプラスチックゴミを他国に輸出している
  • マイクロプラスチックは相当な量が海に漂っており、それは人体に入り込んでいると予想されている
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2章:プラスチックゴミ問題への取り組み

2章では、プラスチックゴミ問題を解決するために、日本や世界が実施している取り組みを紹介します。

2-1:日本政府の取り組み

まず、日本政府は2018年に「海岸漂着物処理推進法」の改正と「第4次循環型社会形成推進基本計画」の策定を発表しました。それぞれ解説していきます。

2-1-1:海岸漂着物処理推進法の改正

海岸漂着物処理推進法の改正では、主にプラスチックゴミの排出抑制やマイクロプラスチックの使用抑制についての内容が盛り込まれました。変更の概要は以下の通りです。

  • 海の漂流ゴミや海底ゴミについて処理を進める
  • プラスチック製容器包装のリデュースなどによる廃プラスチック類の排出抑制の推進
  • 効果的で効率的かつ持続可能なリサイクルの推進
  • 分解・再生可能なプラスチックの利用の推進
  • マイクロプラスチックの海への排出抑制のための、事業者による洗い流しスクラブ製品の使用抑制、国による実態把握の推進
  • 同分野における途上国支援や地球規模のモニタリングを通したネットワークの構築

2-1-2:第4次循環型社会形成推進基本計画

第4次循環型社会形成推進基本計画は、今あるプラスチックゴミを減らし、プラスチックの資源循環をさらに推進していくための戦略として策定されました。

その中の「プラスチック資源循環戦略」では、以下のような中間目標を示しています。

リデュース

  • 2030年までにワンウェイプラスチックを累計25%排出抑制
  • ワンウェイプラスチックとは、一回使用されただけでゴミ、または資源として回収されるプラスチック製品のことである
  • 2020年7月から全国で始まる「レジ袋の有料化」は、ワンウェイプラスチック削減の具体的な取り組みの一つ

リユース・リサイクル

  • 2025年までにリユース・リサイクル可能なデザインに
  • 2030年までに容器包装の6割をリユース・リサイクル
  • 2035年までに使用済みプラスチックを100%リユース・リサイクル等により、有効活用

再生利用・バイオマスプラスチック

  • 2030年までに再生利用を倍増
  • 2030年までにバイオマスプラスチックを約200万トン導入

最後に登場した、バイオマスプラスチックとは、トウモロコシなどの穀物資源などが原料として一部含まれたプラスチックのことで、日本が特に力を入れている分野の一つです。

ただ、化石燃料の使用の抑制にはつながっても、これによって環境保護につながるかどうかは未知数のようです。



2-2:国際社会における取り組み

次に、国際社会におけるプラスチックゴミ問題に対する取り組みをみていきましょう。

2015年、国連持続可能な開発サミットにおいて、国連加盟国193カ国が2030年までに達成すべき17の目標として「SDGs」が掲げられました。

SDGsとは「誰も取り残さない」を合言葉に、17のゴールと169のターゲットから構成され、途上国のみならず、先進国自身が取り組むユニバーサルな世界共通の目標です。

この中で、目標の12番目「つくる責任つかう責任」と14番目「海洋・海洋資源の保全」において、プラスチックゴミを含む廃棄物について定められています。これをきっかけにして、世界各国で脱プラスチックの取り組みが加速していくことになります。

たとえば、以下のような世界的な流れが生まれていきます。

  • 2016年のG7伊勢志摩サミットや2017年の国連環境総会(UNEA3)といった国際会議では、プラスチック問題が議題の中心となる
  • 2018年のG7サミットにはシャルルボワサミットでは、英国、フランス、ドイツ、イタリア、カナダの5か国とEUにより、具体的なプラスチックリサイクルの数値目標などを定めた「海洋プラスチック憲章」に署名した(日本とアメリカは海洋プラスチック憲章の署名を拒否し、非難を浴びた)
  • 中国は、2017年に「廃プラスチック輸入禁止措置」を実施し始めた。その後、タイなどでも同様の制限を強化することを決めた

前章でも述べたように、日本は廃プラスチックを輸出しているため、今後海外への輸出はますます厳しくなっていくでしょう。

したがって日本にとっては、国内で廃プラスチックの排出を削減し、どうしても出てしまうプラスチックはリサイクルできるような体制の構築が急務となっています。



2-3:民間企業における取り組み

プラスチックの流れは、民間企業にも影響を与えています。ここでは、民間企業におけるプラスチックゴミ削減のための取り組みを3つ紹介します。

  • スターバックス・・・2018年7月、プラスチック製ストローの使用を世界中の店舗で2020年までに廃止することを発表し、大きな話題になった
  • イケア(IKEA)・・・2018年6月、2020年までに全世界で使い捨てプラスチック用品の販売廃止を発表した。また店舗内のレストランでの使用も廃止している
  • 日清食品・・・2018年8月、カップ麺の容器を自然分解される「生分解性プラスチック」に順次切り替えていくことを発表。2021年には全ての切り替えは完了する予定

世界的な脱プラスチックの取り組みを、民間から政府レベルまで理解することができたのではないでしょうか。

2章のまとめ
  • 日本政府は2018年に「海岸漂着物処理推進法」の改正と「第4次循環型社会形成推進基本計画」の策定を発表した
  • 国連持続可能な開発サミットにおいて「SDGs」が掲げられて以降、世界的な脱プラスチック的な取り組みが拡がっている
  • 世界的な脱プラスチック的な取り組みは、民間企業からも垣間見える
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3章:プラスチックゴミ問題について学べるおすすめ本

プラスチックゴミ問題の全体像を掴むことはできましたか?

さらに深く知りたいという方は、以下のような本をご覧ください。

オススメ書籍

オススメ度★★★ 枝廣淳子『プラスチック汚染とは何か』(岩波書店)

プラスチックゴミ問題を、環境政策の視点だけでなく、経済・産業政策の側面にも焦点を当て解決策を検討した書物です。私たち個人が取り組むべき課題も見えてくる一冊です。

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オススメ度★★★ チャールズ・モア、カッサンドラ・フィリップス『プラスチックスープの海 北太平洋巨大ごみベルトは警告する』(NHK出版)

海洋プラスチックゴミの脅威と実態について、海洋ゴミ第一人者のが語った書物です。調査船による調査研究によって分かった衝撃の事実を知ることの出来る一冊。

オススメ度★★ 保坂直紀『クジラのおなかからプラスチック』(旬報社)

海のプラスチックゴミ汚染について、分かりやすい解説とともに理解することができ、世界が注目する環境問題を知ることができるおすすめの一冊です。

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まとめ

最後にこの記事の内容をまとめます。

この記事のまとめ
  • プラスチックゴミ問題とは自然には分解されないプラスチック製のゴミが増加することで、自然環境や動物、人間の健康に被害をもたらす問題のことである
  • マイクロプラスチックは相当な量が海に漂っており、それは人体に入り込んでいると予想されている
  • 国連持続可能な開発サミットにおいて「SDGs」が掲げられて以降、世界的な脱プラスチック的な取り組みが拡がっている

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その他参考・引用文献