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【2020年勉強になった書籍17選+α】和書・洋書を解説付きで紹介

2020年勉強になった書籍17選+α

2021年最初の記事は、2020年勉強になった書籍をまとめて紹介します。

2020年も非常にたくさんの本や論文を読みましたが、その中から現代の政治・社会を読み解く上で役立った本を厳選して紹介します。

以下の構成に沿って紹介しますので、ぜひ手に取ってみてください。

  • 1章:政治・社会編(和書)
  • 2章:読み物編
  • 3章:洋書編

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1章:2020年勉強になった書籍:政治・社会編(和書)

2020年は社会が大きく混乱し、それにともなって政治や現代社会の問題について考えた方も少なくないのではないでしょうか。この社会を理解するには、やはり優れた研究を読むことをおすすめします。

2020年も多くの本を読みましたが、その中で特に紹介したい本を厳選して紹介します。

『リベラリズムはなぜ失敗したのか』

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原書房
¥2,640
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『リベラリズムはなぜ失敗したのか』(原書房)は、アメリカの政治哲学者パトリック・J・デニーンが書いたリベラリズムという「最後のイデオロギー」について論じた本です。

この本の中では、リベラリズムは自立、自己統治に必要な文化規範で、伝統的な政治的規範を解体したものとされています。

この規範は近代の歴史と共に拡大し、技術力の発展や資本主義の発達によって世界を豊かにした一方で、メリトクラシー(能力主義)による格差拡大、世界の画一化、格差や多様性の否定、財政から思想までコントロールできる強大な権力の誕生といった現実を生みました。

こうした社会の変化から、政治不信から強力なリーダーを求めたり不満を爆発させて過激な運動を起こってきているのは現実社会を見れば明らかです。

こうしたリベラリズムの抱える問題は、リベラリズムが不徹底だから起こっているのではなく、むしろその実践が徹底しているために生み出されている、というのが著者の議論です。

リベラリズムの限界や問題点について論じた本は多いですが、2020年に講談社現代新書から出た『アフターリベラル』も一読をおすすめします。大きなテーマをぎゅっと新書に詰め込んだような知的好奇心が刺激される1冊です。

『〈私〉時代のデモクラシー』

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¥968
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『〈私〉時代のデモクラシー』(岩波新書)は、政治学者の宇野重規氏によって2010年に出版されたものです。約10年が経過していますが、その内容はまったく古くなっていません。

『リベラリズムはなぜ失敗したのか』とも共通する部分がありますが、著者は、現代は下記のような特徴を持つ歴史上初の時代であると言います。

  • 近代以前は階級や共同体が存在したため、他の階級、共同体に属する人との不平等は見えなかった(問題にならなかった)
  • しかし、近代化と共にその壁が崩れたことで、人々は「違い」に敏感になり平等意識が高まった
  • 人々はあらゆる人は対等であるべきで、自分のことは自分で決定したい、また価値は自分の内にあると考えるようになった

こうした特徴を持つ現代という時代は、個々人が平等、自由に非常に敏感になった時代であるということです。

このような特徴を持つ現代では、個々人が常に不安を抱える一方、問題が個別化して連帯が難しくなり、政治問題として争点化されにくくなっていきました。制度としては民主主義があるのにかかわらず、問題が政治的に争点化されて解決されにくいため、政治不信が高まることにも。

別言すれば、この状況は〈私〉と〈公〉がうまく接続されていないということでもあります。では、こういう時代に民主主義をよりよく実現していくにはどうしたらいいのか。そのようなことに関心がある方は、ぜひ読んでみることをおすすめします。

民主主義の歴史的な流れ、どのように変化してきたのかといったことは、下記の新書を読むと大まかに理解できると思います。『迷走』は『変貌』の続編ですが、『迷走』だけでも分かると思います。

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¥1,100
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また、宇野氏の専門分野であるトクヴィルについて分かりやすくまとまった『トクヴィル』(講談社学術文庫)も、現代の政治を考える上で非常に役立つためおすすめです。分かりやすく、すぐに読み終えられるはずです。

『自由からの逃走 新版』

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¥1,870
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『自由からの逃走』は、社会心理学者エーリッヒ・フロムが1941年(初版)に発表した古典的名著です。

なぜ階級や共同体から解放されて自由になった人々は、自分から自由を捨てて権威に従属しにいってしまうのか?という問題を社会心理学の視点から明らかにしようとしたものです。

この著作が発表された時代は、ヨーロッパで権威主義・全体主義的が台頭し、大戦に向かっていった時代でした。フロムの研究は、こうした危機的な背景から問題意識を持って行われたのです。

フロムは、この「自由からの逃走」について、

  • 人間は母との間での「第一次的絆」を成長に従って失うことで、他者から切り離された存在として孤独になる
  • この孤独を埋めるためには、愛や生産的な仕事で外界との繋がりを得るか、自由や自我の統一を破壊して安定を求める(権威にすがる)かのどちらかしかない

ということのために起こるものであると説いています。

もちろん数十年前の著作であるため、最新の研究によって否定される部分もあるかもしれませんが、それを差し引いても非常に多くの示唆が得られるものです。これは10年ぶりに再読しましたが、やはり現代でも読む意義が大きいものだと思いました。

現代社会の孤独や不安、権威が台頭する理由などについて知りたい方は必読です。

哲学者仲正昌樹氏による解説本もありますので、合わせてぜひ。

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ベストセラーズ
¥1,760
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スペインの哲学者オルテガによる名著『大衆の反逆』も、近代以降の社会、個人の変化について述べたもので現代でも読む意義がある本です。権利は要求するが義務は拒み、欲望の追求にしか興味がない「大衆」が登場した、これが現代社会の大きな問題であると説いています。

これもある意味、〈私〉に閉じこもった個人に対して〈公〉の重要性を説くもので、ここまで紹介した本と合わせて読むと面白いと思います。

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岩波書店
¥1,276
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『官僚制のユートピア』

「なぜ現代社会では無意味なペーパーワークが大量にあるのだろうか」「この仕事は何の役に立っているのだろうか」という疑問は、多くの人が感じたことがある疑問でしょう。このような現代社会を、文化人類学者デヴィット・クレーバーが分析したのが『官僚制のユートピア』です。

そもそも、現代はタイトル通り官僚制という仕組み、官僚的な層が政治経済の世界に広く作られたことで、無意味な仕事であふれているというのがこの本の結論です。重要なポイントは下記の点です。

  • 国家と市場が対立するもの(市場の自由化は政府を小さくする)と考えられることがあるが、実際には市場の管理のために、市場の自由化を進めると国家が拡大する→官僚的手続きが増大する
    (他に金融セクターの増大、資格重視などの要因も)
  • 官僚的手続きは、「構造的愚かさ」によって無駄なペーパーワークなど愚かな仕事を生み出してしまう

ここで重要となる「構造的愚かさ」とは、クレーバー独自の概念です。

簡単に言えば、

  • 国家は構造的暴力(=警察、軍などの暴力機構を背景にした力の行使、社会の規制、不平等の諸形態)を持つ
  • 国家は、構造的暴力によって国民を支配するが、力を持つ側は力がない人のことを考える必要がない一方、力がない人は力を持つ人が考えていることを推測、解釈しなければならない(解釈労働)
  • まとめると、権力を持つ官僚制は人々のことをよく考えないでいいために、無駄な仕事ばかり生み出す

ということです。

上記の議論を前提にして、1950年代に構想されたようなユートピア的未来はなぜ到来しないのか?なぜ人々は官僚制を支持してしまうのか?といったテーマも扱っています。特に後者のテーマは、フロムも含めこれまでの多くの社会科学で検討されてきたテーマであり、それにクレーバーが独自の回答(プレイとゲームについて)を与えている点で非常に面白いです。

2020年に流行した『ブルシットジョブ』の前作とも言える著作ですが、個人的には『ブルシットジョブ』よりこちらの方が良い内容だと思います。現代社会の諸問題について理解したい方は、これも読むことをおすすめします。

『〈運ぶヒト〉の人類学』

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¥792
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『〈運ぶヒト〉の人類学』は、文化人類学者の川田順造氏によって書かれた本で、日本の身体文化について他の文化との比較によって理解することに役立ちました。

この本では、文化ごとに異なる人間の身体技法(=道具、家などの物体と感覚が結び、社会的に共有されたもの)について、フランスを中心とする西欧の文化、西アフリカ内陸を中心とする文化、日本の文化を比較し、その特徴を明らかにしています。

私たちも直感的に知っているように、国、文化、民族などによって身体の動かし方(歩き方、座り方、肉体労働、運搬など)は異なります。それを著者は長年にわたるフィールドワークから、下記のようにまとめました。

  • 西アフリカ:人間の道具化
    長い四肢、柔軟なハムストリングス周辺の筋肉、といった身体的特徴から単純な道具のみを使い、身体を道具のように使って労働する。
  • フランスを中心とする西欧:道具の脱人間化
    できるだけ身体を使わなくていいように複雑な機構を工夫する。その結果文明が発達することになった。
  • 日本:道具の人間化
    シンプルだが使い手の技能に依存する道具を使い、身体を精妙に使うことで労働する。

こうした違いが、「運ぶ(運搬)」という行為を中心にさまざまな肉体的労働に見られ、それが道具にも現れているということです。こうした身体技法の違いは、物理的な環境(生活環境、気候、地理的特徴、食、住宅など)に規定されつつ生まれて独自に生成してきたのです。

文化について、身体的な側面から見ていくというのは非常に面白い内容で、多様な文化がどういう背景からできてきたのか理解するのに役立ちます。専門的に学びたいテーマにこだわらず、異なるジャンルの本を読むことで新たな示唆が得られるためおすすめです。

2章:2020年勉強になった書籍:読み物編

息抜き的に読んだ読み物的な本にも、面白い本が多くありましたのでその一部を紹介します。

『サピエンス異変』

人類の歴史から見て、現代は人類が世界を変質させつつある(人新世)新しい時代であるとは、よく議論されるものです。この新しい時代に、人間の身体はどう変わっているか(変わっていないか)、社会の激変、生活、食、運動の激変によって人間はどのような問題を抱えるようになったか、ということが分かりやすく書かれています。

  • 長時間の同じ姿勢での労働、生活
  • 慢性的な運動不足
  • 加工食品や栄養価の低い食品、少品種の食品に偏った食生活

といった現代人特有の生活がどれだけ危険で、どのように対策を練れば良いのか解説されています。

関連本として下記の本も面白いです。

『カフェから時代は創られる』

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クルミド出版
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20世紀初頭のフランスのカフェには、ピカソ、藤田嗣治、サルトルなど多くの知識人、芸術家が若いころ過ごし、切磋琢磨する場であったようです。ここからフォービズム、キュビズム、未来派、ダダ、エコール・ド・パリ、シュルレアリスム、実存主義といった多くの文化が生まれたと。

非常のうらやましい場ですが、なぜこういった文化が生まれたのか、当時のフランス社会でどういう役割を担っていたのかとても面白く解説されています。非常に刺激になる本でした。

NHK「100分de名著」ブックス ルソー エミール―自分のために生き、みんなのために生きる』

100分で名著シリーズの『エミール』ですが、その解説が分かりやすいのはもちろんのこと、現代においてなぜ『エミール』を読む意義があるのか、著者が解説している所もとてもいい内容です。

著名な哲学者による解説ですし、すぐ読み終わる文量なので読んでみることをおすすめします。

『マインドハッキング』

ブレグジット(EUからのイギリスの離脱)の国民投票、トランプが当選した2016年の大統領選といった大きな選挙の背景で、ケンブリッジアナリティカを中心とした企業がデジタル広告を利用して世論操作したことが、当事者によって告発された本です。

Facebookが絡んでいることからも欧米では大きく話題になっているようですが、デジタル・テクノロジーによる世論操作は日本も無縁ではありません。とても面白い内容ですのでおすすめです。

『男らしさの終焉』

男性向けに書かれたフェミニズムの本です。「男らしさ」という規範は多くの国にありますが、それが女性だけでなく男性も苦しめていることが分かります。ただ、以前読んだ下記の本の方が、私は勉強になりました。

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DU BOOKS
¥3,080
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『男が痴漢になる理由』

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これはタイトルの通り、なぜ男性が痴漢になってしまうのか、ということについて心理学的に解説されたものです。背景には女性蔑視の社会的な規範、ストレス過多の現役世代の生活、毎日やりやすい環境がある(満員電車など)がある、といったことが解説されています。

痴漢は依存症で、依存すると行動自体でドーパミンが出るため本人も自分の意思で辞められなくなると。しかし、社会的には半ば放置され自制の問題とされているため辞められない、といった知らないことも多く勉強になりました。

『健康的で清潔で、道徳的な秩序ある社会の不自由さについて』

これは精神科医の著者が書いた現代社会評論的な本です。現代社会が豊かになった一方で、健康であること、清潔であること、道徳的であることを人に強いるために、「そうでない人」が排除され居場所がなくなっていく。また、それらの規範にあう自分であるために努力を強いられ生きづらくなる、といったことを解説したものです。

こうした規範がなぜ生まれたのか、という背景からも書かれており、現代社会の生きづらさについて疑問を持つ方は一読をおすすめします。

『なぜ人と人は支え合うのか』

この本は「障害」から社会について考えた本で、著者による具体的な経験から書かれている点に面白さがあります。

2016年には「相模原障害者施設殺傷事件」という衝撃的な事件が起きましたが、これをきっかけに社会において障がい者がどう位置づけられるか考えた方も多いのではないでしょうか。

この本の著者はもともと障害などに興味がなかったようですが、それだけに私たちにとっても身近な問題として考えやすい内容になっています。障がい者の運動によって私たちの生活までも良くなっている、ということは障害について考える上で一つの論点になりそうです。

『現実脱出論 増補版』

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筑摩書房
¥814
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これは「いのっちの電話」やパステル画の発表など斬新で幅広い活動で知られる坂口恭平氏の本です。著者の思想や行動は、ともすれば常識外れにも見えてしまうかもしれませんが、「いきづらさ」を感じている多くの人には希望になるのではないでしょうか。

政府だけではすでに多くの社会問題が解決できなくなっています。このような時代に、個人レベルで自分の「現実」を創っていくという実践は非常に意義あるものだと思いました。

3章:2020年勉強になった書籍:洋書編

さて、3章は洋書です。順不同に、読んで純粋に面白いかったものを厳選して紹介します。洋書の多くは文化人類学を研究する友人と勉強会で読んだもので、私の理解は十分ではありませんが、下記の本は紹介する意義があると考えたためおすすめします。

『Returns: Becoming Indigenous in the Twenty-First Century』

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『Returns』(2013)は、『文化の窮状』(1988)と『ルーツ』(1997)に続く、ジェームズ・クリフォードによる三部作の最後の書物となります。

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ジェームズ・クリフォードは世界的に著名な歴史家で、特に文化人類学の歴史を取り扱っています。しかし、彼の議論は文化人類学や歴史学といった学問領域をこえて、人文社会科学を勉強する全ての人に影響を与えています。

具体的に『Returns』では現在進行中の先住民運動が取り扱われており、副題にあるように「21世紀に先住民になること」の意味が議論されています。たとえば、以下のような内容があります。

  • 「インディニチュード(Indigetitude)」と呼ばれる先住民的現前は、新自由主義の内部において起きていることと、その交渉のあり方
  • ポストモダンの議論では、先住民運動という文化政治が選択的に過去(伝統)に戻ることで前に進むという「変容的な継続性(transformative continuity)」(35頁)を捉えることができないことへの批判

これらの議論は『Returns』のほんの一部を取り上げたのみですが、先住民運動のあり方を批判的に再考しつつ、未来へと繋げる議論はとても刺激的です。

また、『Returns』は2020年時点で日本語翻訳が刊行されていないので、そういった意味でも重要になってくるかもしれません。

『Fresh Fruit, Broken Bodies: Migrant Farmworkers in the United States』

この書物はアメリカ合衆国カリフォルニア州におけるメキシコ系の不法移民について書かれたものです。このように主題を説明すると、「そのような主題の本は他にもあるじゃないか」と思った方がいるかもしれません。

確かに、メキシコ系の不法移民を取り扱った研究は政治学から社会学まで幅広く存在します。しかし、多様な学問分野のなかでも、この書物には次のような特徴があります。

  • メキシコ系不法移民と一緒になって、著者自身(アメリカ人)が不法にアメリカに入国し、収監された経験が語られていること
  • (不法に)入国に成功した後に待ち受けている、砂漠での過酷なサバイバルが示されていること
  • カリフォルニア州の農産業が絶えず、不法移民の存在を生み出す構造となっていることを、著者自身が農地で働くことから提示していること

私がこのような特徴が重要だと思ったのは、「不法移民の視点」から世界をみたときにそのような移民を「不法」と簡単に語ることができるのか?と再考させられたからです。

アメリカ合衆国の複雑な社会構造(特に、この本ではカリフォルニア州における農産業)を理解しないままで、「不法」という用語をそのまま捉えるのは極めて危険であると気づくはずです。

『Behold, America: A History of America First and the American Dream』

副題にもありますが、『Behold, America』は「アメリカン・ドリーム(American Dreams)」と「アメリカ・ファースト(America First)」という2つのフレーズの歴史を扱うものです。

歴史的にいえば、「アメリカン・ドリーム(American Dreams)」と「アメリカ・ファースト(America First)」は約1世紀前に生まれた用語でした。しかし、その後、資本主義・民主主義・人種といったカテゴリーと急速に絡み合っていきます。

このような歴史的過程が重要なのは、以下の点からです。

  • トランプ政権またはオルタナ右翼が頻繁に使うこれらの用語を正確には理解できないこと
  • 現在支配的な保守的ポピュリズムは都市、移民、リベラルを敵として、プロテスタント、伝統的な家族、白人至上主義を信条としてきたこと

つまり、そのような保守的ポピュリズムが頻繁に使用する2つのフレーズを理解することで、現代の問題を解決する糸口をつかめるかもしれないのです。

だからこそ、「アメリカン・ドリーム(American Dreams)」と「アメリカ・ファースト(America First)」の歴史的な考察が必要となってきます。それは2つのフレーズ歴史を再考することで、フレーズ自体の意味だけでなく、強いてはアメリカという国に対する自画像に再考するを迫る契機を与えるものになっています。

まとめ

今回の記事は個人的な興味にもとづく内容となりましたが、あなたの勉強に役立つ内容であれば幸いです。

2021年もどうぞよろしくお願いいたします。