国際問題

【気候変動問題とは】現状・原因・対策をわかりやすく解説

気候変動問題とは
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気候変動問題(Climate variability and change)は、地球温暖化が進むことで気候システムが影響を受け、干ばつや熱波、大雨などの異常気象を起こし、自然生態系や我々の生活にまで影響を及ぼす一連の問題を指します。

近年、さまざまな異常気象が私たちの生活にも影響を与えていますが、この気候変動の問題について詳しい現状や原因、行われている対策まで知っている方は少ないのではないでしょうか。

この記事では、

  • 気候変動問題の現状
  • 気候変動問題の原因
  • 気候変動問題への対策

について解説します。

関心のある所から読み進めてください。

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1章:気候変動問題とは

まず、1章では、気候変動問題の現状」と「原因」について説明します。

このサイトでは複数の文献を参照して、記事を執筆しています。参照・引用箇所は注1ここに参照情報を入れますを入れていますので、クリックして参考にしてください。

1-1:気候変動問題の現状

冒頭の確認となりますが、

気候変動問題とは、地球温暖化が進むことで気候システムが影響を受け、干ばつや熱波、大雨などの異常気象を起こし、自然生態系や我々の生活にまで影響を及ぼす一連の問題

です。

たとえば、近年、世界の平均気温は上昇傾向にあることは広く知られています。

気候変動に関する政府間パネル(IPCC)という、世界の気候変動を調査・評価している国際組織が、2013年に発表した第5次評価報告書によると、世界の気温が過去132年間で0.85上昇したことが示されました。(図1参照)

観測された世界平均地上気温の偏差(図1「観測された世界平均地上気温の偏差(1850年~2012年)」出典:気象庁「気候変動2014 統合報告書」

続いて、降水量という観点からみれば、多い地域と少ない地域の差が大きくなっています。

特に1951年以降、北半球の中緯度における降水量は増加しているのに対し、西アフリカやオーストラリアの南東部では減少している傾向があります。(図2参照)

観測された陸域の年降水量の変化(図2「観測された陸域の年降水量の変化: 左1901~2010年、右:1951~2010年」出典:気象庁「気候変動2013 自然科学的根拠」

このような気候変動により、世界では以下のような影響が出ています。

1-1-1:北極海の海氷の減少

気温の上昇により海氷面積が減少しており(図3)、ホッキョクグマやアザラシなどの生息地がなくなることで生態系への影響が出ています。

北極行海氷面積(夏季)(図3「北極行海氷面積(夏季)」出典:気象庁「気候変動2013 自然科学的根拠」)

1-1-2:海面水位の上昇

海面水位の上昇も進んでいます(図4)。オセアニア地域の島国の一つ、ツバルでは海面水位の上昇により国土が消失しており、このままでは近い将来完全沈んでしまうと言われています。

世界平均海面水位の変化(図4「世界平均海面水位の変化」出典:気象庁「気候変動2013 自然科学的根拠」)

1-1-3:災害リスクの増大

世界中でゲリラ豪雨や洪水(図5)、森林火災、ハリケーン、熱波の発生回数は増加しており、干ばつの長期化による被害も増大しています。

世界の洪水発生件数の推移(図5「世界の洪水発生件数の推移(1980~2016年)」出典:環境省「STOP THE 温暖化2017」)

1-1-4:作物収穫量の減少

農作物が育ちにくい地域も増えています。たとえば、小麦の収穫量が減少しており(図6)、小麦製品の価格上昇も起こっています。

気候変動が及ぼした熱帯・温帯地域における主要4農作物の収穫量への影響の推定(図6「気候変動が及ぼした熱帯・温帯地域における主要4農作物の収穫量への影響の推定」出典:環境省「気候変動 2014 影響、適応及び脆弱性」)

1-1-5:感染症の拡大

気温上昇により、感染症の拡大に繋がっています。具体的には、蚊を媒介とするマラリアやデング熱などだけなく、水質の悪化により、水を媒介とするコレラやサルモネラ菌等の感染症の拡大を指摘することができます。

日本も例外ではなく「熱中症や死亡リスクの上昇」「農作物の収穫量や水産業における漁獲量の変化」「ゲリラ豪雨や勢力の強い台風の頻発」「水不足」が問題化しています。



1-2:気候変動問題の原因

では、これら気候変動を引き起こす原因はいったい何なのでしょうか?

IPCC第5次評価報告書によると、

気候システムに対する人間の影響は明瞭である。これは、大気中の温室効果ガス濃度の増加、正の放射強制力、観測された温度上昇、そして気候システムに関する理解から明白である。

とあります。(気象庁(2015b)「気候変動2013 自然科学的根拠 政策決定者向け要約」(最終閲覧日:2020年5月12日)を参照)

つまり、人間が発生させた温室効果ガスの増加により、気候変動、いわゆる地球温暖化が引き起こされていると明言しているのです。

1-2-1: 温室効果ガスとは

ここで、温室効果ガスについて簡単に説明しておきます。

温室効果ガスとは、

  • 二酸化炭素、メタン、一酸化二窒素、フロンガスなどがある
  • 大気中にある温室効果ガスは、赤外線を吸収し、再び放出する性質がある

ものです。

特に重要なのは上述した、温室効果ガスの性質です。この性質によって、以下のプロセスで地球の表面付近の大気を暖めてしまうからです。

  1. 太陽からの光(赤外線)で地球の表面が暖められる
  2. 赤外線の多くは地球の表面から地球の外に向かう
  3. その赤外線を大気中の温室効果ガスが熱として蓄積する
  4. その熱が再び地球の表面に戻ってくる
  5. 地球の表面付近の大気が暖まる

この温室効果ガスの中でも、二酸化炭素(CO2)は最も地球温暖化に影響を及ぼすものとされており、大気中の二酸化炭素濃度は年々増加し続けています。(図7)

全大気中のCO2濃度の変化(図7「全大気中のCO2濃度の変化」出典:国立環境研究所ウェブサイトより)

そして、この二酸化炭素のほとんどが人間活動によって排出されていることが問題となっているのです。その主な原因には、以下の3つがあります。

  • 産業の発展
  • 人間生活の発展
  • 森林の減少

18世紀後半の産業革命以降、人々はあらゆる産業に、石油や石炭、天然ガスなどの化石燃料をエネルギー源として使うようになります。加えて、人々の生活が豊かになったことで、人間生活にもガソリンや灯油など、化石燃料が使われるようになりました。

本来は、森林が二酸化炭素を吸収し、地球温暖化を抑制する働きを持っていました。しかし、産業の発展とともに森林面積も減少し、その機能が著しく低下しています。



1-3:気候変動が起こす問題

それでは、気候変動により今のペースで温暖化が進んだ場合、どういった問題が起こり得るのでしょうか?

IPCC第5次評価報告書によれば、世界の平均地上気温は2100年までに、最大で4.8上昇すると予測しています。(現在のペースで温室効果ガスが排出し続けた場合)

その結果、1-1で述べた問題がさらに悪化するだけでなく、以下のことが予測されます。

1-3-1:北極海の海氷の消失

北極海の海氷は21世紀中に縮小し、薄くなることが予測されています。現在のように温室効果ガスを排出し続ければ、21世紀半ばまでに9月の北極域の海氷がほぼなくなる可能性は高いと指摘しています。

1-3-2:海面水位と海水温度の上昇

世界の平均海面水位は最大82cm上昇する可能性があります。また、水位だけでなく水温も上昇することが予測されており、2060年頃には現在より1.4℃上昇する可能性が指摘されています。

1-3-3:災害によるの被害者の増大

海水温が上昇すると、多くの水分が大気中に蒸発し、大雨や勢力の強い台風を引き起こします。それによって洪水などの災害リスクが増え、2100年頃には年間1億人(現在の約5倍)もの人々が洪水被害にあうという予測もされています。

1-3-4:食糧危機と栽培領域の変化

穀物収穫量の減少はさらに加速し、同時に人口増加による食糧需要は増加していくことが予測されているため、食料危機も叫ばれています。日本の場合、水稲の品質低下や果樹の栽培領域の変化など、多くの影響を受ける可能性があります。

このように、このまま何も対策をせず、温室効果ガスが今のペースで排出された場合、私たちの生活が大きく変わってしまうことになりかねないのです。

いったん、これまでの内容をまとめます。

1章のまとめ
  • 気候変動問題とは、地球温暖化が進むことで気候システムが影響を受け、干ばつや熱波、大雨などの異常気象を起こし、自然生態系や我々の生活にまで影響を及ぼす一連の問題である
  • 人間が発生させた温室効果ガスの増加により、気候変動、いわゆる地球温暖化が引き起こされていると明言されている

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2章:気候変動問題への対策

さて、2章では、これまで行われてきた気候変動問題対策の歴史と現在行われている対策について説明していきます。

2-1:気候変動問題への対策の歴史

ここでは、「国際的な取り組み」と「日本における取り組み」に区別してみていきましょう。

2-1-1:国際的な取り組み

まず、初めて気候変動が世界会議の中心的議題に挙がったのは、1985年にオーストリアで行われたフィラハ会議でした。

そこでは多くの科学者が参加し、地球温暖化について「21世紀半ばには人類が経験したことのない規模で気温が上昇する」との見解が示されました。

その後、

  • 1988年・・・世界気象機関(WMO)と国連環境計画(UNEP)の共同で気候変動に関する政府間パネル(IPCCが設立された(IPCCは膨大な数の学術論文を集約し研究・調査を行う機関で、これまでにも多くの報告書を発表している)
  • 1992年・・・リオデジャネイロで開かれた「環境と開発に関する国際連合会議(地球サミット)」では、気候変動枠組条約に197の国と機関が署名し、温室効果ガスの実態調査とその報告が義務づけられる
  • 1995年より毎年・・・国連気候変動枠組締結国会議(COPを開いて、温室効果ガスの削減に向けて精力的な議論を行ってきた

という展開をみせます。

その中でも、京都議定書は特に有名です。その概要は以下のとおりです。

  • 1997年に京都で行われたCOP3で採択されたもの(192の国と機関が署名)
  • 2020年までの温室効果ガス排出削減の具体的な目標が定められた
  • しかし、当時先進国と呼ばれていた国にのみ削減義務を与えるものだったため、中国やインドといった新興国を中心とした開発途上国の温室効果ガスの排出量の急増が問題となった
  • また、当時、温室効果ガス最大排出国だったアメリカが参加しなかったことも問題となった

そして2015年、パリで開催されたCOP21において、史上初めてすべての国が参加する新たな枠組みとして「パリ協定」が採択されました。

2-1-2:日本における取り組み

一方、日本国内においても、国際的な潮流に合わせてさまざまな取り組みを行ってきました。

  • 1990年・・・2000年のCO2排出量を1990年と同水準に抑えるための「地球温暖化防止行動計画」を策定(排出量は増加し続け、目標は達成できなかった)
  • 1997年・・・京都議定書においては、CO2の排出量を1990年より6%削減することを国際社会に公約
  • 1998年・・・「地球温暖化対策推進大綱」が決定され、2010年に向けて緊急に推進すべき地球温暖化対策が取りまとめられた

その後、家電リサイクル法やフロン排出抑制法など、気候変動や環境対策のための法律を次々に制定していきました。

そして、2015年のパリ協定にも日本は署名しています。



2-2:現在の対策

現在の対策で最も有名なのは、先ほどから登場しているパリ協定です。

2-2-1:パリ協定

現在世界159カ国が参加しているパリ協定では、「世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より低く保ち、1.5℃に抑える努力をする」という長期目標を掲げています。

京都議定書において、温室効果ガスの排出削減を義務づけられていたのは先進国だけだったですが、パリ協定では途上国を含むすべての主要排出国が対象となっています。

パリ協定において、日本は2030年までに2013年と比較して、26%の削減を目標に掲げています。

2-2-2:持続可能な開発目標(SDGs)

また、2015年に国連サミットで採択された「持続可能な開発目標(SDGs」においても、気候変動に関する目標が掲げられています。

SDGsは、「誰も取り残さない」を合言葉に、17のゴールと169のターゲットから構成された開発目標で、途上国のみならず、先進国も取り組むユニバーサルなものです。

この中の目標13「気候変動に具体的な対策を」では、以下のようなターゲットと実行手段が示されています。(出典:外務省「我々の世界を変革する:
持続可能な開発のための 2030 アジェンダ(仮訳)」

SDGs 目標13 気候変動に具体的な対策を

  • 13.1 すべての国々において、気候変動に起因する危険や自然災害に対するレジリエンスおよび適応力を強化する。
  • 13.2 気候変動対策を国別の政策、戦略および計画に盛り込む。
  • 13.3 気候変動の緩和、適応、影響軽減、および早期警告に関する教育、啓発、人的能力および制度機能を改善する。
  • 13.a 重要な緩和行動や実施における透明性確保に関する開発途上国のニーズに対応するため、2020年までにあらゆる供給源から年間1,000億ドルを共同動員するという、UNFCCCの先進締約国によりコミットメントを実施し、可能な限り速やかに資本を投下してグリーン気候基金を本格始動させる。
  • 13.b 女性、若者、および社会的弱者コミュニティの重点化などを通じて、後発開発途上国における気候変動関連の効果的な計画策定や管理の能力を向上するためのメカニズムを推進する。

※国連気候変動枠組条約(UNFCCC)が、気候変動への世界的対応について交渉を行う基本的な国際的、政府間対話の場であると認識している。

これらを中心にして、日本を含めた世界中の国・地域が気候変動問題対策の取り組みを行っています。

2章のまとめ
  • 2015年、史上初めてすべての国が参加する新たな枠組みとして「パリ協定」が採択された
  • 2015年に国連サミットで採択された「持続可能な開発目標(SDGs)」においても、気候変動に関する目標が掲げられている

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3章:気候変動問題について学べる本

気候変動問題について理解が深まりましたか?

さらに深く知りたいという方は、以下のような本をご覧ください。

オススメ書籍

オススメ度★★★ 中川毅『人類と気候の10万年史 過去に何が起きたのか、これから何が起こるのか』(講談社)

何万年前にも起こっていた地球の気候変動を調査し、分かった気候変動のメカニズムについて解説してくれる一冊です。

オススメ度★★★ デイビッド・ウォレス・ウェルズ 『地球に住めなくなる日 「気候崩壊」の避けられない真実』(NHK出版)

気候変動とは何か、いま地球で何が起こっているのか、そして今後どのようなことが起こる可能性があるのか、について具体的なデータを用いて丁寧に解説してくれる一冊です。

オススメ度★★ マーク・モラノ『「地球温暖化」の不都合な真実』(日本評論社)

一般的に地球温暖化が原因と言われている数々の問題に対して、様々な検証やデータから一石を投じる一冊。地球温暖化懐疑論派が主張を知りたい方におすすめです。

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などの特典もあります。学術的感性は読書や映画鑑賞などの幅広い経験から鍛えられますので、ぜひお試しください。

まとめ

最後にこの記事の内容をまとめます。

この記事のまとめ
  • 気候変動問題とは、地球温暖化が進むことで気候システムが影響を受け、干ばつや熱波、大雨などの異常気象を起こし、自然生態系や我々の生活にまで影響を及ぼす一連の問題である
  • 人間が発生させた温室効果ガスの増加により、気候変動、いわゆる地球温暖化が引き起こされていると明言されている
  • 2015年、史上初めてすべての国が参加する新たな枠組みとして「パリ協定」が採択された

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<参考・引用文献>

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