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勉強法

【フーコーのおすすめ入門書4選】新書や関連本をランキングで紹介

フーコーおすすめ入門書

「フーコーの議論を勉強したいけど難解そう…」「どの入門書がいいのかわからない」といった悩みが出てきたら、この記事で紹介する入門書を手に取ってみてください。

たしかに、「原著を読むのが一番だ!」という意見も一理あります。

しかし、フーコーの難解な議論に挑戦し途中で挫折するならば、まずは入門書からフーコーの思想を網羅的に触れてみることも大事です。

そこでこの記事では、フーコーの思想を全般的に学べる入門書をランキング形式で紹介します。一冊でも完読すれば、フーコーの問題関心や目指したことが理解できますので、ぜひ読んでみてください。

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1章:フーコーのおすすめ入門書:新書

さっそく、フーコーの入門書を紹介していきます。ここで紹介する以外の書物も読みましたが、もっとも役に立った本は下記の通りです。

①『フーコー入門』(著:中山元)

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数ある入門書のなかでもっともおすすめなのは、フーコー入門の古典本である中山元の『フーコー入門』(ちくま新書)です。

『フーコー入門』は「フーコーって実際どんな思想家なんだろう…」という疑問に、彼の著作を時系列に解説することで答えてくれます。

具体的には、以下のようなフーコーの主要著作と代表的な概念について説明されています。

  • 『狂気の歴史』『知の考古学』『監獄の誕生』などの主要著作における問題関心・議論・その後の著作との関係
  • 言説」「生権力」「パノプティコン」などのフーコーの権力論の重要概念

紙数に限りがある新書であるため、著作や概念によって重点の違いはあるものの、フーコーの思想を見事にまとめています。

『フーコー入門』の目次

  • 1章 人間学の「罠」
  • 2章 狂気の逆説
  • 3章 知の考古学の方法
  • 4章 真理への意志
  • 5章 生を与える権力
  • 6章 近代国家と司牧者権力
  • 7章 実存の美学
  • 8章 真理のゲーム

目次からお分かりの通り、より専門的な解説書に比べると、それぞれの著作や概念はそこまで深掘りされていません。しかし、フーコーという思想家の基礎知識や代表的な議論を知りたいという場合は、この本で間違いありません。

中山元によるフーコー概説書は、以下のものあります。

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②『ミシェル・フーコー: 近代を裏から読む』(著:重田園江)

次に、おすすめなのは重田の『ミシェル・フーコー:近代を裏から読む』です。特に、「初学者の私には、新書でも情報量が多すぎる…」と感じたことのある方に向いています。

多くのフーコー概説書は、彼の主要著作に触れながら、その思想の核心を紹介しています。そのため、良いか悪いかは別として、必然的に情報量がとても多くなります。

しかし、重田の『ミシェル・フーコー』では、代表的な著作の一つである『監獄の誕生』に重心を置きながら解説されており、フーコーの権力論を「コンパクト」に学べます。

『ミシェル・フーコー:近代を裏から読む』の目次

  • 1章 フーコーの世界
  • 2章 身体刑とその批判
  • 3章 規律権力
  • 4章 近代国家と統治
  • 5章 監獄ふたたび

このように、フーコー思想に関する書物でありながら、同時に『監獄の誕生』の概説書として読むことが可能な内容となっています。

言い換えると、「フーコーの伝記的情報から主要著作まですべてをカバーしたい」という方に適した書物ではないといえるでしょう。

しかし、フーコーを学ぶ方にとって、『監獄の誕生』を代表とした権力論は避けて通れませんので、重田の著作を出発点として学んでみてはいかがでしょうか。

③『ミシェル・フーコー:自己から抜け出すための哲学』(著:慎改康之)

慎改康之の『ミシェル・フーコー:自己から抜け出すための哲学』は、この記事で紹介する書物のなかでもっとも新しい本です(2019年刊行)。

以下のように時系列でフーコーをまとめています。

  • 60年代…フーコーの考古学的探究。『狂気の歴史』(第1章)『臨床医学の誕生』(第2章)『言葉と物』(第3章)『知の考古学』(第4章)に焦点を当てながら解説
  • 70年代…フーコーの権力論。『監獄の誕生』(第5章)と『性の歴史』(第6章)から解説
  • 80年代…フーコーの新たな研究領域を、性に関する研究やコレージュ・ド・フランス講義記録から解説

そして、冒頭で著者の慎改が主張するように、本書は「『フーコーとは誰か』という問いではなく、『フーコーは何を為したのか』という問い」(8頁)に答えるものです。

それはそのように問うことによってのみ、「フーコーの哲学的な探究がどのような思考から生じ、そのような思考から何が学べるのか」という初学者が学ぶべきエッセンスに触れることができるからです。

この点は「フーコーが何を言ったのか」よりも「フーコーがどう考えたのか」という本質的な部分です。そのため、フーコーの概説よりも本質に近づきたいという方には、慎改の著作が向いているかもしれません。

慎改によるフーコー関連の書物は、以下のものがあります。

④『ミシェル・フーコー』(著:内田隆三)

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内田の『ミシェル・フーコー』は、これまで紹介した入門書同様にフーコーの思索で不可欠な部分を解説したものですが、この記事で紹介する入門書で一番難解だと思います。

しかし、内容的にいえばこれまで紹介した書物とは、重点が置かれている部分が異なる箇所があります。たとえば、

  • これまで紹介した入門書では「エピステーメー」に関して触れている程度だが、内田の書物では第2章全体を使って「エピステーメー」を細かく解説している
  • ニーチェからフーコーが受けた影響を、序章で①歴史の系譜学と②超人思想から詳細に解説している(ほかの書物より重点が置かれている)
  • フーコーに関する伝記的情報が、ほかの書物に比べて詳細に書かれている

といった違いがあります。

確認することではないことかもしれませんが、著者が異なれば、同一の人物の思想を対象としていても扱われる内容は異なります。そのため、あなたの興味関心がそれぞれの書物で重点が置かれる内容と一致することが望ましいです。

また、内田の著作に関していえば、ニーチェに関する最低限の知識が必要ですので、ニーチェの概説書とともに読むことをおすすめします。

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2章:フーコーのおすすめ入門書:関連分野編

2章ではフーコーの入門書ではないものの、フーコーを理解するために役立つ書物をいくつか紹介します。

『社会学史』

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端的にいえば、大澤の『社会学史』は社会学の歴史に関する本です。社会学という学問に貢献した論者の議論が解説されており、フーコーもそのなかで登場します。

本書の目次と登場する人物は、以下のとおりです。

  • 第1部 社会学の誕生――近代の自己意識として
    アリストテレス/グロティウス/パスカル/ホッブズ/ロック/ルソー/スミス/コント/スペンサー/マルクス/エンゲルス/カント/フォイエルバッハ/ヘーゲル/フィヒテ
  • 第2部 社会の発見
    フロイト/デュルケーム/ジンメル/ヴェーバー
  • 第3部 システムと意味
    パーソンズ/トマス/パーク/マートン/ミード/シュッツ/ブルーマー/ガーフィンケル/ゴフマン/ベッカー/ルーマンとフーコー/レヴィ=ストロース/デリダ/ブルデュー/ハーバーマス /ボードリヤール/リオタール/ギデンズ/バウマン/トッド/メイヤスー

講談社BOOK倶楽部より(http://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000210935)

正直にいえば、これだけ多くの論者の議論を深く理解することは困難です(到底、私には不可能です)。そのため、個別の論者に対する大澤の解釈は、専門家にとって議論の分かれるところでしょう。

しかし、あくまでも入門書として読んだ場合、十分な内容だと思います。フーコーに関していえば、エピステーメーや言説の議論に触れつつ、社会学者ルーマンとの相違点が解説されています。

フーコーに特化した入門書ではありませんが、社会学の学問内部にフーコーを位置付けるという意味では面白い発見があるのではないでしょうか。大澤の議論に必ずしも同意する必要はありませんので、入門書として読んでみてください。

『フーコー・ガイドブック』

『フーコー・ガイドブック』は、原著講読をする前段階の書物として利用してください。なぜならば、前半部分でフーコーの主要著作の解説がされているからです。(後半部分ではフーコーの講義が収録されています)

具体的に、この前半部分では『狂気の歴史』『言葉と物』『知の考古学』『監視と処罰』などの著作がキーワードとともに解説されており、原著を読む前に概要を知りたいという方におすすめです。

「原著ファースト」の方がこの手の書物を敬遠する気持ちもわかりますが、初学者の方は路頭に迷わないように専門家に「道案内」をしてもらいましょう。そのような遠回りをすることで、きっと原著に挑戦しやすくなるはずです。

まとめ

どうでしょうか?あなたに合うフーコーの入門書を見つけることはできましたか?

最後に、これまで紹介してきた入門書に関する注意点を付け加えておきます。

  • 入門書とはいえど著者の解釈が入り込んでいるため、原典講読は不可欠な作業であることを忘れてはならない
  • つまり、入門書はあくまでも「きっかけ」であり、議論の終着点ではない

この記事があなたの学びに役立てば幸いです。